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私の家では何も起こらない


期待したとおりの恩田陸らしさで満足。どの作品にも作者自身の影が顕著に感じられるのが恩田陸の特徴だと思っている。語り手として、登場人物の一人として、そして作品全体を監視する神として、いたるところに偏在している。
冒頭で女性作家がこう語る。

私は肩をすくめた。
なぜかみんな、作者に「なぜ」と聞く。「なぜ、どうして」こんなものを書いたのかと聞く。私に言わせれば、そんなものが分かっていたら、誰も作家になぞなりはしない。中にはよほど深刻な体験をして、それに正面から向かい合い乗り越えるために書いたという人もいるけれど、大部分の作家は「なぜ」書くのかなんて本人も分かっていない。むしろ、自分に「どうして」と聞きたいくらいなのだ。

読んでいる間じゅう、この言葉が喉に引っかかった小骨のようにつきまとっていた。
 
はてな年間100冊読書クラブ 250/229)