小粒

「これが、ノボル君の城なの?」
自らのことを「のぼう」という自閉症の少年、ノボル。クラスの誰ともうまくやっていけない彼に手を焼く新米女教師ユカリ。
家庭訪問で訪れたノボルの部屋は、自分の興味のある物だけがぎっしりと、しかも整然と押し込められていて、まるでノボルの精神世界を現しているようだった。城の秘密が解きあかされるたびに、ノボルの隠された才能が明らかになっていく・・・。
教師と自閉症児の心温まる交流物語。

のぼうの城

のぼうの城

というのはタイトルだけ見て自分が勝手に思い描いたストーリーなんだけど、読んでみたら普通に城が出てきてがっかり。むしろ妄想物語の方を読みたい。
 
真面目な感想として、主人公のどこが魅力的なのか最後まで伝わりにくくていまいち。計算なのか天然なのかは周りの登場人物の憶測でしか語られないため、テキトーに振る舞ったらたまたま上手くいって良かったね、という中身にも読み取れるし、ものすごくもやもやする。
合戦のくだりはさすがに引き込まれるものはあるけれど、逆に言うと見どころはそこだけ、ということである。
 
ああ、本当に今回の直木賞候補は小粒揃いだったなぁ。どれを見ても、辞退したゴールデンスランバーの膝元にも及ばないぐらいだった。久しぶりに伊坂読みたいな。早く新刊でないだろうか。
138/200
 
フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life

フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life

スカイクロラシリーズ第4弾。今回はインターミッション的なストーリーで、これまで張りめぐらされていた伏線が、少しずつ解きあかされていく。
ジンロウが思いの外淡白な人間で、肩すかしをくらった気がする。これも映画の悪影響か。
139/200