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はじめてのヨーロッパ 〜ガウディとダリを訪ねて〜 Part5

泥のようにぐっすりと眠った効果で前日までの疲れはどこへやら、すっきりと目覚めることができた。寒い中薄着で歩いた上に、スペインの乾燥した風で喉が痛い気がしていたので不安だったのだけど、この時の自分はブースト的なものが効いていたのかもしれない。
 

ダリ美術館と卵の家ツアー

ダリ美術館はバルセロナから2時間ほど離れたフィゲラスという町にある。

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電車を利用してもいいのだけど、到着するのがお昼になってしまってせっかく行ったのに大行列で見学できなかった!という悲劇の旅行記を読み、安全策で現地ツアーを予約することにした。ツアーなら団体予約が入れられるので間違いがない。
だけど、日本語ガイド付きツアーは一人17、200円と結構高い。しかも、フィゲラスに行く前に「中世の街ジローナ」という、ダリと関係無い所を1時間半もほっつき歩かされるらしい。うぬぬ。
[みゅう]日本語ガイド付!高速列車で行くダリ美術館 [トラベルドンキー] バルセロナ・スペイン
それはそれで楽しいのかもしれないけれど、旅行は濃度をキープしてなんぼだと思っているので、興味がないところに何時間も使ってしまうのはとてももったいないと思ってしまう。限られた時間と体力、このふたつのリソースをいかに有効に費やすか、旅の計画を決めるにあたってはそのことを一番に考えている。
 
そこでさらに調べていくと、ダリ美術館の他に「卵の家」というダリが晩年を過ごしたアトリエも案内してくれるツアーがあることが分かった。
Salvador Dali Museum, Figueres and Cadaques Small Group Day Trip from Barcelona - Barcelona | Viator
料金も破格の8,000円! しかし英語ガイド!! ちょっと不安になったけどここに決めた。多少言葉が通じなくったって向こうだってプロなんだから大丈夫。作品の解説がなくっても「考えるな、感じろ!」で問題ないはず(´∀`*)b
 

出発前の準備

予約を入れたらHPからバウチャーを印刷して、署名をして持参する。
次に、出発の直前にツアーを開催する「エクスプローラカタルーニャ」あてに電話でリコンファームしなければならない。日本からだと国際電話になるので、前日の昼食後にバルセロナ市内の公衆電話からかけてみた。電子音声で名前とツアー名と日程を言えと言われて、しどろもどろになりながら完了。やれやれである。
 

待ち合わせ

集合場所はハードロックカフェ前。一瞬「えっ?」と思ったけど、世界的にツアーの集合場所として定番なのかもしれない。上野駅とかはどうなんだろう。
朝ごはんを抜いてタクシーできたので8時の集合時間より早く着いてしまったので、HRCの隣のカフェで暖かい飲み物を注文。

これが鬼だった。上のクリームは罪のように油っこく、下のホットチョコレートは罰のように甘い。どこにも逃げ道がない! 今後自分はスペインでは酒以外を飲む時は「カッフェ・アメリカーノ」以外は注文するまいと心に決めた。
 
店を出て待っていると人がよさそうな白髪の男性がバウチャーを持って立っているので、我々もバウチャーを出したところにガイドさんがやってきた。
ガイドさんはアンドリューさんといい、スペイン人とカナダ人のハーフなのだそうな。先にいた白髪の男性もカナダ人で、話が盛り上がっていた。我々もなんとかかんとか自己紹介をして英語がちょっと苦手なことを伝えると、君たちに話す時はシンプルにわかりやすくするね、と言ってくれた。ユーモアたっぷりで楽しい好青年。
 
一行が乗りこむのはバス、ではなく、前列中列後列3人乗りの、ちょっと大きめのバンだった。これで全員乗れるの・・・? 定員的にじゃなくて、物理的に無理っぽいんですけど。
ガイドさんの隣に我々が乗り込んだ。狭い。いっちゃ悪いけど我々二人で大人1.75人分ぐらいの幅しか無いのだぜ。それで狭いとは、ここにアジア人以外が座り込むなんて不可能では、と思った。カナダ人夫妻も3人がけに座ると、中央の座席がほぼ消失していた。Oh...。
後から来たジョージア州出身のアメリカ人夫妻もご同様。今日は8人の予定だったのだが、キャンセルが入って6人でのツアーになったのは彼らにとって幸いだったと思う。
 

フィゲラスまで

行きの車の中でアンドリューはしゃべりっぱなしだった。ツアーの説明はもちろんダリ豆知識が豊富で、本当によく勉強しているなと感心した。しかし英語を聴き続けるのは疲れる。集中すれば2分の1くらいは意味を聞き取れるのだけど、ぼやーんとしているところに「震災は大変だったね!」などと話しかけられると反応ができなくてびっくりしてしまう。聞きとり能力が足りてないことを痛感した。
 

ダリ美術館

出発から2時間ほどしてダリ美術館に到着!

