たたかう、まもる、にげる

妻が夕飯時に、脱毛の話を始めた。
友達に誘われてお試しコースをやってみたのだが、今ならものすごいお得なコースがあるからと勧められているとのこと。
いくらなの?と聞いたら、
 
十ウン万円
 
いやいやいや。
財源は妻の退職金だし、こちらが口を出す話じゃないけれど、いくらなんでもそんなに!? というか、本当に必要なの? というか何のためだよ? ていうか誰に見せんだよ? などと疑問がぐるぐる頭の中を浮かんで回って絶句していると、その表情を見て妻が怒り出し、
言わなければ良かった、とか
あんたはいつも無駄遣いしてるのに、とか
自分がいいと思ったことはいつも反対される、とか
いかに自分が我慢してきたか、とか
こちらを罵倒しつつ泣き怒り出したのでああこれは『乳と卵』と同じだと、聞く耳を持たないというか相談じゃなくてただの所信表明であったのだと、完全に盲目になっててああたぶん宗教にはまってる人もこうなるだろうなと、洗脳されていると洗脳されている自分では洗脳されていると気づかないから説得は無意味なんだと、思わず殴ってやろうかと思ったけど、自分を肯定するために相手をこきおろすってのは相手を同じ土俵に引き下ろすためには有効な作戦であると思い直して、
 
好きにすれば
 
と言い放ってPCへと現実逃避した。
それだけのお金があればタイでもベトナムでもインドでも行けるな〜。二、三週間くらい休みをとって、バックパック担いで一人旅も悪くない。買うものとしてもおよそ手の届く範囲のものならなんでも買える金額だ。ふひ〜。
 
別にね、自分のお金なんだから好きに使えばいいと思うけど(思わないけど)、あまりの価値観の違いに茫然自失としてしまった。
少したってお互い冷静になったので丸く収まったけど、なんというか「こうしないと満足できない」ってなっちゃった人には対処のしようがない。
 
「たたかう」にしろ向こうは気持ちを賭けてくるんだから、いくらでもチップを高く積み上げてこれるのだから戦いようが無い。結局「まもる(=現実逃避する)」でやり過ごすか、「(その場から)にげる」しかないけど、どちらも根本的な解決ではない。「まほう」が使えればいいんだけど、ね。