はじめてのヨーロッパ 〜ガウディとダリを訪ねて〜 Part4

サグラダ・ファミリアを120%満喫し、さらに貪欲にガウディ建築を堪能するべく我々はタクシーに乗り込んだ。
スペインはタクシーの初乗り料金が安くて助かる。2ユーロくらいからスタートで、市内を移動する時は6、7ユーロくらいで済んだ。二人以上で移動するなら、治安が悪いという地下鉄を利用するよりずっと早くて安くて安心だと思う。
たいていは大きな交差点の隅がタクシーだまりになっていて、運転手たち(普通のおじさん連中w)がだべっているので分かりやすい。サグラダ・ファミリアの場合は出口付近、受難のファサード側の南隅に固まっていた。
 

グエル公園


グエル公園もガウディの設計によるものでれっきとした観光地なのだが、地元の人の割合が多い気がした。この日は天気がよく、ちょうどお昼どきなだけあって陽気に誘われて出てきたのかもしれない。入場料無料のせいか、子どもがガウディのモザイク模様をスケッチしたりしていてのんびりな雰囲気。
有名な割に見所は例のモザイクドラゴンぐらいなので、あえて交通費をかけてくる所ではないかもしれない(サグラダ・ファミリアから次に向かうカサ・ミラまでは歩いても行ける)。

岩を固めて作ったこの通路はお見事。
 

カサ・ミラ

再びタクシーに乗り込み地図を指して「カサ・ミラに行って欲しい」と伝えると、
「カサ・ミロ?」
と言う。こちらではそういう発音なのか。地図を渡しているので問題はないはずなのでうんうんうなづいてみると、
「なんとかかんとかラ・ペドレラ」
と言って地図を返してよこす。なるほど、カサ・ミラがある場所にはLa Pedreraと書いてある。
「ラ・ペドレラ?」
と聞き返すと満足気だ。しかし家に帰って調べたらこれは「石切り場」という意味で、ガウディのあまりに画期的な建築物を見たバルセロナ市民が憤慨のあまりつけたニックネームなのだそうな。おいおい。

でも、確かに石切り場に見えなくもない(笑)
正面が入口じゃなくて迷ったけれど、向かって右側に長い行列ができていたので後ろに続いた。しばらく動かなくてこれは大変かな、と思ったらどんどん進んで10分くらいで入場できた。中が混まないように調整しているのかもしれない。
入場料は15ユーロ。高いよ! 家を見学するだけだよ!? と思って出発前の下調べの段階では見学に乗り気ではなかったんだけど、思った以上に中が充実していて楽しめた。

まずはエレベータで屋上へ。ポカポカ陽気で本当に気分がいい。階段に腰掛けてのんびりしている人も多い。

排気口がユニーク。ゲームのコマにしたい。ガウディの建築物をモチーフにチェスなりボードゲームを作ればイケると思うんだけどなあ。スペイン人はおみやげを用意するのが下手だと思う。

カサミラから見下ろした交差点。
電信柱も電線もないすっきりな風景がよくわかる。自動車用の信号も歩行者用のに毛が生えた程度。歩道を歩いていても、風景のセンスの良さに惚れ惚れしてしまう。ビルになんの看板も掲げられていないのは、日本と比べると大違い。こういうところがヨーロッパなんだろうなあ。

特徴的な吹き抜け。空間を贅沢に使っているというよりも、人がいる場所には自然の光が差し込んでいなければならないという哲学がガウディにはあったのかもしれない。

屋上を下るとワンフロアぶちぬきで博物館になっている。柱ではなく、クジラの肋骨のような構造によって屋上を支える独特のデザイン。カサ・ミラのみならず、その他の建築物のミニチュアや、彼が設計した家具などが数多く並んでいる。

博物館の下のフロアは建築当時、人が住んでいた様子を再現していた。中庭を囲んで一つの階にまるごと一つの家族が住むようになっていて、メイド部屋まで備えたお金持ち用の住宅となっている。いいなあ! 自分も家を建てるなら「ガウディ風にお願いします(=゚ω゚)ノ」って頼んでみたい。
  

カサ・バトリョ

続いて徒歩で移動。カサバリョは大富豪バッリョさんのために作った注文住宅なので、カサミラよりも趣味性が強くて面白かった。

入場料は19ユーロ!! 高いと思ったけれど、日本語の(!)音声ガイドの料金が含まれているのでむしろお得だった。
受付で「音声ガイドあるよ。何語?」と聞かれて「えーと、日本語・・・」と自信なく答えた時に、ニッコリ笑って日本語用を差し出された時は嬉しかった〜。
音声ガイドは最初こそ「ようこそカサ・バトリョへ」的な口上が長くて飽きそうになったけど、途中の説明が本当にわかりやすくて感動した。建物内に説明文を置かなくていい、というのもデザインを楽しむ上で重要だと思う。

海底をイメージした大広間。頭上の渦模様が楽しい。

下界を見下ろす。当時の富豪たちはみな、こぞって目抜き通りに斬新な建築物「モデルニスモ」を建築して、自分のセンスの良さと金持ちっぷりをアピールしたそうだ。たしかにこちらから見て注目の的なのは優越感があるかも。


ガウディといえば吹き抜け。
吹き抜けの上部は光が強いので暗い色のタイルを使い、光が弱い下部では明るい色のタイルが使われていて、どの階から見ても同じように明るくなるように工夫されている。下から見上げると、まるで深海の底にいるような気持ちになる。

