おとなの修学旅行 part2

十四春旅館

伏見稲荷大社を見てご飯を食べて、まだ明るいけどとりあえず旅館に行って荷物をおろすことにした。
今回泊まる予定の十四春旅館は、登録有形文化財に認定された京都の町家を改装して使っているのが特徴。ツアーでは普通のビジネスホテルもあったけど、せっかくの京都だし!ということで雰囲気重視で町屋旅館にしたら、見るもの全てが京都らしくて大正解。
お部屋に入るとまず出されたお抹茶と水ようかんが絶品。ニッキの香りがさわやかでひんやりとした口当たり。なんかもう完全に気分はもう京都。
 
食事なしの片泊まりだったので、夕飯を食べるために外に出た。とりあえず祇園の方でも冷やかしてみようかなと思って、地図で見ると近そうなので歩いてみたのが大失敗。うろうろ歩いていい加減歩き疲れてきたところに雨が降ってきた。
目の前にあった大丸デパートにダッシュで駆け込むと後ろから、
「雨の中は歩いても走っても濡れる面積は一緒だよ」
と言いながらテクテクとついてきて、店に入ったとたん
ざざーっ!
と土砂降りがやってきた。あまりのはかったようなタイミングに、顔を見合わせてにんまり。
 

イノダコーヒ

デパートとはいえ京都らしいところを外すわけにはいかないので、京都の有名なコーヒーのチェーン店であるイノダコーヒーに入った。

  1. 豆のカレー
  2. コーヒー(ブレンド)
  3. フルーツサンド
  4. アイスティー

そのわりに京都らしさのかけらもないメニュー(笑) おみやげにコーヒーの詰め合わせを買って、デパートの外に出ると既に雨は上がってさっぱりとした空気に。
6月の初めとはいえ京都はもう夏なんだなあ、と函館との気候の差を実感した。そりゃ、季語と実際の季節感に隔たりが出るわけだ〜。
 
旅館に戻ってまずはお風呂。浴室は旅館に一つしかないけれど、檜の浴槽はいい香りで、疲れが一気に吹き飛ぶ。タオルや歯ブラシ類も完備されていて安心。
浴室までの廊下は中庭に直接面していていて壁も何もないのに、熱くも寒くもなくぬるまるい空気が気持よく、また、どこか妙な感じを受ける。外にいるのに寒くないのはここは屋外にではなく、どこか大きなアトラクションの中の(大江戸温泉物語のような)一室なのではないか、という気分。自分がどこにいるのか判然としないような不思議な気分のまま、しばらくぼんやりと中庭を眺めていた。
 
部屋からは前庭が望めるので、板間に置かれた安楽椅子に座って、またぼんやりと。明治時代に作られたという手漉きのガラスを通して見る外の景色はわずかにゆがんでいて、さらに現実味を失わせる。果たしてここは平成なのか明治なのか、たぶん現代と過去が入り交じったなにかぐちゃまらな空間の中で、京都の一日目は幕を下ろすのであった。