2015竜王戦第2局現地大盤解説会観戦ツアー その2

というわけで前回に引き続き竜王戦第二局の観戦記です。ぼんやりしているうちに第3局が終わってしまった…。

京王プラザホテル札幌に到着

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金曜日の早朝に出発して、大盤解説会の会場に到着した時はちょうどお昼休みのころでした。ここまでの局面を振り返ります。

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封じ手は▲6五桂。7筋に潜った玉を狙う絶好の位置ですが、ここは大本命の一手なので渡辺棋王はすぐに△1五角。糸谷竜王が6五桂からの継続手で▲7四歩とさらに攻撃を続けると、△4八角成と決断の角切り!

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この局面ではすでに先手勝勢、とのことですが、糸谷竜王は終盤の腕力がものすごいし、入玉模様も得意としており、まだまだ油断ができる状況ではありません。

13時30分からの大盤解説は「序盤は村山に聞け」「謝罪王」こと村山慈明五段と「攻める大和撫子山口恵梨子女流初段のペアで行われました。えりりん細い! ニコ生で見るのとはアスペクト比が違いますね。

14時30分からは山口女流に変わって日浦八段が登場。

日浦八段「こんな手(4六角)を指せたら羽生さんでなくてもグリグリします(笑)」

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との予言通り、しばらくして糸谷竜王が投了、対戦成績は一勝一敗と振り出しに戻されました。

15時30分からは広瀬八段と深浦九段という、A級棋士2名に初手から解説していただくという超豪華サプライズ。

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東京でもないのにすごいメンバーが集まっています。さすがは竜王戦! スポンサー力が違う。広瀬先生は北海道札幌市出身なので分かりますが、深浦先生は前日に羽生さんとの死闘を繰り広げた翌朝に飛行機で出発したということで、本当にありがたいことです。

感想戦終了後に対局者二人が会場に挨拶に見えるとのことで、それまでの間は村山五段と山口女流初段、広瀬八段、深浦九段に加え、「名寄のピーターパン」こと石田四段も登場してフリートークタイム。

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ここでは二日制のタイトル戦で、一日目の対局が終わった後でお酒を飲むのか、という話題で盛り上がりました。

村山五段によると渡辺棋王は「形勢による」とのことで、昨晩はテンション高くビールを飲んで、いろんな人に話しかけて楽しく過ごしていた模様。

それに対して糸谷竜王は烏龍茶しか口にせず、ずっと記録係の川崎三段と二人で話し込んでいたということでした。前期竜王戦ではビールの後に日本酒までお願いするほどの豪胆っぷりを発揮していたのことで、一日目の段階ではっきりと明暗が分かれていたようです。

一方深浦九段はというと期待通り羽生さんとのタイトル戦の話題で、前夜祭で並んで座っていると羽生さんが以外なぐらいぐいぐい飲むので、「負けてられるか!」と闘志を燃やしたというエピソードが。さすが「番勝負は恋愛」というだけのことはありますね~。

やがて対局者の二人が会場にやって来ました。ふたりとも額に残る汗の跡も生々しい、疲れきった様子で挨拶も「一勝を返して振り出しに戻せたので頑張りたい」みたいなお固い内容だったのですが、ここですかさず山口さんがこの日のお昼のカレーについてツッコミを入れました。

両者ともにカレー、しかも渡辺棋王は(甘口)というおまけ付き。これにはふたりとも苦笑して、一気に緊張がほぐれました。渡辺棋王は「ワサビやカレーなどの辛いものが苦手なので克服するためにあえて頼んでいる」と回答。そこに広瀬八段が「苦手を克服するのに甘口ってどういうことw」と更にツッコミを入れていました。対する糸谷竜王は「昨日の三色丼は美味しかったんですが、今日のカレーは正直味がしなかった」とのこと。

このカレーは1階の喫茶店で食べられるので、翌日のお昼に食べてきました。

お値段は1,800円!と相当なものですが、かなりスパイシーで本格的なカレーでした。角切りの肉はほとんどステーキ級。なかなかの逸品です。

広瀬八段は終局時点で「この局面はかっこ良すぎるのでここでは投了しないだろう」と予想していました。その心は、やはり対人戦なので相手にあまりいい気分で勝ってもらいたくない、ということでした。そのことを糸谷竜王に聞くと同じことを考えていたらしく、他のタイミングを考えたがここで投げるしかなかったとのことで、しきりに悔やんでいました。

次の一手クイズ抽選会では、みごと竜王戦記念扇子をゲット!

終わってみるとお昼から始まって夕食前に終わるという、ちょうどいい感じの長さで良かったです。これが千日手で深夜まで延々続くとかになったら、ニコ生でながらで見ているならまだしも、解説会で座っているのは疲れますからね~。

今回の解説会で実感したのは、山口さんの女子力でした。機転が利いて話をうまく引き出して、そして周りもよく観察している。数々の解説会で聞き手を務め上げているという経験もあると思いますが、なぜ呼ばれるかというとただ可愛いだけでも駄目だし、やはりこういう目端の利くところが重宝されているのだな、と。

前夜祭での糸谷竜王の様子にしても、同席していた村山五段は「え、そうでしたっけ(笑)」と全然気にしてなかったようで、男女の差を感じます。

こんな感じで大盤解説会を楽しんできました。解説会が金曜日だと泊まりがけで行けるからいいなあ。平日のほうが会場使用料が安いというのはあると思うけど、そのホテルに泊まる客もいるのでなんとか頑張って欲しいところ。

竜王戦はここまで第三局までを終えて渡辺棋王が1勝をリード。順位戦で森内九段にいいところなく破れるなどまだまだ完全復調とはいかないようですが、ここはしっかり竜王位をゲットしてもらいたいですね!

渡辺棋王の奥さんによる『将棋の渡辺くん』は近日発売。はやく読みたい\(^o^)/