函館市のナンバーワン温泉はやっぱりホテルひろめ荘
前回は鹿部町で特製たらこ御膳を食べた話を書きましたが、実はそこにたどりつくまでに紆余曲折があったのでした。
恵山温泉に行こうと思った
当初の目的地は恵山温泉でした。
前の週に入りに行った谷地頭温泉は、函館山という休火山の影響で鉄分を多く含む濁ったお湯が特徴です。函館市の西側にある恵山は活火山で、その麓にある温泉もまた一種独特、強い酸性を持った黒いお湯だというので一度入ってみたかったのですがなかなかその機会がなかったので、温泉レビューを書き始めたのをきっかけに入ってこようかな、と思ったわけです。
恵山は函館市の東側の突端にある山です。山を挟んで南側が旧恵山町、北側が旧椴法華村で、どちらも平成16年に函館市に合併されたわけですが、この2つの地域はめちゃくちゃ仲が悪いことで有名です。
そもそも恵山町はもともと、「尻岸内町」という名前でした。いかにも北海道っぽい、アイヌ語が語源なネーミングですね。ところがある日突然、「恵山町」に改名してしまうのです。これには椴法華村も怒りました。なにせどちらの自治体も恵山の麓にあるのです。
「お前が勝手に恵山を代表するんじゃねーよ!」
当時の椴法華村民はこう思ったことでしょう。そのせいかどうかは知りませんが、いまでも恵山から椴法華までは、海沿いの道が分断されているのです。
御崎(みさき)町から先はこの通り通行止め。車をおいて先に進んでみると、
噴火で飛び出した岩なのかなあ。巨大な岩がゴロゴロと転がっています。海沿いを通ればもしかしたらホテル恵風のあたりまで歩いていけるのかもしれないけれど、冬にやることじゃあないですね(^_^;)
ふりかえれば漁港。
残念ながら冬は
そんな感じで漁港を眺めたりしてからお目当ての温泉の入口まで行ってみたんですが、そこには「冬季休業」の文字が。ぐぬぬ。
すぐ近くにある石田温泉も似たような泉質だからいいかな、と思ったのですが日帰り入浴は13時から。この日は朝早く出たのでまだ10時だし、冬期間は恵山へ登る登山道も閉鎖されてしまっているので長居する用事もありません。そこで一念発起して、鹿部町まで足を伸ばすことにしました。
鹿部町にも温泉郷がある
鹿部温泉観光協会のホームページを確認すると、駒ケ岳の麓だけあって結構な数の温泉旅館が並んでいるようです。
ただしどうしても”ひなびた系”であることは否めなく、さらには内風呂だけだったり家族風呂オンリーだったり、あまつさえ鹿部プリンスホテルの温泉は宿泊客限定だし、鹿部カントリー倶楽部もゴルフ客が帰ったあとの17時からオープンといった感じで、と、日帰り客を歓迎するムードではないようです。
だけどもその中でも『鹿の湯』という温泉旅館は露天風呂もあってそこそこ悪くないんじゃないかと思ったのですが、
入り口には「2月3月は工事のため温泉に入れません」の張り紙が。なんてこった……。
仕方がない、どこかでご飯でも、と思って再び観光協会のHPを見ると、ご当地メニューの「たらこラーメン」だとか「たらこ天丼」などというのがイチオシらしい。
個人的には”新名物に美味いものなし”という経験則がある*1のですが、騙されてみるのも旅の醍醐味、いっちょチャレンジしてみるかということで、『太田食堂・鮨政』まで行ってのれんをくぐったところ店内は薄暗く、だけどテーブルにはたくさんの料理が並んでいて、店員さんから
「すいません。昼やってないんですよ」
との衝撃ワードが。マジか……。完全にこの町から拒否されているな……。
そんなわけで仕方なく道の駅に行って、なんとか鹿部町っぽいものを食べられたのでギリギリセーフだったのですが全体的に疲れました。これで吉の湯やら亀の湯やら、ホームページに掲載されている「頑張ってよく写るように撮った」写真でさえがっかり感がぬぐいされないので、この街で温泉に入ることは断念しました。これ以上辛い目には逢いたくない。基本的に鹿部町は、道の駅と間欠泉公園だけ見て通過するのが無難ですね。
というわけで函館方面に逆戻りして、絶対安全牌の温泉を目指すことにしました。ここまで失敗続きでさらにギャンブルするわけにはいかない!
函館一の温泉はやっぱりホテルひろめ荘(函館市南かやべ保養センター)
#北海道 #函館 #温泉 #旅行 #湯治 #連泊
— 天然温泉|ホテル函館ひろめ荘@北海道 (@hiromesotweets) 2017年2月18日
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平成19年にリニューアルして施設もきれいになったし、サウナに水風呂も完備してあって言うことなし。函館市内の温泉はだいたい制覇しているんですが、来るたびにここが一番だな、と思います。
まずは体を洗って内風呂の重曹泉に入って体を温めたなら、露天風呂へGO! ここにはしない有数の硫黄泉があるのです。やっぱり温泉は白濁していないと気分が出ないんですよね~。硫黄分たっぷりの良いお湯に肩まで浸かって、地元の人の浜言葉をBGMに、雪景色を眺めながら身も心もリラックス。春には山桜、秋には紅葉が広がって、四季折々の景色が楽しめるところも魅力です。市内中心部の露天風呂ではこうはいかない。
サウナについてはそこそこで、地面レベルより掘り下げられている部分は湿気が溜まってちょっとアレなのと、民放が大音量で流れているのでイマイチかな。ニュースを眺めていたらスタッフの人が入ってきて「お客さんが8チャンネルにしろっていうから」と言ってチャンネルを変えて、なんだか知らないけれど冬山に遭難して凍え死ぬ人は死ぬ前にどれだけ苦しい目に遭うのか、みたいな番組にさせられてしまったのは興ざめ。何が悲しくてサウナの中でそんな番組を見せられなければならないというのか。
そんなわけで早々に退散して水風呂へ。ここは山の雪解け水的な冷たさではなく、普通に水道水の温度だったのでゆったり浸かることができました。ひんやりとした水の中に静かに沈んでいると、徐々に目の前の景色が歪んできて、目の前のタイルがどんどん遠く離れていくように見えていきます。脳に膜がかかったように知覚が鈍麻になっていき、呼吸もどんどん遅くなり、水風呂に自分が沈んでいるのか、自分が水風呂なのか分からなくなっていくような、そんな感覚を楽しんだところで〆。
市内中心部からは少し離れているので多少使いにくい点もありますが、それを差し引いてもかなりオススメの温泉です。近くには北海道唯一の国宝である中空土偶が収蔵されている道の駅、縄文文化交流センターがあるので合わせて訪問したりすると楽しいのではないでしょうか。