アリとキリギリス

 いわゆるワーキングプア層に全然共感する気にならないのは、この童話のことを思い出すからだろう。

 職業スキルもつかず、心も体もボロボロになった若者が増えれば、それだけ社会的コストとなってしっぺ返しとなる。企業が非正規雇用者に結婚も子育てもできない収入しか払わなければ、人口減少による市場縮小、成長力低下は避けられなくなる。まずは正規・非正規の賃金差別をなくすことが必要だ。
雨宮処凛「生きさせろ!〜難民化する若者たち」 | ホンネの資産運用セミナー(インデックス投資ブログ)

 で、今そういう立場の連中はどれだけの努力を今までやっててきたんだろう。小学校の時分から努力を放棄したやつらは多いけれど、そういう人間はほぼ間違いなくワーキングプア層に属している。これを自業自得といわずなんと言うだろう。これまで"真面目に"やってきた人間には、偽善以外の何者とも思えない発言だけど、僕ら以上に恵まれた人間には施しを与えるだけの余裕があるということか。
 結局は若い頃楽をむさぼっていた連中が、若さを失った頃に文句を言えば全て充足するというそのシステムこそが若い頃に努力をすることのインセンテンティブをなくしているとは考えられないだろうか。どうせ頑張ったって、頑張らなかった者を食わせるために働かなきゃならないと思えば頑張るものもいなくなるだろうに。
 

 雨宮処凛氏は、産業界の圧力で90年代中ごろから非正規雇用規制緩和が繰り返されてきたことが影響していると指摘する。同じ仕事をしていても正規・非正規の違いで2倍以上も収入が異なることも多い。ヨーロッパでは信じられないことだが、日本では当たり前のように蔓延している。

 多分この人は去年フランスで起こった暴動のことも忘れているでしょう、欧州統合の流れの中で雇用→福祉の流れが崩壊していることも、フランスの若者の失業率が20%以上であるということも、知らない振りをしてこうやって問題提起すれば良いことを言った気になれるというもので。外国=パラダイス感に支配されているんでしょうね、多分。
 これまで良く読ませていただいたサイトだけにこのような論調は非常に不可解です。"ホンネの"投資活動をするよりは自分が貧しいと喧伝した方が利率が良いと考えておられるなら、それはそれで慧眼と言えるんだけど。