2006 青函トンネル最深部探検ツアー 〜前編〜

 新幹線の開通を目前に控え、今年で民間人が青函トンネルに入れるのは最後になるとのこと。スラッシュドットジャパンでこのニュースを目にしてすかさず申し込みました。
 鉄道が好きかと聞かれたら特にそういうこともなく、青函トンネルにも深い思い入れはないのですが、なんといっても「最初で最後」。しかも地元で行われるとなれば野次馬根性がむくむくと首をもたげてくるのです。のちにそれがあまりに安易だったと思い知るのですが・・・。
 
ツアーの詳細はこちらです。
http://www.hakodate.or.jp/JR/tunnelwalk/explanation.htm#tannken
 

 午前7:00発のスーパー白鳥に乗って出発です。発車直前まで座席はがらがらで
「意外と参加人数が少ないのかな?」
と思ったのですが、窓の外をのぞいてみて理由が分かりました。みんな向かいのホームで北斗星の写真を撮っていたのです。そういえばタモリ倶楽部北斗星のみどころについて熱く語られていました。さすがに鉄道マニア、ターゲットは逃しません。
 募集人数は当初40名とのことでしたが、実際には定員を大幅に上回った62名が参加していました。おかげで6号車と7号車は黄色いヘルメットをもった人で貸切状態です。
 

 吉岡海底駅で下車。ここから地下探検の始まりです。4班に別れて出発となります。我々は一番最後のD班でした。申込順で番号を振っていたとすると、参加人数を増やしてもらったおかげで滑り込めた感じです。
 まずはここからさらに地下に潜るため、974段の階段を歩いて下るという大試練が待っていました。いつまで下っても出口が見えてこないのでかなり絶望的な気持ちになりました。傾斜が急なので転ばないように気を使ううえ、普段からそれほど歩くことをしていないせいで、終わったときには足がガクガクになりました。両膝とも大笑いです。
「この状態で、この後さらに17キロも歩けるのか・・・?」
 かなり不安です。
 

 青函トンネルの最深部、一般の人がこれまでほとんど入ったことがないと言われている地点にたどり着きました。
ここには主に排水施設があるようです。湧水や、万が一事故があって海水が流入してきた時の水がここに集められるとのこと。ここである程度浄化してからポンプでいったん陸上まで持ち上げて(!)それから海に流すんだそうです。海底のほうが近いと思ってしまうんですが、言われてみれば水圧で大変です。
 湧水だけがたまっている水槽がありましたが、舐めてみるとかすかに塩味がしました。海の底のさらに底にいることを実感します。
この近くで新聞社の方から取材を受けたんですが、もっと面白いことを言うんでした・・・。「子供のころからの夢でして」みたいに言ったって分かりゃしないのに(笑)
 

 ここからいよいよ先進導坑に突入です。
 見どころは、なし(爆)
懐中電灯で足元を照らしながら、ただひたすらに暗いトンネルの中を歩き続けます。歩くペースはかなり早く、およそ1Kmを10分くらいで進みます。JRの職員さんが慣れているのは分かるんですが、鉄ちゃんたちの体力にも恐れ入りました。歩きなれてないと鉄道ヲタクにはなれないのかもしれません。
 
湿度が高いとは聞いていましたが、気温は地表と比べると格段に涼しいので意外と過ごしやすい環境でした。夏も冬もさほど変わらないとのことなので、地下に住んだら結構省エネになるんじゃないかと思ってみたり。青函トンネル震度7でも大丈夫!とのことなので地震大国の日本にとって地下都市は悪くない選択肢かも知れません(村上龍の「5分後の世界」みたいですが)。
 

青函トンネル豆知識

先進導坑を進む間、救護車がしんがりをつとめます。今回は途中で歩けなくなった人を運ぶために使われていましたが、これを含めてトンネル内には全部で14台の作業車があるんだそうです。排気ガスは?と思ったのですが、吉岡海底風門から常に風速毎秒1mで風が送られているので問題ないのでしょう。
それより驚いたのは作業車の寿命。公道ではないので当然ナンバープレートがない廃車寸前のものを整備して使っているのですが、ほとんどが3ヶ月、長くても半年で使い物にならなくなってしまうんだそうです。湿度もそうですが、空気に含まれる塩分のせいで電気系統がおしゃかになってしまうのだとか。
う〜ん、海底都市は無理っぽい。