ひな祭りの歌に秘められた闇
この時期になると近所のスーパーではひな祭りの歌がエンドレスで流れているので、帰宅してからしばらくは耳から離れない状態が続いています。年末は「もういくつ寝るとお正月」、2月には「おにはそと ふくはうち」、そして3月はひな祭り。日本全国酒飲み音頭じゃないけれど、よくもまあ毎月かける曲があるのだなと感心しますね。
話をひな祭りに戻すと、いちばん有名なのは当然1番の歌詞。
あかりをつけましょ ぼんぼりに
お花をあげましょ 桃の花
五人ばやしの 笛太鼓
今日はたのしい ひなまつり
自分が小学生の頃はこれを、
あかりをつけましょ 爆弾に
ドカンと一発 ハゲ頭
五人囃子の 愚連隊
今日はたのしい ひなまつり
と替え歌にしていました。
よく行くスーパーでは1番だけでなく4番までフルコーラスで流しているので、あまり聞き慣れない2~4番の歌詞がなかなか新鮮に聞こえます。
ひな祭りの闇
そんな感じでここ1、2週間ぐらい毎日毎日繰り返し聞いていると歌詞の内容まで頭に入ってきて、そのうちに「実はこの歌は闇が深いのでは」と思い始めてきました。それが2番の歌詞。
お内裏様(だいりさま)と おひな様
二人ならんで すまし顔
お嫁にいらした 姉様に
よく似た官女の 白い顔
ちらっと聞いただけではごくごく普通の歌詞なのですが、聴き込んでいくとおかしいことに気づきます。
まずこの歌の主人公は女の子。そして、年の離れた兄がいることがわかります。最近その兄が結婚してお嫁さんをもらったので、いまは義理の姉が一緒に暮らしており、雛人形を見ていてその姉の顔を思い出す、というのは一見可愛らしいストーリーです。
だがしかし、
お嫁にいらした 姉様に
よく似た官女の 白い顔
なぜ三人官女!?
官女とはお姫様に使える下女。花嫁衣装を着た姿も記憶にあたらしいはずなのに、なぜそんなモブに例えるのか! 普通なら兄と兄嫁をお内裏様とお雛様に例えてもいいはずだと思えるのですが。
ところが4番の歌詞を見ると、
着物をきかえて 帯しめて
今日はわたしも はれ姿
春のやよいの このよき日
なによりうれしい ひなまつり
自分をお雛様になぞらえていることがわかります。ということはつまりこの女の子は、自分が姫であり、義理の姉は自分よりも身分が下で、なおかつ年増であることをふまえて官女になぞらえている……!? おそろしい、小姑おそろしい。
さて、ひな祭りが終わったらどんな曲が流れるのかな。
今週のお題「ひな祭り」