異常巻アンモナイトを見に三笠市へ行ってきた ~どっきり編~

物珍しさから辺鄙な温泉宿に泊まったところ散々な目にあったので、翌日は早々にチェックアウトして桂沢湖に向かった。
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湖畔公園の廃墟っぷりがイカしている。
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Fallout感がある恐竜も素敵。
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夕張も三笠も炭鉱系の町はだいたい、

鉱山で賑わう
 ↓
閉山してピンチ
 ↓
観光にシフト(バブル期)
 ↓
バブル崩壊

という流れをたどっているのがなんとも味わい深い。

三笠市立博物館

湖の周りを散策しているうちにオープン時間になったので、本日のメインイベントである三笠市立博物館へ。

www.city.mikasa.hokkaido.jp

全体的に滅びゆく感じのある三笠市の中で例外なく廃墟感のある博物館の外観に「どんなもんじゃい」と思ったものの、一歩中に足を踏み入れるとそこはアンモナイト・ワンダーランドだった。

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デカイ! 数が多い!

展示内容も充実していて、アンモナイトだけに絞った系統樹や、種類別の展示が超マニアックに陳列してあって凄かった。

やっぱり最高なのは異常巻アンモナイトだよなあ。
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巻き貝というのは言ってみれば螺旋状に貝殻が形成されていくわけだ。
最初はまっすぐの円錐状だったものが、形成されるプログラムにバグがあって曲率が変わり、うねってみたり折りたたまれたり形が変わっていく。
そうやっていろんな形を経て渦巻き型が最も安定するとして定着するんだけど、そこからさらに変なふうにネジ曲がってしまったアンモナイトの無情さと言ったらないよね。
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どう考えても泳ぎにくそうな形なのに、貝が伸びる向きは自分ではどうにもできない。
しかも、これはこれで大量に化石が残るほどに繁栄してしまっているのが謎だ。

https://www.instagram.com/p/CG4vVKCnWOk/

アンモナイトという「かつて繁栄し、滅びてしまった」種族をかつての炭鉱の町、三笠市で見るというのもいとおかしである。

鉱山の歴史にやられた

アンモナイトの展示館の反対側には三笠市の歴史についての展示もあったんだけど、いやはや、ここも必見だった。
炭鉱の歴史は爆発に次ぐ爆発で死亡事故は絶えないし、怪我をしたり死んだりしても保障はない。
代わりに友子制度というギルド的な組織があって、鉱夫の間で親となり子となり兄弟となって助け合ったとのこと。
一人前の鉱夫になると「友子取立式」というのを行うのだけど、その様子がヤクザ映画のような物凄い迫力があって震え上がった。
お互いの命をお互いが握り合うという死と隣り合わせの鉱山においては、新人を職場に迎え入れる行為自体が周りの人間にとって死の危険をはらみ、逆に死を全員が受け入れるという覚悟があったんだろう。

そしてその後に入った、空知集治監の歴史も凄かった。
まさにゴールデンカムイの世界そのもので、本州まで逃げるのが難しいからと凶悪犯を次から次に蝦夷地に送り込み、ついでに労役を課せばコスパがいいからと鉱山にどんどん送り込み、最盛期には鉱夫の4人に3人が囚人になったというからヤバい。
ただの素人がいきなり鉱山に送り込まれるものだから死傷者は増える一方で、さらには逃げ出した囚人が周りの開拓者を殺すわ奪うわという仁義なき歴史があからさまになっていた。
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囚人に関しては政治犯が収監されるようになってあんまり無茶をさせられないとのことで数年でやらなくなったのだが、その後はアイヌや中国・韓国から強制連行してきた人を使ったという話はサラッと触れられているだけだった。
地元のすごく偉い人の勲章やらを飾っている展示室なんて潰してしまって、そういった歴史の暗部にきちっと光を当てるようにするともっと良かったかもね。


集治監の歴史に震えたので、ついでに典獄官舎跡地に残るレンガ作りの煙突を見に行った。
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空知集治監の典獄は、刑務所の所長どころか村役場の村長と警察署長を兼ねていたと言うからヤバい。
地元の名士かもしれないけれど、刑務所のすぐ近くには千人塚という、「囚人の死人が多すぎて墓地が足りなくなったから1,000人分ひとまとめにしちゃうね(はーと」みたいな感じのスポットがあったりするからなー。

三笠の道の駅

博物館に圧倒された後は、近くにある三笠の道の駅へ。
www.hokkaido-michinoeki.jp
ここでアンモナイトを買ったり、鶏醤なる謎の調味料を買ったりした。

鶏の内臓を発酵させて作った魚醤のような天然うまみ調味料らしい。

ところが会計の時に事件は起こった。
旅館でもらったGO TOクーポンを使えるか聞いたところ、ダメだという。
道の駅で使えないんじゃ、一体どこで使えるというのか。
有効期限も一日しか無いし、制度考えたやつマジで頭おかしい。
幸い、途中のガソリンスタンドで使えたので助かったけれど。


隣接する食の蔵には美味しそうなものがたくさんあったので思わず衝動買いしてしまった。
生食パンに豆腐、ちくわチーズの燻製なんかを買っているうちに、どうせならここで昼食にしてしまえとお惣菜屋さんでカツサンドを買っていたら妻が、
「さっきのパン屋で見たクリームクロワッサン買ってくる」
と言って出ていったかと思うと、クロワッサン意外に謎の緑色の球体を抱えて戻ってきた。
聞けば偶然メロンパンの焼き上がり時間だったので買ってきたとのこと。
このメロンパンが相当なもので、緑色の皮を破ると中からオレンジ色の生地が顔を出し、あたかも夕張メロンのよう。
しかも中に詰められたクリームにはメロン果汁がたっぷりで、まさに「メロンが入ったメロンパン」、真・メロンパンという感じで激ウマだった。

