ピェンローは本当に美味しいのか
冬といえば鍋の季節なので、というか楽なので、冬にかこつけて鍋をよく食べている。だいたい週一のペースかな。それを超えると流石に堕落だと思う。
市販の鍋つゆでもいいんだけど味が濃すぎるきらいがあるので、キムチ鍋とかモツ鍋みたいに専門性のある鍋の時にはお世話になるけれど、自分で味付けしていった方が自分好みの味になって良いと、最近は思い始めてきた。
といっても自分で作られる鍋なんて、水炊き(相当美味い)と、すき焼き(割り下に改良が必要)と、しゃぶしゃぶくらいしかない。
他にバリエーションをつけようと検索するとしょっちゅう出てくるのが妹尾河童でおなじみのピェンローである。
- 作者: 妹尾河童
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1999/07
- メディア: 文庫
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ネット界ではとにかく最強に美味いと褒めそやされていて、自分も何回か作ったことがあるんだけど、いまいちピンとこない。椎茸の戻し汁で煮ても白菜から出る水で薄まって「味」という味はないし、それを塩で食うとなるとつけ具合によってしょっぱ過ぎたり無味だったりして、結局ポン酢につけて食べたりすると、「なんだ、これなら普通にしゃぶしゃぶにすればよかった」と思ってしまう。
我が家のしゃぶしゃぶ
我が家のしゃぶしゃぶは出汁で煮ていくスタイル。昆布を惜しげも無く丸一本入れて、その他に出汁パックとかつおダシの顆粒とホタテパウダーと、なんならさらに液体の昆布だしを加えて沸騰させていく。
そこに豚肉を投入していくわけだけど、ちょっと味が濃いので大根の薄切りで巻いてからしゃぶしゃぶして、これをポン酢につけて一緒に食べると猛烈に美味い。
その間も白菜をグツグツと煮続けているのだが、その間に白菜は水分を出して代わりにだし汁を吸収し、さらにしゃぶしゃぶにした豚肉のエキスさえも加わって、究極の旨味野菜に進化するのだ。
ピェンローは椎茸の出汁が決め手というけれど、我が家のしゃぶしゃぶの猛烈な旨味攻撃に比べると、どうも存在感がない。もしかしたら、椎茸の美味い成分であるグアニン酸に慣れているかいないかで、ピェンローを美味しく感じるか否かに分かれるのではないだろうか。
余談だけど楽天で、別海町のハンターが撃って獲って処理して直送するという鹿肉が売られていたので興味本位で買ってみた。
ジビエだからすき焼きにでもしてやろうと思っていたら妻が、
「パッケージにしゃぶしゃぶ用って書いてあるよ」
というので、(このやろう、獣臭くても知らねえぞ)と内心思いながらしゃぶしゃぶにしてみた。
するとこれが尋常じゃないぐらい美味しくて、肉は噛めば噛むほどビーフジャーキーのように旨味がほとばしるし、脂身は甘くて濃厚でミルクのようで、和牛などとは別次元で最強に美味かった。その代わりアクも尋常じゃないぐらい出るのだが、聞くところによると洋食ではアクは旨味の元だからと捨てないのだそうな。和食では雑味に繋がるから捨てるしもちろんしゃぶしゃぶでも捨てるんだけど、それだけ旨味成分がものすごく豊富に含まれているということなのだろう。
そのことをツイッターで呟いたらハンターの人から「鹿肉なんて美味しいと感じたことないから何事かと思ったらエゾシカだったのか」みたいな反応があって、獲りたてで新鮮なエゾシカ肉の旨さは鹿の概念を覆すぐらい美味しいのかもしれない。鹿の旬は冬。