大いなる堂々巡り

四畳半神話大系

四畳半神話大系

もし○○だったら、というのは誰でも振り返ることだけど、その妄想を完璧に昇華する手腕が素晴らしく良かった。かといってそれだけに終始することなく、最後には森見的不思議世界がちゃんと控えているのがなお良い。あちこちに既視感を覚えつつ、予定調和を期待させつつ、からの裏切りが最高で、今回も期待を裏切らせないクオリティの高さだった。
中編の体裁を取りつつも実は長編で、というスタイルが最近好きだ。一つ一つのエピソードに、全体をより面白くするための仕掛けが含まれているのがたまらない。
 
関係ないけどパラレルワールドものだったら、筒井のダンシング・バニティもこういう書き方をしていたほうが面白かっただろうな。関係ないけど残念。
 
121/200