きのこ王国本店

その後は札幌の渋滞を避けて支笏湖経由で洞爺湖へ向かった。
途中できのこ王国の本店を見つけたのでここで休憩。
www.kinoko-oukoku.com
以前は国道453号沿いにあったので函館から札幌に行く途中でよく寄っていたんだけど、2011年に施設老朽化により喜茂別店が閉店してしまってからとんとご無沙汰だった。
久しぶりに入ってみると相変わらずの大賑わい。
とりあえず椎茸と舞茸ときのこ汁の素、きのこ釜飯の素などを山のように買い込んでみた。

落葉キノコを買うかどうか迷ったんだけど、1パック1,000円という値段にビビって断念。

ザ・ウィンザーホテル洞爺

今回の旅の最後を締めくくるのは、北海道が誇る高級ホテル、ザ・ウィンザーホテル洞爺だ。
www.windsor-hotels.co.jp
洞爺湖のほとりにある山頂にそびえ立つその勇姿はまるで悪の居城のよう。
なにせサミットが行われるほどの高級ホテルなので、泊まるなんて思いもよらなかった。
調べてみると素泊まりで25,000円くらいするらしい。
湯の元温泉の4倍だ! と考えると逆に安いか!?

そんなわけで建築された当初からずっと下界から見上げるだけしかできなかった庶民の我々だったのだが、ある日ふと
「カフェだけなら利用できるのでは?」
ということに思い至った。

入口のところにある庶民センサーにユニクロのタグが引っかかって、
「貧乏人は天狗まんじゅうでも食ってろ!」
と蒸したての饅頭を投げつけられるおそれもあったけれど、ひとまずチャレンジしてみることにした。


ウィンザーまではまず、洞爺湖畔にあるレークヒル・ファーム(アイスが美味しい)からポロモイ山の山頂まで、距離4.7km獲得標高270mのヒルクライムが必要だ。
車だとわりと大変だけどロードバイクで登るのにはちょうど良さそうだったので、今度チャレンジしてみようと思う。

山頂までたどり着いて屋外駐車場に車を停め、小雨交じりの寒風が吹きすさぶ長い斜面をしばらく歩いてようやくエントランスに到着。
宿泊客は車でエントランスまで来てホテルマンが駐車場まで運んでくれるのでこんな苦労はせずに済むのだった。

幸いにも入口の警備はゆるく、庶民センサーにも引っかからずに無事に中に入ることができた。

カフェゼット


関連ランキング:カフェ | 豊浦駅

高級ホテルの割にケーキセットは1,500円くらいの常識的な価格。
紅茶は自分は無難にダージリンを、妻は追加料金でトップオブオリエンタル(ラプサンスーチョンとキーマンのブレンド)を選んだ。
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ケーキはね、めっちゃ美味しい。
ひとくち食べて
「いい材料使ってるねー」
と分かる。
洋酒の効いたシブーストの濃厚な甘さと、キャラメリゼしたリンゴの爽やかな甘さが二段構えで襲ってくる。
なんというか、ケーキで儲けようとしてない味、というのかな。
価格に占める原材料費がかなり多くて、むしろコスパがいいと感じた。

残念なのが紅茶に差し湯が無く、後半になるとラスプーチン正露丸臭さが際立ってしまったところ。
ダージリンはミルクを頼んで中和できる)
それと、水の生臭さには参った。
貯水槽のメンテをちゃんとやってるのか不安になるレベルだった(高級店なので辛口評価)。

カロンを注文したら運悪く品切れで、と思ったら端っこが欠けて商品にならないのをサービスで出してくれたのでプラスマイナスゼロと評価したい。


にしても、ケーキを食べている間に次から次にお客さんがやってくるのに驚いた。
日曜日だというのに家族連れやらツアー客やら老夫婦やらがワシワシと入ってくる。

確かに高級ホテルの方がGO TOキャンペーンの恩恵はでかいよね。
湯の元温泉みたいに10,000円が6,000円になっても旨味がないけれど、50,000円が30,000円になるんだったら「それなら泊まれる!」となる人は多いだろうし。
富裕層が動いたほうが金の流れもいいわけだから、経済を動かすのに金持ち目線の施策になってしまうのは仕方がないかもね。

温泉が大したことないらしいので多分泊まりはしないだろうけど、カフェはまた行ってみたい。
できればもっと暖かい季節に。

八雲町 ピアット

夕飯は八雲町にあるピアットに寄ってみた。
函館市内にあるピアッティと名前がよく似ているけれど無関係なんだろうか。


関連ランキング:イタリアン | 八雲駅

一人で八雲を通るときは山岡家で済ませることが多いのだけど、今回は妻が一緒なので随分前から気になっていたピザ屋さんに寄ってみた。

田舎なので甘く見ていたら意外や意外、地元産の食材を使ったメニューが豊富で、しかもどれも美味しい。

自分が頼んだイタリアンハンバーグは、八雲豚と八雲牛の合いびき肉を使っているとのことで、ふわふわ食感でジューシーで新感覚。
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妻が頼んだボロネーゼは(ひき肉が少ないという欠点はあったけど)、ソースが濃厚で生パスタはモチモチでとても良かった。

デザートのティラミスもザバイオーネの風味がよくて本格派で、なかなか侮れない。


1日めはがっかり続きだったのでどうなることかと思ったけれど、2日目はかなり楽しめた。
特に三笠市立博物館はスマッシュヒットだったなあ。
アンモナイトも相当凄かったけど、炭鉱を巡る黒い歴史を垣間見ることができて良かった。
来年あたり、アンモナイト採集ツアーに行ってみようかな。