野球も将棋も同じ

今回の竜王戦中継は解説が神で、かなり楽しめた。

糸谷は9時15分頃に記者室に来て、朝食であろうパンをモリモリと頬張っていた。豊島は45分頃に記者室に顔を見せたが、まだ目が覚めていないのか素なのか、やけに眠たげな様子だった。

この局面で豊島が考え込んでいる。糸谷は記者室を訪れ、升田幸三「手眼」の扇子をパタパタとさせながら、ウロウロしていた。
しばらくして、「このネクタイ、ギャグなんですよ」と糸谷。小さい剣がいくつも交差する柄なのだが、ひとつだけ剣とペンが交差し、ペンが剣を折っている。「ペンは剣よりも強しです。こういうのって気付かれるのが面白いのであって、自分で言っちゃダメですよね」。

などと、盤外戦も詳しく中継してくれるおかげで臨場感がよく出ていた。将棋を「見る」楽しみを高めてくれる、名解説だと思った。
 
そうなのだ。野球も将棋も同じなのだ。
野球を見る人は多いけど、好きな人みんなが野球がうまいわけではない。将棋だって、見る人がみな将棋がうまい必要はないのである。自分も実力は全然無いけれど、2chの実況を見ながらNHK杯を見るのは大好きだ。
問題は、低位者でも楽しめるような解説がまだまだ少ないこと。これまで高位者相手にしか商売をしてこなかったから仕方が無いけれど、将棋を指さない人も棋戦をみるようになれば、斜陽産業(by糸谷哲郎)とは言われなくなるはず。
 
最近の中継では、北海道新聞王位戦挑戦者決定戦がきめ細かい更新がなされていて良かった。対局者カメラも臨場感を生んでいてGJ。
惜しむらくは棋譜と解説が別画面であったこと。竜王戦のように"Kifu for Flash"を使い、差し手とコメントが同時に見れたほうがいいね。PCの画面の半分に盤面を、もう半分に実況スレを表示させると画面がいっぱいになってしまうので。
 
その反面、かなりダメだったのが棋聖戦の中継。佐藤VS羽生という絶好のカードだったにも関わらず、中継室がひどかった。

18:16 ▽6五歩に「すごい手やるなー」と淡路九段。

18:12 「1手指した方がよく見える」と安用寺五段。おもしろい終盤だ。窓外では風がうなっている。

18:10 佐藤棋聖、駒台の位置を直す。

17:55 75手目の▲7五歩に「どうするの?」と検討陣。

17:17 記録係の「羽生先生、残り40分です」に「あ、はい」。

いてもいなくてもいいような中継にゲンナリ。これだから産経は・・・。