掃海艦「あわじ」&掃海艇「はつしま」一般公開に行ってきました

夏は自衛隊の一般公開の季節です。先週の潜水艦救難母艦「ちよだ」一般公開に引き続き、今回は掃海艇の一般公開を行うということでしたので観に行ってきました。

hakodate-event.com

掃海艇とは、水中に浮かぶ機雷を除去するための船です。

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船を破壊するための兵器を船で除去してやろうというのはなかなか無茶な感じがするのですが、掃海艇は船体が木やFRPで作られているので大丈夫なんだとか。機雷は金属や磁気に反応して爆発するので、船体を木で作ることでいわば「海のステルス」になるわけです。戦車とかだと敵の砲撃に耐えるために装甲を厚くしたりするんですが、船だと逆の発想になるんですね。

掃海艦「あわじ」

こちらは今年の3月に就航したばかりの最新鋭掃海艦「あわじ」です。

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”艦”とついているわりに結構小さいですね~。ちなみに”艦”と”艇”の違いは排水量で、フル装備で1,000トン以上だと”艦”になるんじゃなかったかな。もう一隻の「はつしま」は掃海艇なので、それよりは一回りほど大きいのですが、それでも「あわじ」はこの前見てきた潜水艦救難母艦「ちよだ」のわずか8分の1しかないので、係留されている状態でも結構揺れます。これは酔いそう。

艦の後部にある黄色いワイヤーがこの艦の必殺技。こいつを後部に流してから電流を流し、その電撃で機雷を爆破! ではなく、右ねじの法則によって磁界を発生させ、そこに船がいるかのように錯覚させて機雷をおびき寄せるのだとか。

ちなみに隊員の方に説明を聞いていたらリアルに「右ねじの法則ってあるじゃないですか」と言われたので驚きました。そんな単語を聞いたの中学校以来です(^_^;)

基本的に敵を攻撃する艦ではないので、武装はこの20mm機関砲のみ。しかも狙いは主に、海に浮かんだ機雷だそうです。

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右上に見える白いカメラと連動していて、波で揺れている目標を追尾する機能もあるとのこと。

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これが艦橋にある管制装置。右下のジョイスティックで向きを操作し、このモニターに表示された標的を確認して撃破!

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艦内にはこんな感じの案内板がたくさん用意されています。歓迎ムードが感じられますね。

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掃海艇「はつしま」

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「はつしま」は「あわじ」よりも一回り小さい掃海艇です。装備もだいたい似通っているのですが、展示の内容が「二隻で掃海艇の役割を理解する」ようになっているので、重複している感じはあまりありません。

機雷にもいろいろ種類があって、水上に浮いていたり、ワイヤーでつながれているタイプは先程の要領で撃破できるのですが、海底に沈んでいるものについては無人探査機を使って爆破することになります。

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リモコン操縦で機雷のすぐ側まで近づいたら爆雷を投下して撃破!

機雷は何に反応するかによって種類が豊富なうえ、センサーが複合的だったり改造されていたりして、なかなか一筋縄ではいかないとのこと。そのために機雷を除去する手段も数多く用意されているのですが、やはりなんといっても最強の対機雷兵器といえばこちら!

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そう、人間です。確かに船を狙いにしているのなら人間には反応しないのかもしれないけど、普通に怖い。

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これはWikipediaの機雷の写真ですが、触発機雷のトゲトゲはガラスで作られてるとのことなので、ちょいとした衝撃でドカーンとなるかもしれない。だけど機雷を破壊しなければ、もっと多くの人命が失われるかもしれない。自分の命をかけてでも守ろうという使命感がなければ取り組むことができない仕事なのだと思いました。

おまけのM901発射機

負けじと陸上自衛隊パトリオットの発射機を展示していました。

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海自の展示に陸自が相乗りするのはよくあるパターン。以前「ひゅうが」を見に行ったときもそうでした。

pikaring.hatenablog.com

これは陸上自衛隊の駐屯地と海上自衛隊の基地がある函館ならではの展示なのかな。千歳の航空祭を見に行った時は、普通に空自の機材ばかりだったような気もしたけれど。

艦むす化はまだかな

「あわじ」は旧軍では海防艦として活躍していたそうですが、艦これにはまだ登場していない模様。海防艦というジャンル自体が追加されたばかりなので、御蔵型もこれからなのかもしれませんね。

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海防艦駆逐艦より小さいから小学校低学年って感じですな。

一方の「はつしま」は電纜敷設艇(読めない)ということで、機雷をばらまく方の役割を果たしていたとのこと。

初島型電纜敷設艇 - Wikipedia

名前とその役割が受け継がれていくところに、船の特別さを感じます。飛行機や戦車は使い捨てですからねえ。