おとなの修学旅行 Part3

朝起きて歯を磨いていたらオーストラリア人女性っぽい人がやってきて後ろを通り過ぎながら
「オハヨウゴザイマス」
と一言。外国の人には人気あるだろうなあ。安いし。そのわりに雰囲気もあるし。京都に泊まるのなら町屋旅館だろう、と強く思う。ただし真夏と真冬は無理っぽいなあ・・・。エアコンつけても外からの熱気がガンガン入ってきそう。6月の梅雨の切れ間は逆にベストシーズンだ。
 

イエモンサロン

朝食を食べに行ったのが伊右衛門茶でおなじみのイエモンサロン。これはかなり京都っぽい。
日替わりの朝御飯は、スズキのちゃんちゃん焼き風のものがメイン。普通の料理のはずなのにしみじみと感じいるぐらいおいしい。じんわりくる。ご飯はふっくらでお味噌汁も漬物もおいしくて、朝から重めのメニューだった割にがっつり食べる。おいしいおいしい。日本の正しい朝ごはん。
最初に出てくる水出し焙じ茶がおいしくて、他のお茶も飲んでみたかったけど結構なお値段だったので回避。セットメニューで飲めたら良かったなあ。雰囲気もおしゃれだけど落ち着く和風テイストでなかなかのスポット。店員もイケメン。イケメンサロン。
 

晴明神社

晴明神社 〜陰陽師 安倍晴明公をお祀りする晴明神社〜
はらごしらえができたところで本日の目的地第一弾、晴明神社へ出発。こちらは修学旅行の際に行きたかったけど行けなかったというので、まさにリベンジだ。

神社の周りは開発されてしまっていて、昨日の伏見稲荷のような神聖さはない、けれど、さすがに安倍晴明、日本最強の陰陽師を祀る神社だけあって参拝者の気合が半端じゃない。鳥居をくぐる前に一礼するぐらいはもちろん、本殿の前で真言のようなものを一心不乱に唱えていたり、むしろそちらの方が見物。あとはなんだろう、顔出し陰陽師とか色あせた映画のポスターはいらないと思うw
 

出町ふたば

出町ふたば

食べログ 出町ふたば

出町ふたばの豆餅といえば、かの「四畳半神話大系」に登場する樋口先輩も所望したという、知る人ぞ知る京都の名物の一つである。
そうは言ってもどんなもんじゃいという気持ちは否めないのだが、タクシーを降りてびっくり。ほんと何でもないような和菓子屋さんの前に列ができている! 今日は金曜日とはいえ平日の午前10時。にもかかわらずこれだけの行列とはいかに。期待に胸をふくらませて件の豆餅と、もうひとつ桜餅を頼んだ。
 
豆餅は鴨川デルタでゆっくり食べようということで、てくてく歩いて川べりに。これがあの鴨川デルタか!?という感動は後回しにしてまずは豆餅を食べてみる。
なんだこれは。ちょっとすごいぞ。
豆の塩味が絶妙。あんこの甘みは強くないけど、塩味によって引き立つとともに後味はすっきり。餅は餅で抜群に柔らかく、豆餅の概念を覆されかねないレベルの豆餅だった。うまいぞー!
桜餅も桜の葉っぱの香りが高く、そんじょそこらの桜餅が束にかかってもかなわないぐらいのおいしさだったけど、豆餅に比べると霞んでしまう。豆餅すごい。おみやげでは買って帰れないだろうし、ここに行かなければ食べられない、究極の京都スイーツだった。
 

鴨川デルタ


というわけで鴨川デルタである。ここらへんは「四畳半神話大系」の影響。主人公とその悪友が、鴨川デルタで楽しくやっている映画研究会のメンバーに向けてロケット花火をぶちかますことでおなじみである(誰に?)
高野川と賀茂川に挟まれた三角州の突端に立ってみるとしみじみと感慨が湧いてくる。そうか、人はこの感動を味わいたくて聖地巡礼をするのだな。ロケット花火禁止の看板も確認してうれしさもひとしお。
 

下鴨神社

聖地巡礼三段目は鴨川デルタからすこし北に位置する下鴨神社。古本市で明石さんが目からレーザービームを出していたことでもおなじみだ(誰に?)
糺の森は前日に参拝した伏見稲荷大社と同様、夏の暑さを遮断してひんやりと薄暗く、神聖さが肌からも伝わってくる。川に挟まれた鴨川デルタでさえむわっと蒸し暑いのに比べると、人の住む場所と神の住む場所との違いを感じさせられる。
玉依媛命を祀っている社殿を通り抜けて参道に向かうと、その違いはいっそう顕著になる。片側2車線ぐらいの、人間が通るには広すぎる道が本殿に向かって伸びている。その両側には木々と川。道の表面は干上がった川底のように水の流れが模様を作っている。

これはきっと神様用の道なんだろうな、と解釈して、隣に設けてある玉砂利の引かれた(多分人間用の)参道を進んだ。本殿までの距離はけっこうあるが、苔むした木々や川の流れを覗いたりしているうちに疲れる暇もなく参道を抜けた。

国歌にも歌われているさざれ石を拝んで本殿に至ると、今度は豪華な門に驚かされる。緑の中に壮大な赤。自然の中に巨大な人工物。このギャップがいい。

お参りは本堂の他に干支のお堂があって、それぞれの干支にもお参りするようになっている。おみやげのお守りを買って帰りは大きい方の参道を通って帰ることにした。道の広さに比して歩く人の数がまばらで、なんだか縮尺がおかしく思えてくる。自分が小さくなったみたいな気持ち。ほんのちょっと歩けば大都会なのに、ここでは自然の偉大さや、人間の手に届かない偉大な力を感じさせる。
そうやって感じ入っている自分をよそにママチャリが横切って行ったりするギャップがまたいとおかし。
 
玉依媛命を祀ってある方は美人の神様というだけあって女性の参拝客が多い。朱印帳を持参してきていたりと、かなり本気だ。お参りするだけで美人になるなら苦労はしない気もするのだがと思ったけれど、神のパワーで相手を幻惑して美人に思わせることは可能かもしれない。それなら陰陽道を極めたほうが早い気もするが・・・。