ダンケルクの面白さがわからない人がこんなにいるとは!(まあそうだろな)
ダンケルクは封切り日に見に行ってきました。めっちゃ面白かったです。終わり。
ではなくて、確かに見ながら「これはめちゃくちゃ面白いけど、人を選びまくるな」と思ったのも事実。この監督、わからない人を完全に切り捨ててやがるな、とも思いました。だからわかる人には最高に面白いんだけど、ね。
でもまあ、分からないという人がいるのも理解できます(^_^;)
戦争映画なのでしょっちゅう戦闘があるんですが、どれもとにかく地味で、シリアスで、徹底的にリアリスティックで、死ぬか殺されるかしか無い戦争という異常な世界。
銃撃は常に不意打ち。誰かが倒れてはじめて撃たれていることに気が付くという容赦のなさ。爆撃機が襲ってきたら地面に身を伏せるしか無い。魚雷に狙われたら死ぬしかない。
スクリーンの中にいるのはアノニマスな我々であって、それぞれに殺され、死んでいく。
戦争とは、敵とは、ただ概念であって、殺意を向ける間もなく殺意を向けられるだけで死んでいく。そういう点ではある意味で「この世界の片隅に」と非常に共通している戦争感だと思うんですがどうですかね。ヒーローではなく事態を打開できない我々は、日々をただ懸命に生きること、やるべきことをやることしかできない。それは別に皮肉なんかじゃなくって、単なる事実、絶望としての事実。諦めでも希望でもない、祈りのようなものが根底にある、ような気がしました。
映画を通じて本物の戦争を体験する、そういうコンセプトのもとに作られているので、普通のドンドンパチパチいうような戦争映画を求めて映画館に行ったとすれば、期待はずれになるのも仕方のない話だと、ダンケルクを十分に楽しんだ自分も思います。
ダンケルクの良かったところ
では自分はどんなところを気に入ったのかといえば、やはりミリオタ&プラモデラー目線w というか、それ以外の人が見に来る動機がよく分からないw
この映画は陸・海・空の3つの舞台が交互に進行していくんですが、もうそのワードでミリオタ的には満足ですよね。陸・海・空!
CG嫌いで本物マニアのクリストファー・ノーラン監督だからこそのこだわりで使用された、本物のスピットファイアの実在感が凄い。ディティールが細かすぎるし、情報量が多すぎる。空戦が地味で、撃たれても大爆発とかはなく、いつの間にかいなくなっていたり、エンジンから煙を吹いてそのままフェードアウトしたり。そういうリアリズムにいちいち唸らされます。
さらに駆逐艦が脆いのが嫌すぎる! 直掩機なしに爆撃機に狙われたら沈むしか無いし、Uボートに魚雷を打たれたら沈むしか無い。鉄の棺桶かよ!?
そして何と言っても、このダンケルクからの撤退が後のノルマンディ上陸作戦に続いているというのが感慨深い。史上最大の作戦の前に、史上最大の撤退作戦があったんだ! と感動しました。
映画の序盤はあきらめムード。40万人の将兵が全滅の危機にあって、次はイギリス本土で決戦。だから空軍も海軍も戦力を温存して撤退作戦には出し惜しみをしている状態。どうにか無事に本土に戻ってこられた兵士も、自分たちは負け犬だと凹んでいる。ところが本国では、絶望的な状況から36万人を救い出したとあって大フィーバー状態、よくぞ帰ってきた、ここから反撃だ! と盛り上がっているんですね。まさにI shall return状態。
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この作戦の成功があったから、無謀とも言える逆上陸作戦に挑戦し、成功できたんだなあ。そういう、前後の背景に思いを馳せられるのならば絶対に見ておきたい映画です。
といいつつも、映画的エンターテイメントとは無縁かと言われればそんなことはなく、結構小ネタが効いて笑える部分も多かったです。イギリス人は事あるごとに紅茶を飲むし(揺れる船の中でもこぼさない!)、フランス人をフロッギー(カエル食い)と馬鹿にするし、主人公の名前はトミーだし(イギリス兵の通称。トミーガンばっか使うから、らしい)、そもそもストーリー自体も、陸海空と3つの舞台で展開されていた物語が最後見事に集約されていくところは見事。訓練された映画ファンなら間違いなく楽しめる作品だと思います。
ダンケルクを楽しめない人
まあ、確かにダンケルクは「ダンケルクしかない」ので、こういう感想もよく分かるんですが、
「ダンケルク」観てきた。最初から最後まで全部ダンケルクだった。暖簾に「とんかつ」て書いてあって本当にメニューにとんかつしかない店みたいな映画だった。おかしな例えだが仕方ない。
— ドリヤス工場@9月7日単行本発売 (@driyasfabrik) 2017年9月13日
ダンケルクをトンカツに例えるのなら、ひとくち食べて、その豚が生きていた牧場やそこで暮らす家族のことまで思いを馳せることができるような、そんなトンカツ。わかる人にはそれが分かる。分かるように作られている。わからない人でも十分に鍛えられた味覚があれば、「分かんないけどなんか凄い!」となる。なるように作られている。
でもそのトンカツを食べて「で?」となる人や、この店に入って「トンカツしかないのかよ……」となってる人がいるのもよく分かる。セリフがほとんど無いということは「この豚肉は九州の黒豚で」みたいなウンチクも無いということなので、前述したようにわからない人にはわからない。
だから、「で?」と言っている人を見ても、入るお店を間違えたんじゃないですか、としかいいようがないんですよね。好みの問題。分からない人が迷い込んできて文句を言うのは宣伝のせいもあるから、ご愁傷様でした、という感じかな。
たしかにこの予告編を見たら期待しちゃうかもしれない。でもインターステラーの時も家族愛とカントリー要素を前面に押し出したポスターで???となってる人が多かったような思い出もあるし。
騙されたと思って見に行って欲しい映画ではないし、誰にでも無条件で楽しめる映画ではありません。でも純粋に映画が好きな人ならば、きっと感じ入るところがあるんじゃないかなあ。
映画のお供にホットボックス
地元の映画館に行く前に、必ず立ち寄るのがハンバーガー屋さん。
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なんとマクドナルドの真向かいにあるんですが、マック(笑)という感じの本格派。同じハンバーガー、同じ牛の肉、同じパンというそれぞれ等しい物体を使いながら、どうしてここまで差が出るんだろうか、と思います。天と地ほど、雲泥ほど差があるという表現があるけれど、天と地は別のものだから差があっても不思議ではないし、月とスッポンは似ているけれど別物という意味だし、同じハンバーガーというジャンルにあってよいのだろうか、という戸惑いさえ覚えるレベル。
バーガーの種類が豊富なのも良くて、今回はラムバーガーを注文してみました。
ラムのひき肉ってどんなもんじゃい、と思っていたらジューシーで香り高くてラム肉の良さしか無くて唸る。
飲み物はいつもルートビア。沖縄のA&Wで知ったんですが、本格的なハンバーガーにはルートビアが良く合います。
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地元のフレッシュネスバーガーが撤退してきちんとしたハンバーガーが食べられなくなって辛かったけど、ホットボックスがあれば満足かな。また面白そうな映画が来ないだろうか。そしたら食べに行けるのに。