ツェッペリン100周年記念モデル7646-1

ドイツ時計にも色々とメーカーがあって、上を見たらそれこそキリがないけれど、10万以下クラスでもきちんとした作りのものが手に入りやすいというところが迷いがいのあって面白いジャンルだと思う。雲上時計を見て涎を流していたって絶対に手に入るわけじゃないんだし、女の子にしたって、テレビの画面の向う側にある存在よりも、手が届きそうで届かない。でも頑張れば届くような、そっちの方に魅力を感じる人も多いだろう。

ドイツ腕時計 no.2 (CARTOP MOOK)

ドイツ腕時計 no.2 (CARTOP MOOK)

この雑誌のキャッチコピーにもあるけれどドイツ時計は、本妻がほかにあって(想定しているのはもちろんロレックスやオメガなどの大本命スイスウォッチだろう)、浮気相手としてのドイツ時計なのかもしれない。コスパが良くて、キチッとしているけれどちょっと異端で面白い、オフの日に遊びで付けてみたくなるような存在。

その中でもツェッペリンという会社がずっと前から気になっていた。まず見た目が面白い。飛行船の計器をモチーフとしたという文字盤はかるく煙にくすんだような、いや、銀に白くサビが浮いたような、そんな絶妙なカラーリング。

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古いんだけど古ぼけているんじゃなく、例えば僕らが飛行船ツェッペリン号という名前を聞いて思い浮かべるような、過去にあっても未来的なイメージが、まさに具現化していると言ってもいい。最初から本物を目指しているんじゃなくて、夢とか創造が先にあるところが酔狂で、そこにピントが合ってしまった人にはたまらないメーカーだと思う。

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だから、うーん、いわゆるドイツ時計っぽさ、「質実剛健」「シンプル」「機能美」みたいなところとはちょっと違っていて、だけどドイツ人じゃないと作れないような面白さみたいなところがある。凄くまじめな人がジョークを言っているみたいな、冗談なのに完璧に作り込まれている感じ。

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真っ黒に塗られたブレゲ針もレトロな雰囲気を醸し出している。そういう雰囲気作りがいいんだよなあ。

赤い矢印はGMT、内側の24までの数字が世界標準時を現している。時刻表示代わりに打ち込んだ鋲が航空機っぽさと、そういえばわざわざ数字なんて書かなくたっていまが何時か針の向きで分かってしまうんだということに気づく。時刻を表す文字にさえとらわれなければ、時計のデザインの幅はぐっと広がるんだなあと感心した。

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裏蓋にはツェッペリン100周年記念モデルの刻印が。初めてツェッペリン号が空を飛んだのが1900年7月2日なので、100周年は2000年? それから16年も売れているロングセラーモデルなのか……? そーゆー細かいことには気にしないようにしよう。時計を作っているツェッペリンは創業が1987年。飛行船とは関係がない。

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全体図はこんな感じ。使い込まれた革のような黒い分厚い革のバンドが重厚さを引き立てている。その一方でベゼルはピカピカのステンレス。このレトロフューチャー感が、好きな人にはたまらないんだよね(好き)。

雰囲気だけを味わいたいならクォーツモデルが安くていいかもしれない。じっと見ていると秒針が1秒毎にカチッカチッとステップ運針しているのが気になってしょうがなくなるのだけど、それは機械式時計病に罹患した人だけの症状なのでフツーの人は気にしなくてもいいと思うw