これはデザイン面だけでなく、住民が暮らしやすくなるための工夫でもある。吹き抜けに面した窓は、上層と下層で同じように明るくなるように、上の階の窓は小さく、下の階の窓は大きくなっている。

ドアのノブはガウディが自分の手の形を石膏でとって、どんな持ち方をしてもつかみやすいようにされているそうな。

このほかにも手すりや明かり取り、換気窓などひとつひとつの調度品に住みやすさのための工夫が施されていて、サグラダ・ファミリアに引き続き、奇抜なデザインは奇抜なためにあるのではなく、必然性からそうしているのだと分かって感動した。

屋上の洗濯部屋。真っ白で柔らかな壁が素敵過ぎて住みこみたいレベル。

裏側にもこだわりのデザイン。こちらが正面でもいいくらい、十分に独創的だ。
 

昼食

カサバリョを出たところで午後3時くらいだったので、近くにある「Tapa Tapa」で昼食にした。

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ソフトドリンクがメニューに無かったけれど、「コカ・コーラくれ」と言ったら出してくれた。わりとこういう店は多い。
まだあまりスペイン的な料理を食べていなかったので、トルティーヤとパエッリャに、ピンチョス盛り合わせを注文して20ユーロ。あとでレシートを見て、ビールよりコーラが高いのに驚いた(*_*)

とろっとしたチーズにぱらりとふりかけられたトリュフがうまい! この旅でトリュフ大好きになった。
 

エル・コルテ・イングレス

外に出たら夕暮れ近くなってきたせいで、ものすごく寒くなってきた。これは辛い!とデパートに駆け込んで長袖シャツとももひきを買って着こむ。とんだスペインみやげになってしまった。Tシャツで歩いている人もいる(!)けれど、3月のバルセロナは結構寒い。ちょうどバーゲンセールで25%引きだったのはラッキー。
イトーヨーカドー的な雰囲気で入りやすいところだった。そう言えば地元のスーパーに入ろうと思っていたのすっかり忘れていたなあ。
 

カテドラル


明日の集合場所であるハードロックカフェの場所を確認してから、カテドラルへと向かった。ももひき効果は抜群だ!
路地に入るとGoogleマップが大活躍。iphoneが無いと死ぬレベル。mifi持ってきて良かった。
 

バルセロナ・ダリ美術館

途中でダリの垂れ幕がかかった建物を目にするも、ダリは明日見るし〜と思ってスルーしてしまった。ところが、帰国してから調べるとここは「バルセロナ・ダリ美術館」で、検索やガイドブックにもなかなか載っていないけれど、かなり見どころたっぷりだったらしい!
参考:「猫的生活: バルセロナ・ダリ美術館(Barcelona)

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この時はもう夕方6時くらいで、入口が閉まっていたような気がしないでもない。またスペインに来た時は必ず見に来ようと心に決めた。
 

蚤の市

カテドラルの前に出たら、蚤の市が開催されていた。あとで調べたら毎週木曜日だけとのことで、思いがけない幸運だった。
何を開けるかわからない鍵などの、アンティークともつかないガラクタがごろごろと売られていて見てまわるだけでもとても楽しい。鉤十字つきの第三帝国鉄兜とかもあったり。露天なのにクレジットカードが使えているのがすごいなあ(怖くて使えないけれど)。
 

カテドラル


サグラダ・ファミリアとは対照的な伝統的なスタイル。厳粛で冷徹な、人の上に立つ存在としての神。
対照的ではあっても基本はきちんとサグラダ・ファミリアへと踏襲されているのが凄い。つくづく思うけれど、ガウディは天才なだけじゃなくて、根っこの部分からしっかりしているんだなあと感心した。

東方より来たりし三賢者。それぞれ杖、剣、たいまつ?を持っているのがRPGっぽくて好き。

TAPEO anem de tapes


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tapeoborn.com
カテドラルの周辺にあるタパスで夕飯。

アスパラガスの天ぷら。シンプルで美味しい!

突き出しのオリーブとイベリコ豚のサラミ。サラミは食べた後、脂が口の中で固まるのがイマイチ。素直に生ハムにしておけば良かった(ちょっと高かったので諦めた)。
オリーブはラー油っぽくて美味しかったけど、全部はさすがに無理だった。 
写真が無いのが残念なのがワイルドマッシュルームのせハンバーグ。肉が日本の牛とは全然違う。赤身がジューシーで肉の味がぎっしり。こんがりと焼かれたバンズには良い香りのマヨネーズがさらっと塗ってあり、これだけ単体で食べても満足してしまう。もう一個食べたかったけれどおなかがいっぱいで断念。

小魚を揚げたものに半熟卵が乗っかっている。油物でもあっさりで日本人好みの味。近くに来たらオススメのお店です。
この他にパンコントマテを食べて、ビールを2杯とコカコーラで40ユーロ。うまうま〜。
 
お店を出て大通りに出て、タクシーを捕まえてホテルに戻った。部屋に戻ってバタンキュー。激しく階段を昇り降りしたせいで疲労していたらしく、会話の途中で寝てしまって「のび太か!?」と驚かれた、らしい。
明日はついにダリ美術館。5年越しの夢がようやく叶う。今日のように楽しい日でありますように!