まとめて3冊

ちょっとばたばたしていて感想文を書く余裕がなかったので3冊まとめて。

『贖罪』湊かなえ


『告白』は今年読んだ本の中でベスト3に入る凄い本だったので期待して読んでみたんだけど、これはそこまでではなかったかな。「身勝手が人をも殺す」というテーマは悪くないけど、それがちょっと鼻につく感じ。
最初の短編こそ読ませるけど、構成が似ていてマンネリ気味だったのも残念。
 

『植物図鑑』有川浩


バリバリ働く女主人公とタイトル通りの草食系男子とのあまりにご都合主義なラブストーリーで、男女を入れ換えるといわゆるラノベ的な展開になるのが面白くて最初から最後までニヤニヤしながら読んだ。
普通は女性向けの恋愛小説を読むことなんてありえないけど、有川浩だから許されるようなところがあるのでわりと好んで読んでいる。
 

『ブラザー・サン シスター・ムーン』恩田陸


なんだかよく分からないけどなんだか面白い、不思議な読後感は恩田陸ならでは。3人の登場人物の青春群像が語られるのだけど、それが何を意味するのか、何を語りたいのかはよく分からない。章が進むたびに混乱の度合いも深くなる。自伝的なものを書いたけど照れてあとの2つを書き足したのかもしれない、などと考えたり。
登場人物たちは口々に、青春時代の出来事に特に語るべきことも、思い出すことも無いと言う。3人の語りを聞くうちに、語られることの無い何かがあることに読者は気がつく。けれどその”語られなかった何か”が語られることはついに無い。ドーナツの穴を味わうような小説だった。
 
はてな年間100冊読書クラブ 222/229)