奥尻島一周の旅その4 ~奥尻島にはワインがある~

奥尻島の2日目は冒険島からスタート。原付でブイーンと進んで北追岬公園へ向かいます。ここには流政之の彫刻が展示してあることで知られています。流政之といえば大沼の流山温泉で有名。北海道の色んな所に足跡を残しているんだなあ。

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特徴ある彫刻のシルエットから場所はすぐに分かったんですが,たどり着いてみるとさらにもう一つのポイントがあることが分かり,あまり人が歩いていなさそうな草ぼうぼうの山道を下っていきます。

クマやマムシが出たらどうしようかと思いましたが,奥尻島にはどちらも住んでいないので大丈夫。

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しばらく下ると「ズボラ岩」という名の洞窟が現れます。天井が低く頭をゴツゴツぶつけますが,面倒くさがってヘルメットを被ってきたのが功を奏しました。巨大な噴石の下を通り抜けられるようになっており,ズボラな人がここをショートカットしたのが由来だというのですが,どう考えてもズボラというより「勇者」です。ここをくぐっている間に地震が来たらぺちゃんこやで。

ワイン工場

奥尻の名産といえばウニ・アワビよりも今はワイン。最近は輸入した濃縮還元果汁を水で戻してアルコールを足して「日本で製造しているので国産ワインです」と言い張るような悪徳メーカーが増えている中,奥尻ワイナリーは100%奥尻産のブドウだけを使った純日本ワインを作っています。偉い。

okushiri-winery.com

ニュースで見たんですが、これから法律が変わって本当に国産のブドウを使っていないワインは国産ワインを名乗れなくなるそうで、各社がワイン畑を増産しているとのこと。そんなことをせずとも正々堂々真面目に作っているところが偉い。

前日に予約したときは10時の見学で予約していたんですが、あまりの寒さに北追岬公園を早めに切り上げたせいで9時30分に到着してしまい,困ったなと思っていたら9時30分の回に参加するメンバーの中のひとりのお姉さんが「いまから工場見学するから一緒に来れば?」と声をかけてくれたので,その言葉に甘えて同行することができてラッキーでした。

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樽がびっしりと並んでいかにもなワイン蔵。ただ,こちらの工場ではあまり木の樽での熟成を行っていないとのこと。問題は1樽30万円というコストもそうだし,樽を使う理由は主に木の香りをワインに移すためなので,近頃はフルーティーな白ワインなど,素材の美味しさを活かすタイプのワインではあえて樽を使わないこともあるそう。

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こちらはブドウの搾り器。前方の穴からワインを送り込み、中で風船を膨らませたりしぼませたりしてブドウを潰しており、処女が足で踏んだりはしないとのこと(-_-;)

奥尻ワイナリーの凄いところは製造工程をすべて公開していること。すべてオープンにしている工場は世界中を見回しても稀なんだとか。

残念ながら仕込みの時期には工場内に入ることはできませんが、代わりに2階の窓からワインを醸造するすべての工程を見ることができるそうです。惜しむらくは葡萄の収穫時期が秋で観光シーズンを過ぎてしまっていること。せっかく公開しても見に来るお客さんはあまりいないとのことですが、たまにやってくるワインマニアは丸一日仕込みの様子を見ていることもあるらしい。

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工場案内の中で係の人が、出荷待ちのコンテナの中から一本の瓶を取り出しました。中にはキラキラとした結晶が光っています。

「天然のブドウを100%使っているワインでは、このような結晶ができてしまうことがありますが、クレームのもとになるので見つけ次第コルクを抜いてろ過して詰め直さざるを得ないのです」

とのこと。濃縮還元の葡萄液を使ったまがい物のワインでは酒石ができることがないので、むしろ天然ブドウのしるしなのに、消費者の理解がなくて流通に回せないのは残念なことだと思いました。むしろ工場では酒石入りのを売ってほしかったなあ。

オススメは白ワインで、近年は白:赤の比率を9:1にするぐらい力を入れているそうです。なのでお土産にピノ・グリと、

工場限定販売のケルナーを買って帰りました。

家に帰って早速ケルナーを開けて飲んでみましたが、一口目のフレッシュなフルーツ感に驚かされます。レモンのようなスッキリとした酸味の後にブドウの風味が広がって、飲み終えた後もしばらく後味が残ります。強い。潮風を浴びて育ったブドウはミネラルが多いとのことですが、アイラ島のピート臭の強いシングルモルトのような力強さがあるのかもしれません。これは好みだなー。これからワインを買う時は必ず奥尻のにしよう。


今週のお題ゴールデンウィーク2018」