バスクでスペイン料理
そういえばスペインのバルセロナに行ったことがあるんだけど、思ったよりもスペイン料理らしい料理は食べなかったな。
初日はガストロノミーで変な料理を食べたりコートを他の人に渡されたり。
市内を散策している途中で寄った、チェーン店らしき店で軽く食べたピンチョスは美味しかった。夜に寄ったタパスもスペイン風だった。
ダリが住んでいたカダケスという町ではムール貝を山ほど食べて閉口したのだった。
あれももう7年前か。何もかもが懐かしい。
というわけでスペイン料理。
前の週に予約をしたらその日の2日前あたりに予約確認の電話があって、丁寧だなと思っていたんだけど、実はここのところのコロナ騒ぎのせいで観光客がめっきり減って予約のお客さんがほぼほぼいなくなり、我々もキャンセルするようなら店を休みにしようと思っていたとのこと。
北海道は特に感染者の数が多いので、悪の巣窟ぐらいに思われているらしい。観光立国というのも色々と大変だ。
しかしわざわざ函館まで来てスペイン料理を食べるような人が多いというのもちょっと意外だった。
確かに有名なお店だけども、みんな回転寿司を食べに来ているのかと思っていたよ。
幸いなことにこの日は自分たち以外にも飛び込みのお客さんが一組いて、ちょっとほっとした。
自分たち二人だけのために店を開けてもらっていたんじゃ気が引けるしね。
コース料理はスペイン料理らしくピンチョスからスタート。
このピンチョスが絶品もいいとこだった。
どれも地元の食材を使っていて、シンプルだけどものすごく美味しい。
最近はいろんなお店で50マイルフードみたいな取り組みをしているけれど、さすがにここバスクが発祥なだけあって格が違っていた。
それとパンが美味しすぎて唸った。
スーパーやコンビニのパンよりも断然パン屋のパンのほうが美味しいし、パン屋のパンよりもレストランで客の到着に合わせて焼き上げるパンはやっぱり至高なんだよね。
パンの持つ香りや焼きたての暖かさまで、すべてがスパイスとして作用していると思った。
ピンチョスは9品がどれも特徴的で満足度が高く、これとパンだけあれば優勝なんじゃないかと思ってしまった。
今回は初めてなので6,000円のコースにしたんだけど、ピンチョスのコース4,000円でも大満足できるはず。
今度はそっちにしよう。
しかしコースでなければその後に出てくる野菜のスープ(生ハムを出汁にしているとのこと)も楽しめなかったし、メイン料理も味わえないのだからトレードオフではある。
特にメインの魚料理、尻岸内産のタラのニンニクパセリソースが究極だった。
自分でもタラのピルピルは作ったことがあるけれど、ここのはニンニクもパセリも量が桁違いで、オリーブオイルにタラの旨味が染み込んでこれを冷めてしまったパンで掬って食べると夢見心地になれた。
6,000円のコースの素晴らしいところはメイン料理2品のところを1品にすることで、代わりにパエージャを出してくれるところなんだけど、とても食べきれなくて半分は包んでもらった。
デザートは三品とも、これまでの満腹を忘れさせるくらい美味しくって感動だった。
外側がパリッパリのカタラーナは中がクリーム状でびっくりしたし、北斗市名物マルメロのシャーベットも爽やかで良かったけれど、特筆すべきは濃厚なバスク風チーズケーキ、いわゆるバスチーの本物である。
チーズの風味がふわっと来て舌触りはなめらかに柔らかくて思わず、
「もうコンビニの方のバスチーは食べなくていいな」
と思ってしまった。
飲み物の方は、食前酒に頼んだカヴァは美味しかったけど、白ワインの方はまあまあだったかな。次は赤ワインにしよう。
食後酒にグラッパがあって大変気になるのだけど、食事中に食後酒を頼むのは乱暴なんだろうか。
次はピンチョスを単品で頼むことになるだろうから、その時は気にしなくていいか。
我々が行った翌週はまるまる一週間店を閉めてしまって、姉妹店のラ・コンチャに誘導するとのこと。
そっちもまだ行ったことがなかったので、今度はそっちでもいいかもしれない。