連鎖する悪意

直木賞候補作2つ目。

何気ないマナー違反が積み重なったために起きた悲劇、というテーマ。犬の糞を放置したり、重病でもないのに夜間診療を利用したり、そんな罪とも言えぬような罪が少しずつ悪事ゲージを貯めていくのが恐い。
裁くことができない犯罪が歯がゆく恐ろしくて良いのだけど、結局読み終えてみると「で、なに? マナーを守ればこんなことにならないんだよってこと?」って思ってしまう。特に後半、被害者の父親が事件の真相を暴こうとするところが冗長だし道徳の押しつけ感があって、面白みを損ねているように感じた。読者が一度読んで分かっていることを、どうして作中人物の目を借りてもう一度追体験させなければならないのだろうか。
 
読み始めは湊かなえの『告白』みたいな恐さを感じたのに、なんだろうな〜、この読み終えたあとのがっかり感は。新聞に連載するような小説だと、こんないい子ちゃんにならざるを得ないのかねえ。
はてな年間100冊読書クラブ 202/229)
 

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