順番どおり読むのは大事

 気に入った作家がいるとタイトルで決め打ちして借りることが多いのですが、これはきちんと前から読んでいて助かりました。

図書室の海 (新潮文庫)

図書室の海 (新潮文庫)

 まず表題作の『図書館の海』は『六番目の小夜子』の番外編。関根秋の姉、夏が主人公の短編です。関根夏については『象と耳鳴り』にも成人した彼女が登場するので先に象を読んだ方がいいかもしれません。それから『ピクニックの準備』は『夜のピクニック』の予告編のような内容でした。次は夜ピクを借りよう。
追記:『睡蓮』も『麦の海に沈む果実』の主人公の少女期を描いた作品だったらしい。これも読まねば・・・
 
 内容はホラー/SF/ミステリとあらゆるジャンルにまたがっていますが、やはり一番気に入ったのは『図書館の海』でした。完璧であるがゆえに物語の主人公にはなれないと嘯く少女。でもその完璧さは、自分が主人公であるという事実を覆い隠すためのベールだった・・・。トリックに翻弄されて真実が明らかになる瞬間、不安を抱えたただの女の子に変わってしまうのです。
 ラストシーンの三人の描写も良かったですね。青春小説とはやっぱり、別に恋とか愛とかじゃなくても、ちょっとだけ緊張感が漂うような、つかず離れずの引力と斥力がつりあった三角関係が必須アイテムだな〜と思うのです。
 しかし図書館のカードっていいですよね。自分も高校生の頃、借りた本のカードに憧れてた先輩の名前をみつけてドキドキした経験があったりなかったり(/ー\)キャッ さすがに普通の図書館ではできない/意味が無いけれど、学校の図書館はこうあってほしいです。
 
 他は『ある映画の記憶』と『国境の南』が良かった。
 『イサオ・オサリヴァンを探して』は続編があるのかな? これだけだとちょっと話が分からない。これは「SFオンライン」に掲載されていたというので探してみたら、7月でサービスを停止したとのこと。フンガー(怒) 課金するのがめんどいのならせめて全文フリーで読めるように残しとけ! 何の権利があって読む権利を奪うのだ! ハヤカワ死すべし!
 
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