ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。

不覚にも感動した。

親友の母親が殺された。その親友はどこかに消えてしまった。主人公は、彼女を探すために共通の友人を訪ね歩くうち、自分の知らなかった彼女の側面と事件の真相に気づいていき、読者はそれと並行して主人公が親友を探す本当の理由についてわかっていく、というストーリー。
序盤はあまりに話が動かず、アラサー女が輝かしき過去を振り返るだけの退屈な代物のように見えた。30歳という人生の岐路にたった女性たちの苦しさや閉塞感がリアルなんだけど、そこらへんはイマイチ興味薄なので。
だけど話が進んでいき、仕事と、結婚と、出産と、そのようなものに追いつめられていった親友の姿が明らかになってくるにつれてグッと面白くなる。長い長い第一章を終えた後のクライマックスでは結構感動してしまった。
 
物語が女性同士の友情や母娘の関係性に主軸がおかれているせいで、登場してくる男性がどれもペラッペラなのが気になった。物分りのいい夫。女を都合のいいものと見ている男。ステロタイプで魅力がない。そのせいで動機の必然性がちょっと薄いもしれない。
三浦しをんの最高傑作である『私が語りはじめた彼は』ほどでなくても良いから、登場しない男性を魅力的に描いて欲しかったかな、と思ってしまった。
 
はてな年間100冊読書クラブ 247/229)