モラトリアムのすすめ

最近『ベーシック・インカム』という考え方を知りました。詳しくはベーシック・インカム - Wikipediaを読んで欲しいけど、要するに無条件で全ての国民に最低生活費を支給する、という社会保障制度だそうです。
実現可能性はおいておくとして、第一感でこの制度が画期的なのは、中間マージンをざっくりと削ることができる点だと思いました。年金を撤廃してこれ一本に絞れば直ちに社保庁は無用な存在になるし国民保険料の徴収コストもなくなるし、生活保護だって大半は審査や生活状況の調査がいらなくなるのでケースワーカーだって減らせる。中卸を経由しない方が儲かるのは商売の基本です。
 
ベーシック・インカム制度への反論として働かなくなる人間が増える、というのがあるけど、例えば最低生活費を国民年金と同じとして一人80万円だとしたら、車ももてない旅行もいけないで、暮らせなくは無いけれど働きたくなるだろうし、そもそも買い手市場だから就職もカンタンにいい職場が探せるわけです。
財源はどうしよう。1億3千万人に80万円ずつ配ったら104兆円。国の予算が82兆円だからとんでもない数字に見えるけど、特別会計を含めれば258兆円だし、さらに地方の予算93兆円を加えると意外と悪くなさそうです。前述のコスト削減効果と税率アップで*1乗り切れそうな気もします。相続税や固定資産税を上げて個人の財産の流通度を上げるのも必要ですね。お金持ちは法人化して乗り切ればいいし。
あとは問題になるのはインフレか。そうなったら食券でも配るしかないんじゃない?
懸念があるのがギャンブル(というかパチ屋)と酒。廃人を増やしたってしょうがないし、1国2通貨制度を取るしかないのかな。BI円を普通の円と分けて、BI円は使うのに制限をつけるとか。まあここら辺は突っ込みどころけど。
 
労働=苦役、育児=苦役という概念を打破してくれるという点もまたベーシック・インカム制度の素晴らしいところですが、やはりいつでもモラトリアムに入れることが素晴らしいと思うのです。
社会人になって「ああ、もっと勉強しとけばな〜」と思っても時既に遅しで、食うために働くだけで精一杯、休日は疲れて寝るだけで終了!って人はいっぱいいると思う。「熱意が足りない!」と言い切っちゃうのは簡単だけど、そのせいで埋もれちゃう才能があるのも悲しい。伊集院さんの言葉を借りれば「円盤投げで67億の1位なんて言われたって、オレが一回も投げたこと無いのに分かるわけないだろ?」ってことなんですよね。全ての個人が誰にも(親にさえも!)自己実現を阻害されない世の中、それはもう理想郷以外の何物でもないと思います。
 
壮大で魅力的で、考えれば考えるほど面白い構想です。しばらくベーシックインカム関係のことを書いているサイトを巡って勉強してみよう。

*1:ただし最低生活ラインまでは非課税