竜王戦第2局

渡辺竜王の快勝に始まった竜王戦もいよいよ第2局。後手番で勝てるかどうかがタイトル防衛に向けて大きな岐路になるので、1局目にも増して注目していました。
堂々たる相矢倉模様で始まった戦いは、羽生名人の新手、59手目▲1五香で一気にヒートアップしました。

この局面で一番素直な手は▲6五銀。角を攻めつつ▲7四銀と侵入していけば良さそうなところを、先に香車を捨てる手順を選びました。
封じ手となった▲1三桂成もそうだけど、どちらを先に指しても良さそうなところで綿密に読み進めて手順を最適化する名人の凄みを感じました。相矢倉なんて将棋のうちで一番指されていそうな戦型なのに、この局面で新手が出るというのはきっとそういうことなんだろうなあ。
 
一方の渡辺竜王のハイライトシーンはこちら。

攻められ続けて防戦一方、7四に馬まで作られて万事休すか!?な場面で、控え室の誰も予想しなかった反撃の一手。
局後のコメントでは竜王は「無理筋だけど…」と言っていましたが、実はこの反撃が名人への大きなプレッシャーになったのではないかと思っています。

10手後に名人から「▲8四馬」という疑問手が出て竜王の勝勢となりますが、この局面でどうして「▲8五馬」では無かったのかと問われた名人は、受けに回る手は全く考えていなかった、というようなことを言っていました。深読みかもしれませんがこれは「渡辺竜王が踏み込んでくるのだから攻めがつながるに違いない」という一種の信頼のようなものが名人にあったのかもしれません。そのせいで無理だと思いつつ活路を求めるために指したとなれば、我々一般人が竜王に対して思う強さよりも、さらにもう数段階上の強さを名人は認めている、そんな気がした一局でした。
 
将棋界No.1とNo.2による熱戦が続く竜王戦第3局は11月10・11日の予定。次回も観戦するぞ!