壁の表面にびっしり張り付いている丸いオブジェはパンだとのこと。ダリは芸術家にならなかったら料理人になろうと思っていたから、らしいけど、普通の人はそういうことしないと思います(*_*)
美術館と、併設されている宝石美術館のチケットを配ってからアンドリューは、
「ほかのグループツアーを見てごらん。これはこうです。では次。これはこうです。では次。ああいう形式は僕は好きじゃないんだ。ダリはきっとそんなことを望んじゃいない。順路なんて無視しても構わないから、自由にこの美術館を探検して、感性の赴くままに感じて欲しい。2時間後に外の教会で集合することだけ忘れないで」
と言った。確かにね〜。前述の日本語ガイド付きツアーは1時間解説があって、1時間自由行動らしい。それで楽しめるのか、難しい判断だと思う。

館内にはコインを入れてギミックを楽しむ仕掛けが隠されている。アンドリュー曰く、
「そういうところにはアイルランド人が立っているからすぐ分かる。彼らは誰かがお金を入れるのをじっと待っていて、動き出したらその人を押しのけて前に出てくるから注意してね」
だそうだ。

ダリ美術館の中ではずっと「わー!わー!」と言いっぱなしだった。ダリさんマジ異常やで・・・。

ガウディもダリも天才という枠内にいることは間違いない。けれどうわぁ。全然違うや。

ダリの天才っぷりは「オレの異能を見て楽しめ、凡人どもよ!」という感じがする。常識のフィルターなんてどこへやら。生のままの人智を超えた発想を見せられる。面白かったり外していたり、なんでそんなことを!?ってことを真面目にやったり。とてもフリーダムだ。

パンフレットに掲載されている絵画がどこを見ても無かったので係員に尋ねたら、今はエルミタージュ美術館に展示されているそうだった。フィゲラスの美術館だけでもものすごい量があるのに、バルセロナのほかにパリやアメリカにも美術館があって、さらに展示会が世界中で行われている。天才で多作で、見るものを飽きさせることがないエンターテイナーなんだなあ。

ガウディが残念なのは、後半生において人間嫌いになって、他人からの依頼を引き受けることをやめ、結果的に寡作になったことだと感じた。カサ・バッリョのような優れた建築がもっとたくさんあればなあ、と寂しく思う。確かに彼には今も弟子たちがたくさん残っているけれど、それがガウディ的建築を増やしえいるかといえばそうではない。
それに比べるとダリは、ガラというスーパーエージェント兼奥さんがプロデュースしたおかげもあって、ダリ的思想というものを世界に広げることに成功している。

2時間あっという間だ! ここは丸一日過ごさないとダメなんじゃないか。朝から入場して、隣接のレストランでご飯を食べておみやげ屋さんを物色して、午後から再入場してもう一回楽しむような、そのぐらいの余裕があった方が絶対いい。こんなに凄いところだとは思わなかった。
 

昼食

フィゲラスからさらに東へ進み、フランスとの国境近くのポートリガトという街まで来た。
「この街はリゾート地なので、夏場はこのツアーでは来られない。そのかわりガラの城に行くことになっているので、もしまたバルセロナに来る機会があったら利用するといいと思うよ
「フランス人もここにはよくやってくる。そしてたまごの家を見つけて『おやおや、ダリのアトリエがあるぞ』なんて言って見に行くとギャー!って叫ぶことになるんだ。怖いカタラーナに『予約をしていないと見られません!』って断られるからね。僕らは予約済みだから大丈夫。見学料は別料金だけど、絶対払って見たほうがいいよ」アンドリューのジョークも冴えわたる。

青い海と白い壁。ザ・地中海。オフシーズンなので寒かったけれど、眺めはバツグンだった。ここで昼食。アンドリューが何軒かオススメの店を紹介してくれる中から、PLAZAというイタリアンレストランを選んだ。

PLAZA


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コースは10〜15ユーロで何種類かあり、スープ、前菜、メインそれぞれ料理を選ぶことができる。
魚のスープはもちろん、ミネストローネも魚のダシがしっかりしていて美味しい。スペイン風イタリアン・・・?
メインを何にするか迷った時は一番上のを選ぶのがオレのジャスティス。何かの漁師風と書いてあるようだったのが、出されてみたらこんなムール貝の大盛りだった。

思わず笑ってしまうほどの量。中身は小さいので、意外とぺろっと食べてしまった。
問題なのがピザ・マルゲリータだ。チーズとトマトだけのシンプルなピザの美味しいこと! 普段食べているものチーズと濃厚さが違う。スペインは魚介が美味しいというけれど、肉とチーズの美味しさには目を見張るものがあった。イメージだけで語ってるようじゃだめなんだなあ。

カフェ・アメリカーノを頼んだら、エスプレッソをお湯で割れとのこと。文化が違う! 焦げた豆を粉々に砕いてお湯で溶いた味がする。スペインで飲んだコーヒーは大概こんなものだった。
 

昼食後はダリファン垂涎のレアスポット、『卵の家』に突撃だ!