休暇村支笏湖&のぼりべつ熊牧場

三連休を利用して支笏湖の方まで氷濤まつりを見に行ってきたんだけど、それは本ブログの方で書いてあるのでこちらの雑記ブログでは本筋からそれた部分のこぼれ話について。

札幌の南の方には洞爺湖支笏湖というふたつの湖があってそれこそ鳥取と島根のようにどちらがどちらかよく混同されがちなんだけど、中島があるのが洞爺湖、無いのが支笏湖と覚えると分かりやすい。

それ以外にももうひとつ大きな違いがあって、洞爺湖の方はサンパレス(潰れたけど)をはじめとする巨大ホテルが立ち並ぶ一大観光拠点となっているのに対し、支笏湖の方は端っこの方にぽつんと宿泊施設群があるだけで、割と地味なのだった。
もともと支笏湖の北側にある丸駒温泉だけに温泉が湧いていて、いまの支笏湖温泉の場所は王子製紙が木を運ぶための軽便鉄道の駅があるだけだったのを、「掘れば温泉ぐらい出るべ」と掘削して温泉地になったのが平成になってから、という事情があるからかもしれない。
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そんなわけで札幌からすぐ近くにあって自然豊かな地域に関わらず宿泊施設の数は少なく、そのうえどこも結構なお値段がする。
歴史が長い観光地だと老舗=施設が古い=少しお安めの旅館がちらほらあったりするのだけど、ここは最近開発された類の場所なので、だいたいが今風でリゾート的ゴージャスホテルになっているのだった。
そういった理由から支笏湖から足が遠のいていたのだけど、一度雪上でファットバイクにも乗ってみたかったし、宿泊者限定のライトアップされた氷濤まつりなんかも見てみたくって調べてみたら、支笏湖温泉街からすこし南に離れたところに、休暇村なるホテルがあった。
www.qkamura.or.jp

伊集院光とらじおと」のスポンサーで番組内でQパックなるセレクトギフトをプレゼントしていたので名前だけは知っていたけど、まさか北海道内にもあるとは。
調べてみると一人一泊15,000円くらいからのプランがあるので、うーん、それでもお高めだけど他に選択肢もないし泊まってみることにした。

支笏湖休暇村

建物は小綺麗だけど四角四面で面白みに欠ける感じなので、古い施設をリニューアルしたものなのかもしれない。
家人が「ここは国民宿舎なのか」と聞いてきたので調べてみると、旧厚生省が整備した保養施設だと言うので、なるほどリゾートにしては禁欲的なたたずまいをしている、と納得した。
雰囲気的にはあわび山荘やかんぽの宿に似ている。

早速温泉に行ってみると、泉質はアルカリ性でヌルヌルしていて循環ろ過のわりにはまあまあだったけど、湯船が一箇所で温度の変化もなく、露天風呂すら無いというガッカリ感。
サウナはあるけど二人も入ればすし詰めになってしまうアリバイ作りのような施設で、当然水風呂も存在しないという禁欲さにあきれた。

なんというか全体的に「国民を楽しませてやる(が、贅沢は許さない)」という気配が漂っている。
問題だったのが夕食で、会場となっている大広間は真冬にも関わらずまったく暖房が効いておらず廊下より寒い。
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当然並んでいる食事もキンキンに冷えており、鍋物やご飯といった温かい食物はこれから固形燃料に火をつけて(20分後に)店員が蓋を取りに来るまで待てという凍えさせプラン。
おまけにマンボウだからと酒類一切提供禁止という徹底っぷりで、「食事は与えてやる(が、贅沢は許さない)」という強い意志が感じられた。
焼き物は後から持ってくるというからせめて焼きたてのものが出てくるかと思いきや冷え切ってぬるくなったものが出てくるし、ひとつひとつの食材はそんなに悪くないんだけど、それを強迫的なルールによってスポイルしていると感じた。

ちょっと面白かったのは夜の氷濤まつりへの送迎バスに乗るためロビーに集まったときのこと。
そこではハープの生演奏が行われていて感心したんだけど、問題なのは添乗員がバスの説明をし始めても全然演奏をやめないので、うるさくて全然話が耳に入ってこないというw
スタッフ全員がマニュアル通りに動くことだけを考えていて、「本当のおもてなしとは何か」みたいなことを一切考えないでいるんだろうという印象を受けた。
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朝食の方はまあまあで、窓に面したカウンターに座ると野鳥が餌をついばむ様子を見ることができて心が和む。

