人の死ぬ話を読むには精神力が必要

というわけで緋色さんから借りていた本第2弾。やっぱり文章を書いている人は読む本もセンスがあるなあ。自分も学生時代とか、ラノベばっかり読まずにこういう本格SFを読んでおくんだった・・・。
 

みんな行ってしまう


SFというよりホラー色の強い短編集なので、読み進めるにはなかなか精神力が必要だったのですが、独特の雰囲気が味わい深くて楽しめました。
『あとで』は物語の核心にいたるまでのスピードの速さが素晴らしかったなあ。細部をはしょって短くするんじゃなくて、気がついたら渦中にいることが分かった、という速さ。続きが気になるところでざっくりと結末にしてしまうところも余韻があって好きです。
『猫を描いた男』は、タイトルからしてもうオチが読めるんだけど、そこに到るまでの状況描写の積み上げ方が良かったです。小さな町に起こったたった一つの大事件、という雰囲気が伝わってきてしみじみ。だけど、ビールって10年も保存がきくんだっけ・・・? そこだけが気になる。
『いつも』もお気に入りの短編の一つ。ホラー色の強いものよりも、この短編のように別離の悲しさを描いた作品のほうが味わいがあって好きだなあ。
 
はてな年間100冊読書クラブ 291/303)