Pebble is Dead .
前回までデザインだけで単機能な、つまり時間を表示する以外の機能がないウォッチフェイスばかりを作ってきたけれど、やはりそれだと面白みがない。多機能なのを作ると「電池を節約したいから通知を削れ」と言われるけれど知ったこっちゃない、オレが作りたいものを作るんだとばかりに、機能盛りだくさんのウォッチフェイスを作ってみた。
今回のターゲットはスマートウォッチ界の覇王、Apple watchだ。これが、
“ウェアラブル”の今:Apple Watchの人気機能、アクティビティはどう変わる? - ITmedia ヘルスケア
こうじゃ。
微妙に色々違うので全然セーフ。昔Willcom 03を使っていた時に、Windows mobileをiPhone風にしたことを思い出した。
ポイント
AppleWatchに表示されている3つの円が何を示すのか全くわからない佐藤可士和的デザインなので、
Pebble timeのヘルス機能が計測できるものから、歩数、歩いた距離数、消費カロリーを表示するようにしてみた。ついでに数字の下にラベルを付けたので分かりやすくなったし、本家とも完全に別デザインになりましたね。全く問題ないですね\(^o^)/
円グラフは前日の数値との比較になっていて、例えば前日に1万歩で今日はまだ5千歩しか歩いていない場合は、50%で6時の位置までグラフが伸びる。問題は前日の歩数を超えた場合で、黙っていても100%を超えると360度を超えて描画される(見た目は円と変わらない)ので一見問題は無さそうに見えるのだけど、実は見た目的に問題がある。
このグラフは暗い色の円が一番下にあって、その上にグラフの始点と終点を表す小さい丸があり、さらにその上に明るい色の円弧が重なっている。グラフの両端を丸くかわいく表示させるためにそうしたものの、このままだと円弧が360度を超えた場合にただの円になってしまう。なので前日の歩数を超えた場合は下の暗い色の円を上のグラフと同じ色にして、上のグラフの長さは前日の数値の剰余にすることで、見た目上の問題を解決してみた。こういう地味な工夫を実装していくのが地味に楽しいんだよね。
こういう工夫で問題を解決していくのが地味に楽しい。
クラッシュ問題?
キャッチーなデザインと機能性が受けてたくさんダウンロードされているんだけど、インストール後にクラッシュするという報告がちらほら。エミュレーターはもちろん、自分のPebbleTimeでは再現されないので原因がよく分からない。
個人的な推測では、アップデートのタイミングとぶつかっていることが原因ではないかと思っている。製作途中にアップデートにぶつかって、インストールのタイミングでクラッシュすることが良くあった。
不具合報告も最初に2、3件来ただけでその後は(インストール数が伸びているにも関わらず)音沙汰が無いので、多分その推測が正しいのだろうと思っている。
ただし今回のアップデートでは無駄に煽りを食らっていて、Pebbleと親機のアプリ間の通信に2バイト文字が含まれるとクラッシュしてしまう不具合があって、そのせいでせっかく改良したN-NEWSウォッチが使えなくなってしまった。そこはなんとか直して欲しいところ。
と、思っていたのだが。
Pebble社が消滅
そんなこんなで11月は精力的に新しいウォッチフェイスを作ってきたのだけど、12月に入ってショッキングなニュースが飛び込んできた。
Pebble社はPTRの失敗などから経営不振に陥っており、先日発売したばかりのPT2やPebble2の発送も滞っている状況だった。買収するFitbit社はウェアラブルなヘルストラッカーを作っているのでPebble社のハードウェアには興味がなく、PT2やPebble coreは開発中止、発売されたばかりのPebble 2も在庫限りで終了となることが決定した。決定してしまった。
うーん、辛い。Pebbleは自由な発想で手軽に開発できる、チープで楽しいおもちゃであるところが愛されていたのに、その部分を完全に否定されてしまった。単なるヘルストラッカーには興味が無いんだよなあ。
Welcoming Pebble to the Fitbit family, we’re excited to work with the team & carry their vision forward:https://t.co/IumxrJc9I7
— Fitbit (@fitbit) 2016年12月7日
fitbit社のツイートへの返信を読むとPebbleを殺した判断への不平不満のリプライが並び、「絶対にfitbitのデバイスは買わない」という不買宣言があったりしてそれには自分も大変同意なんだけど、Pebble社側にも元々その傾向はあって、ギーク相手の金にならない商売よりも高級で一般ウケのする路線を目指していたのである意味でこれは(ユーザー以外が)望む結末だったのかもしれない。残念ながら。
Pebbleはセイコーマートのような存在になるべきだった
北海道内で圧倒的なシェアを誇るセイコーマートが大手に負けず生き残ってきた秘訣とは、「他のコンビニがやっていることはやらない」ということ。おでんもドーナッツも売らない。その代わり他社でやらないことをやる。商品をスーパー並みに安く提供し、惣菜の種類は60種類、ホットシェフで作りたてのお弁当を提供、それらはすべて「小規模だからできること」を追求してきた結果だという。
Pebble Time Round 極薄かつ超軽量の丸型スマートウォッチ「ペッブルタイム・ラウンド」Black [並行輸入品]
- 出版社/メーカー: Pebble Technology Corp
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
Pebbleが死んだ原因となったPebble Time Roundはまさに大手志向で、電池の持ちは他社並みの丸一日。トレードマークであったクラウドファンディングによる資金集めも行わず、それまでのファンを無視した形でリリースした結果ほとんど売れず、結局Pebbleを買うのは一部のニッチな層だけにすぎないことが分かっただけに終わった。
Pebbleの顧客が初代Pebbleに飛びついたのは、大手のスマートウォッチに比べたら液晶はチープだし機能も貧弱だけど、その代わり電池は一週間もつし、自由にカスタマイズできる、チープだけど自由なところが魅力で、自分もそこに惹かれてPebble timeを買った。しかしPebble社はそれを魅力だとは思わなかった。彼らは「大手」の後追いを目指した。他社でやっていることと同じものを目指すと、より大きなところに吸収されてしまうのもコンビニ業界に近い。
もしも初代Pebbleの成功後も、会社の規模をやたらと拡大せずにできることだけ地道に続けていたら、高級路線ではなく胸を張ってチープな方向を保ち続けていたら、スマートウォッチ界のArduinoみたいな存在になれたんじゃないかな。
切り捨てられたハードウェアを誰かが拾って、古き良きPebbleの精神を受け継いだ後継機をという可能性はやっぱり薄いのだろう。fitbit社がPebbleの魂を受け継いだスマートウォッチを自社ブランドで出すかもしれないという極めてゼロに近い可能性を信じて待つしかないか。
Pebble Time steel ペブルタイムスチール ゴールド(レザーバンド) [並行輸入品]
- 出版社/メーカー: pebble
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
ゴールド✕レザーのPTSは元々買おうと思っていたので、とりあえず買って寝かせておこう。iOSのアップデートで使えなくなる可能性もままあるけれど、誰かがうまい方法を考えてくれると信じて待とう。