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タイトルと表紙にだまさるな!

東大入試 至高の国語「第二問」 (朝日選書)

東大入試 至高の国語「第二問」 (朝日選書)

一つの大学の入学試験問題が、一つのテーマに従っているという事実にまず脱帽。一貫して受験者たちに対して訴えかけることは、「徹底的に疑え」ということ。誰が空気のように、常識として何気なくやり過ごしている事に対して違和感を持つことを強制してくる。受験する全ての人間に、哲学の種を植えつけていこうという姿勢に畏敬の念さえ覚える。
モチーフが至高なら作者の文体も素晴らしかった。良い子面した『解答例』を軽快に切り捨て、問題文の裏に潜む闇を披露する様はちょっとしたトリックスターだ。死」とは何か、我々の「生きる意味」とは何か、真面目に考えるのにすこし躊躇するような青臭い問題について再び考える機会を与えてくれる名著だった。
それだけに表紙とタイトルのいけてなさには脱力。もっと読まれるべき本なのに、変なところで鬼のように損をしている。もったいない。
 
はてな年間100冊読書クラブ 151/200)