意外と安心

 冒頭のあまりの勢いにちょっと引き気味だったのですが、読み終わってみればしっとりとした余韻に満ちたお話でした。

少女七竈と七人の可愛そうな大人

少女七竈と七人の可愛そうな大人

 この前読んだ「風が強く吹いている」がスロースターターならこちらは全くの正反対で、最初の勢いを徐々に発散させながらいい温度にしていくという展開です。平凡な女が自らを変えるためにその身を地獄の業火に焼け焦がさんとする、この物語の最大のクライマックスを一番最初に持ってくるあたり、主人公は七竈ではなく、母の優奈なのではないかと感じました。そういえば七人の大人たちもその後はほとんど登場することもないし、結局優奈は欲しいものを手に入れていたことも明らかになるし。
 ただ実際のところ"七人"が指すのが優奈の上を通り過ぎて言った男たちではなく、七竈の祖父と母、桂夫妻、田中夫妻、そして乃木阪れなの七人ではないのかとも考えられます。むしろその方が「可愛そうな」という表現がしっくりとくるのではないでしょうか*1
 
 重いテーマを微妙にコミカルさを交えて描くテクニックが素晴らしかったです。第60回日本推理作家協会賞を受賞した赤朽葉家の伝説も読んでみたいな〜。
 
10/100
 

*1:雪風は入らないの?と聞かれたら微妙だけど、少なくとも"可愛そう"ではない気がする

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