窓の外と中

仕事中、外が暗くなったと思って窓の外を見たら、人と目が合った。窓拭きの人だった。驚いた。
こちらがじっと見ていても彼らは淡々と窓拭きを済ませていく。ブラシで窓をぬらして、ワイパーで水をふき取り、ワックスをかけて終わり。こちらが見ているのが分かっているのかいないのか。見られることに慣れているのか。
 
帰りに、そういえば似たようなマンガがあったなと思って貸し本屋に寄って帰った。
 

土星マンション


遠い未来、自然破壊のはてに地上に住むことが出来なくなった人類は、地上から35,000mの高さに建設されたチューブ状の構造物に居住していた・・・。
と聞くといかにもSFだけど意外とそうでもない。主人公は居住区の窓拭きを仕事としているのだが、地上から遥か高空で作業をしなければならない下層の住民と、危険な作業への代金を支払える上層の住民との間の軋轢や心の交流がメインの物語となっている。
IKKIはこういう独特の絵柄と背景で心の交流を描き出す作品が多いような気がする。『おしゃれなガロ』というイメージが近いような。
 

ディエンビエンフー


ついでに借りたらはまってしまった。これは最高に面白い。
ベトナム戦争を舞台としているのだが、戦闘シーンもセリフもとにかくかっこいい。
こんなほんわかとした絵柄で戦争物?と思ったけど、残酷だけどグロくない分、淡々と人が殺されて粛々とストーリーが進んでいけるんだと感じた。これが『シグルイ』の絵だとさすがにくどすぎる。
 
IKKIは良作が多いなあ。最近のアフタは萌えというか中高生向けに走りすぎているのでちょっと弱い。そろそろ鞍替えの季節だろうか。