惑星とは何か

誰が何と言おうと、僕の心の中では君は永遠に惑星だぜ!
 
 というのはおいといて、どうせだったら減らすより増やしたほうが面白かったのに。セレスやカロンにどんな和名がつくのかわくわくしていたこの気持ちをどうしてくれようか。
 とまれ、惑星として完全に認知されていようとも、理屈に合わないものはバッサリと切る姿勢、科学者らしくて好きです。でも今回決まった惑星の定義はちょっとあいまいではないだろうか。惑星の定義は、

  • 太陽を周回する
  • 自らの重力で球状となる
  • 軌道周辺で、圧倒的に支配的な天体

 という風に決定されたのだが、3番目の条件はかなり主観に左右されるものだと思うのだ。
 そこで惑星とその衛星の中の一番大きいものとの直径比を並べてみた。そうするとなかなか面白いことが見えてくるのです。「軌道周辺で、圧倒的に支配的な天体」という定義をまともに当てはめると、惑星ではない天体は冥王星の他にも発見されるのでした。まずは以下のリストを見てほしい。
 

惑星 惑星の直径(km) 最大の衛星 衛星の直径(km) 直径比
水星 4,879.4 - -
金星 12,103.6 - -
地球 12,756.3 3,474.8 3.67
火星 6,794.4 フォボス 22.2 306.05
(セレス) 959.2 - -
木星 142,984 ガニメデ 5,264.4 27.17
土星 120,536 タイタン 5,151 23.40
天王星 51,118 タイタニア 1,577.8 32.39
海王星 49,572 トリトン 2,700 18.36
冥王星 2,320 カロン 1,186 1.95
2003UB313 2,400 - -

 
 軌道周辺で圧倒的に支配的、ということを単純に主星と衛星の直径比で考えてみると、その差が最小なのはもちろん冥王星である。カロンのたったの2倍の直径しか持たない冥王星は、そういう意味では惑星と衛星という関係ではなく二重星だと見たほうが自然かもしれない。つまり、この定義によって冥王星が惑星のリストから外れることは至極自然なことなのである。
 ところが、この他にも直径比が1に近い天体があるので問題はややこやしいのだ。
 冥王星並みに"圧倒的でない"天体、それは"地球"なのである。
 この直径表を眺めてみると、直径比が1に近いものは、1位の1.95と2位の3.67という数値が他を大きく離していることに気付くだろう。地球-月系もまた、太陽系の天体の中ではほとんど二重星なのだ。つまり「軌道周辺で、圧倒的に支配的な天体」という定義をまともにあてはめるようとすると、我らが地球すらも惑星の範疇から外れてしまうことになってしまうのである。
 これではなんのために定義づけをしたのかわからない。そこで、なんとかして冥王星(を含む矮星)は除外し、地球は惑星としておきたいので、今度は「軌道周辺で、圧倒的に支配的な天体」という言葉の定義をこじつけて(笑)うまいこと考えなくてはならないのであります。
 というわけで明日は、この3番目の定義の意味を掘り下げて考えてみたいと思います。