そんなに純粋じゃない

前回は5日に3冊と言っていたが今回は4日で3冊。なかなか良いペースになってきた。ガシガシと読んでいるせいか本から受ける感動の量も増えている気がする。これも良い傾向。
 

花と流れ星


シリーズものだと知らないで読んでしまった! けど面白かったので良し。
どこかお気楽なムードを漂わせながらもしっかりとダークなところが道尾秀介らしさ。トリックはやさしめだけど、最後に明かされる切なさや悲しさのようなものがしみじみと伝わってくる。他の作品よりも少しだけ肩の力が抜けていて、道尾初心者にもオススメの一冊でした。
  

天の夕顔


Amazonで時雨の記を購入した人にオススメだというので読んでみたけど、どうだろう。あらすじはこんな感じ。

主人公は下宿のお嬢さん(既婚者だが旦那は海外赴任)から好意を寄せられているのを知って、徐々に心が動いていく。しかし一線を超えようとするのは固く拒まれる。
主人公はその後東京に出て働き出し、ほかの女性と結婚しなければならないはめになって彼女に相談しに行くが、私のことは忘れてその女性と結婚しなさいと言われる。
結婚生活にいまいちなじめず離婚した主人公は、息子の進学のために上京していた彼女を偶然見かけてしまい、東京の彼女の家を探し出して訪ねに行くも断られる。
絶望した主人公は仕事をやめて山で暮らす。冬を越した後再び彼女を訪ねに行くと、「あと5年待って欲しい」と言われ、喜びいさんで山に戻る。
5年後家に帰ると1通のはがきが届いており、そこには「重い病に苦しんでいて約束の日まで生きられない」と書かれていた。世をはかなんだ主人公は花火師になり、天国にいる彼女に向けて花火を打ち上げる。

愛する女性のために人生を棒にふること自体はありだと思うんだけど、読んでいて彼女の方が主人公を思う気持ちが全然伝わってこないので、どうして主人公がここまで思いつめるかについて感情移入できなかった。ちょっと見方を変えれば、寂しさにちょいと若い男に手を出してみた奥様が、彼の方が本気になったのをみてうまいこと言って遠ざけていただけの物語にしか読めないんだよねえ。
いや、嘘をつかれていたとしてもそれだけ人を純粋に愛せるんだったらいいじゃないかと言われたらそれまでなんだけど、自分はそこまで純粋にはなれないです。
これに比べるとこの前読んだ『時雨の記』はすごくいい話だった。2つの話はどちらも道ならぬ恋かつプラトニックな関係を描いていていて、両方とも名作の誉れが高いのにどうしてこう自分の中での評価が違ってくるのかと考えると、自分はやっぱり一緒に過ごす時間が大事なんだろうな。それは自分が純粋じゃないという証拠かもしれないけれど、自分のことを振り向いてくれるまで十何年も報われる事なく待ち続けるなんて絶対無理だ、と思った。
 

スイートリトルライズ


村山由佳より江國香織の方があっさりして読みやすいけど、その分毒は少なめ。だけどこのぐらいのテンションが逆に普通で受けるのかもしれない。
 
はてな年間100冊読書クラブ 274/303)