続・電王戦第2局について感じたこと

電王戦第二局についての記者会見が行われましたね。一応タイムシフト予約をしているのですが、先にこちらの書き下ろしの方を読ませてもらいました。
http://shogi-pineapple.com/wp/?p=219
内容は「PVに関する謝罪」「やねうら王に対する特例措置に関する謝罪」「旧バージョンのやねうら王で戦う」という、昨日の自分の記事に書いたことがほぼ100%適合した形になったため、無難にまとめたなあという印象です。
特例期間のことなどさらに突っ込みどころが増えた部分もありましたが、おおむね問題はないと感じたため、これ以上付け加えることはありません。
 

残念だったこと

ただひとつ非常に残念だったのは、例のPVは片上理事も佐藤紳哉六段も了承済みだったということです。あれを見た人がどういう気持ちになるか考えが足りなかったとの反省の弁がありましたが、まさにそのとおりでしたね。
ラブレターは一晩寝かせて読み直せという教訓がありますが、一時の激情にまかせてできあがったものは、他人が読むと「うぎゃー!」と叫んで転げまわってしまうようなひどいことになりがちです。やねうら王さんに激怒していたのは分かりますが、それをああいった形で意趣返しするのは、非常に大人げない行為だと思います。自分はてっきりドワンゴの独走だと感じていたので、二人の棋士には失望しました。特に片上理事は、人の上に立つ立場の人が行うべきでない行為だと思います。
 

どこにも大人がいない

なぜ失望したかというと、自分は将棋棋士のことを良識ある大人であるという勘違いをしていたからです。カワンゴさんがいわゆる”大人”でないことは周知の事実です。やねうら王さんも同じです。奥さんや子どもがいたからって大人であることの証明ではありません。
ところが、子どもなのは片上理事も佐藤六段もおんなじでした。感情を抑えきれずに突っ走ってしまい、ブレーキをかける人が誰もいなかった。今回の事件の原因はそこにあるのではないかと感じます。
 
ですがまあ、それも仕方ないことなのだと思います。ドワンゴもまだ若い会社ですし、やねうら王さんだって当然場馴れしているわけではありません。余談ですが、最初に自分が山本一成さんを見た時は「やべえ奴が出てきたな」と戦慄したものです(^_^;) それが今では立派になってしまって…。


将棋連盟だってちょっと前はタイトル戦で大事件を起こしたこともあったし(この事件を知らない将棋ファンがいることにも驚きましたがw)、自分たちで主体的にイベントを開催するのだって、ここ最近のことではないでしょうか。要するに未経験者・子どもの集まりなのです。
今後このような事件を起こさないためには、誰か外から良識ある大人を呼ぶか、組織の中から大人を育てていくしかありません。そういう意味で、片上理事には責任を持って続投していただき、今回の教訓を今後に活かしてほしいと考えます。
 

ぼくらにできることは

結局のところ、電王戦はまだ若いのです。2回や3回で完璧な結果を出そうなんて考えが甘すぎる、と会社員歴XX年な自分は思います。自分の観測範囲のTwitterのタイムラインでも、おおむね似たような「まあぼちぼちやっていくしかないよね」的な感想が多くて貫禄を感じましたw
将棋というのは本当に息の長い趣味です。自分が学生の頃に羽生さんが七冠を達成し、それから20年経った今でも第一線で活躍しています。こーゆー競技はほかのスポーツだとちょっとありえないことです。野球やサッカーの選手は、本当にあっという間に引退してしまいます。自分は今は渡辺二冠を応援していますが、たぶんあと何十年かして自分が定年退職するときになっても、まだまだ現役である彼の将棋をワクワクしながら見ているのだと思うと、なかなか感慨深いものがあります。
このことは逆に言うと、誰か関係者を蛇蝎のように嫌ってしまうと、10年、20年先もその人が現れる可能性があるのです。
 
いち将棋ファンとしてできることは、誰かを憎んだり断罪することではなく、10年かけて良いイベントに育てるような気持ちで暖かく見守ることなんじゃないですかね。そのうえで、改善してもらいたい点やおかしいと思ったところについては声をあげていく、つまらないけれどそういうことが大事なんじゃないかと思うのです。
おっさんになると本当につまらないことしか言えないから困るなあ(^_^;)