在庫一掃処分

よつばと』読んで感動したので「これは買いだな」と思ったんだけど、本棚に全然スペースがないのでもう読まないと思われる本をだだだっと処分した。
処分したといってもAmazonマーケットプレイスに出すだけなので"本棚の肥やし"が"在庫"へと変わるだけなんだけど、
わりとマイナー系の本しか買わないせいで出品するやいなや買い手がついたものも多く、発送準備におおわらわだった。
 

借り家の悲しさ

持てる量に限りがあるから売らざるを得ないのはちょっと悲しい。家を建てる気はさらさら無いけど、書庫は持ちたいと思うんだよね。次に引っ越す機会があったらもう一、二部屋多いところにして、ウォークインクローゼットならぬウォークインライブラリを設置したい。あと南向きの部屋にしたい。それと二階以上にしたい。
 

買う本・買わない本

うちは夫婦で年間各100冊程度本を読む家なので、真面目に買っていたら床が抜けてしまうため、図書館で借りられるものは借りるようにしている。どうしても読みたい新刊は予約して購入し、すかさずAmazonへ。
なので手元に残るのはラノベ(図書館になかなか入らないため)かマンガぐらいなので、本棚の中身としては非常に貧弱だ。とはいえ、実家に置いてあった数百冊の蔵書が、帰省した際に本棚ごと空になっていた時の衝撃以降、本を所有する気持ちがほとんど無くなってしまっているのだが。
 

オールタイム・ベスト5

そんな自分でも5冊ぐらいは、常に手元に置いておきたい本がある。

遠い太鼓

遠い太鼓 (講談社文庫)

遠い太鼓 (講談社文庫)

村上春樹の小説はハタチの時に卒業したが、エッセイだけは別。その中でも旅行記は格別にいいのだが、特に今作は「ノルウェイの森」出版後の生活が綴られているため、歴史的ヒットの狭間で思い悩みながら欧州を彷徨い歩く作者の内面描写が素晴らしい。
自分の力ではどうしようもないことがあっても、それはそれとしてできることをやらなければならない、と思わなければやっていけない時に手にとる一冊。
 

敦煌

敦煌 (新潮文庫)

敦煌 (新潮文庫)

ある意味ではこの本も旅行記と言えるかもしれない。
科挙に失敗し絶望の淵にある男が、盗みで捕まった西域の女を助けたことから物語は始まる。女が持っていた謎めいた文字を追うために従軍してまで西域に向かう主人公のひたむきさには、何度読んでも胸を打たれる。
 

陰影礼賛

陰翳礼讃 (中公文庫)

陰翳礼讃 (中公文庫)

「美しさとは物体ではなく、物体と物体が生み出す陰影にある」
このひねくれ具合(笑)に一発でやられた。身近な物事を通じて繰り出される谷崎哲学。反骨精神を呼び起こしたいときに手にとる一冊。
 

草枕

草枕 (岩波文庫)

草枕 (岩波文庫)

夏目漱石はどれも好きだが、自分はこれがベストだと思っている。なんといっても出だしからマックスで飛ばしているところが良い。

智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

古典の良いところは、偉ぶっているところに重みが生まれている点だ。今もやたらと偉そうな本がたくさん出ているが、その中に100年以上読み継がれる本があるだろうか、いや無い(なぜか反語調)。
 

空想自然科学入門

アイザック・アシモフといえばファウンデーションシリーズなどの壮大なスケールのSFで有名だが、自分はどちらかというと科学エッセイの方が好きだったりする。純粋科学の生み出す美しさと奥深さは、どんな物語にも負けないと思っている。
 
こうならべてみるとエッセイとノンフィクションが多い。小説は物語がどんなに素晴らしくても、オチが分かってしまえば終わり的な側面があるのでオールタイムベストとはなりにくい。2度3度と読み直すものはあまり長すぎると困るということもあるが。エッセイは好きなところをぱらぱらとめくって楽しむことができるのも良いよね。