マイブームその3
食欲に貪欲だね、と言われたことがある。「そう言うあなたは激しい金欲の持ち主ですよね」と言ってやろうかと思ったが大人なのでやめた。どちらにしても、その他の欲に比べたら大分おとなしいものである。性に貪欲とか。
自分で手間をかけて作る食べ物はおいしい。だけど自分は料理が好きだというよりも、料理の科学的もしくは魔法的アプローチが好きなのだと最近気づいてきた。その最たるものが『醗酵』。どぶろく作りは自分のライフワークみたいなものになっているけど、ついにこんなものに手を出してしまった。
それは猿酒。ジュースに酵母(ドライイースト)を入れるだけで出来上がるお手軽アルコール飲料である。
工程
- ジュースを少しだけ飲んで量を減らす。
- ジュースにイーストをちょっとだけ入れる。ウェルチ1本に対して小さじ半分くらい。
- 人肌のお湯にボトルをつけて半日置く。風呂の残り湯の量を調整して、朝までつけて置くのが楽。
- 半日に1回、慎重にガスを抜く。
- 味見をして飲み頃だと思ったら飲む。
なんか、本当にびっくりするぐらい簡単に酒になる。糖分があればどんなものでも酒になるが、いろんなジュースで試して一つ言えることは
「酒に向いてる果物は酒になっている」
ということ。ワインにしろシードルにしろ、酒になりやすいものは猿酒にしてもウマい。ウェルチのブドウとリンゴがおすすめ。
その逆に、伝統的にアルコール飲料になってないのは微妙だ。伊藤園の「熟グレープフルーツ」と「熟オレンジ」で試したけど、単体では飲めないのでビールで割って飲んだ。こうするとちょいとしたカクテル風で飲めなくはない。
手軽すぎて密造に哲学を感じることができないのが唯一の難点だが、ウェルチ製嘘んこワインのおいしさの前には一切の理屈は吹き飛ぶのである。