ところがスタッフに「醤油はどこですか?」と聞くと、確かめもせず「テーブルにあります」とピシャリ。
たしかにテーブル席には醤油が置いてあるんだけど、カウンター席には無いんだよ、と思いながら無人の席から醤油を拝借したりもした。
ここらへんもほんと、冷徹マニュアル対応だよなあ。

あと、朝食会場に最近話題のバルミューダのトースターがおいてあったので使ってみた。
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エスプレッソよりも小さい小指の先くらいのサイズの小さな小さなカップでちょろっとだけ水を足す儀式がギャグみたいで面白い。
あと、焼き上がるとダイヤルの周りのLEDがくるっと一周光るという楽しいギミックも搭載されているのだけど、それを見るためにはレンジの前で焼き上がりをじっと待っていなければならないというシュールさも物凄い。
例のフォンもこのぐらいバカバカしい感じでとどめておけば許されたのにな~。

そんな感じで支笏湖休暇村は、星2.5といった感じ。
まあ、かんぽの宿よりは(少し)良かったかな。
従業員は民間のリゾートホテルに泊まっておもてなしとは何かを勉強したほうがいいと思う。

のぼりべつクマ牧場

そのあとは帰りがけに、の・ぼ・り。べ。つ! といえばのCMでおなじみのクマ牧場に寄ってみることにした。
youtu.be

冬はスキー場を除いて観光施設は閉まりがちなんだけど、ここは通年で営業していたし、一度も見ないままでいるのもどうかな、と思ったというのもある。

11時ころに到着すると駐車場はほぼ満車で、想像を超えて人気の施設だと知ってびっくりした。
牧場が山の上にあるためロープウェイを使って入場するところも、ちょいとしたアトラクションになっていて良い。
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さっそく熊用の餌を購入して檻に向かうと、死ぬほどやる気が無くなった怠惰な生き物が存在した。
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有名な手招きアピールはするものの、観光客から与えられる餌は食べ飽きているのかそれでも食べたいのか、投げてもダイレクトに口でキャッチできなければ追うこともせず、カラスに奪われるに任せている。
羆嵐やら三毛別羆事件やらで恐ろしきヒグマの生態を文章でのみ知っているけれど、いざ実物を目の当たりにするとあまりのグータラさに拍子抜けしてしまう。

どうせだったら適度に餓えさせて凶暴な姿を見せたほうが教育的によろしいんじゃないかという気もしたけれど、別にこいつらも今はダラケているけれどいざ人間が檻の中に落ちたら瞬時にバラバラにされちゃうんだろうけどね。
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ゴロゴロしていてもその猛烈な巨体はやはり印象的で、体重は最大で400kgもあるというから生身の人間というかライフル持ってたって勝てなさそうな感じはよく伝わってきた。
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小柄なメスでさえ100kg~200kgだというので、「大ぶりの熊フックをスウェーで避けてボディブロー」という作戦も効果はなさそうだし、そもそも皮下脂肪が5cmとかあるというので金属バットで殴っても効果はなさそう。
その点ツキノワグマは大人のオスで80kgくらいだというから、芝刈り中に遭遇したお爺さんが巴投げで一本取ったという話も理解できる。

このあとはスーパーやる気のないメスのヒグマの芸を見て、エゾリスを見たりアイヌの展示を見たり資料館を見ていたらいつの間にか13時になっていて、かなり有意義に時間を過ごすことができた。
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リピートは無いけれどそもそもこーゆー施設は「1億人が1回ずつ訪問すれば良い」という性質のものなので、見る側も一生に一度くらい見ておけば十分な内容だったし、意外と悪くはなかった。
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このあとはGoogleマップの忠告を無視して雪に覆われたオロフレ峠を越えて洞爺湖に行き、望羊蹄で遅めの昼食。
www.boyotei.com

Googleマップには営業時間は15時までと書いてあったけど、ラストオーダー15時で16時まで営業していたので良かった。
前回はポークチャップを頼んだので(料理を写真に撮っておくと注文のとき迷わなくていい)、今回はカツカレー。
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カレーと言うよりドミグラスソースのようなこってりとした濃厚なソースがかかって大変美味しいんだけど、あまりにボリューミーなことに加えて最近ダイエットしているせいで胃が小さくなっており、ご飯を半分くらい残してしまった。
(家人の頼んだバターたっぷりなナポリタンを半人前食べたせいでもある)

そんな感じで、泊まった場所には後悔が残るけれどお目当ての氷濤まつりと冬のアクティビティは十分に楽しめて良い旅になった。
次に支笏湖に来る時は、絶対に鶴雅の水の謌に泊まろうと思う。