20年ぶりの日蝕

偶然見れた。

曇っていたおかげですすガラスもなにもなしに目視できた。多分、トカラ列島にいる人よりもよく見えたと思う(皆既日食ではないけど)。
三日月のようにぽっかりと欠けた太陽は、思っていた以上に感動的な姿だった。地球と、太陽と、月と。この3者の距離の配分が少しでも違っていたら、ちょっとでも角度が変わっていたら、ほんのわずかでも大きさが違っていたらありえない光景。その偶然を思うと、身が震えるような思いがした。
 
偶然ではありえない? いやいや。偶然にありえてないことは無数にあって、偶然にありえてないから気にされていないことの方がもっと多いだけのことですよ。
そうやって囁く理性の声が、ほとんど聞こえなくなるぐらいに偉大な偶然。
0の後に小数点がいくつ続くかわからないような偶然を目にしてしまうと、人は、奇跡の存在を信じてしまうのだなあ。
 
そういえば、20年前にも日蝕を見たのだった。あれは自分が小学校のとき。そのころの思い出はほとんど無いけど、その日のことだけは不思議とおぼえている。確かヤマダ氏は親に用意してもらったすごく良い道具を持ってきていたはず。それを教師に自慢げに説明していた。
あの日見た欠けた太陽の姿はおぼえていないけれど、そんなことばかり記憶している脳のメカニズムはなんとも不思議だ。