ワイルドベタの繁殖に挑戦 その2

前回無事に孵化することができたベタの稚魚たちですが、ここまでは主にベタのお父さんお母さんたちの活躍によるもの。産まれたベタを大きく育てるには、ここから先が肝心要なのです。

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エサをどうするか

産まれたばかりの稚魚たちはとても小さいので、市販のエサでは粒が大きすぎて食べられないうえに、そもそも「動くものをとりあえず食べる」という本能しかプログラムされていかないので、固形飼料には見向きもしないとのこと。ある程度大きくなって複雑なプログラムを走らせられるようになると、「こいつはいい匂いがするから食べ物だな」という判断ができるようになるんですかね。

インフゾリアを沸かす

そのため、インフゾリアという総称の動物性プランクトンを沸かす方法が一般的です。

で、こんなものを買ってみたんですが、よくよく見るとこれはインフゾリアの卵とかが入っているわけではなく、インフゾリアが好む食べ物なんだそうな。そうなるとこのネーミングは誇大広告な気がするんですけどいかがなもんでしょうか。

それはともかく、インフゾリアを沸かすためにはまず野菜の根をよく煮て(枯草菌以外の菌を殺すためらしい)、飼育水とインフゾリアの素を入れて暖かいところに置く。そうすると出て来る白いもやもやがインフゾリアの雲なので、それをスポイトで取って与えるということでした。

冷蔵庫に小松菜の切れっ端があったので試してみたんですが、確かに水が真っ白に曇ったけれど、なんか凄い発酵臭というか野菜の腐ったような臭いがして、本当にこんなものを稚魚の水槽に入れて大丈夫なものかどうか不安になってしまいました。これで全滅させたら完全に自分の責任じゃないですか。

インフゾリアは基本的に水槽の水に含まれていて、特に植物にはたくさんついているということなので、各種水槽に浮かべていたアマゾンフロッグピットを稚魚水槽に集め、さらにベタ父水槽のウィローモスを入れて、植物多めの状態にしておいてインフゾリアの素を加えるだけにしておきました。

ブラインシュリンプを沸かす

インフゾリアを食べて大きくなってくると、今度はもうちょっと大きな食べ物が必要になってくるというので、同時並行でブラインシュリンプという甲殻類の一種を沸かします。

ニチドウ ブラインシュリンプ 20g

ニチドウ ブラインシュリンプ 20g

もともとはアメリカの塩水湖にいる生き物なので自然の稚魚がこれを食べているわけではないんですが、シーモンキーのように乾燥した卵から孵化するので便利。

ただ育て方は地味にめんどくさくて、塩水を作って卵を入れて24時間エアレーションする必要があります。実際にやってみると、小さい容器にエアレーションをかける、しかも対流するほどの強さでとなると結構うるさいんですね。居間の水槽からも寝室に響いて、常にホワイトノイズが鳴っているレベル。さらに容器の周辺には塩が飛び散って、ちょいとした海水水槽気分を味わえます(こんな形で味わいたくなかった……)。

これはアカンと思って調べてみると、浅い皿を使えば酸素が取り入れやすくなるのでエアレーションが不要だという、その名も「皿式」という方法を提唱している方がいたので、エアレ法と同時並行で試してみることにしました。

ブラインシュリンプは皿式に限る

結果はと言うと、エアレーションした方も皿に入れるだけでも、どちらも同じく孵化していました。エアレーションとはなんだったのか……。業者クラスに大量に育てるなら深い容器でモウモウと沸かす必要があるかもしれませんが、個人ユースなら皿式で十分ですね。

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こんな感じで水槽の上にプラケの蓋を並べて置いて、朝用と夜用の2種類を用意しています。左が24時間経過後ですね。ブラインシュリンプを与えるにあたっては未孵化の卵や孵化後の卵の殻を取り除く必要があるんですが、最近は慣れてきて、

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12時間経過後のを傾けてこんな感じに寄せておくと、

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勝手に光の方に集まってくれるので楽に吸い取れることがわかりました。

塩水を毎回作るのは面倒なので、500ccの水のペットボトルに塩を10g入れて500gになるまで水を入れて、よく振って多めに作っておくと便利。塩水をそのまま水槽に入れると水草に悪影響があるので、コーヒーフィルターに出して、最後に汲み置きしておいた水ですすいで、それが流れ落ちる前にすかさず吸い取って投入しています。

30cm水槽に移動

ブラインシュリンプを使うと問題になるのが食べかすや卵の殻が水槽の底にたまるところです。そのままにしておくと水質が悪化するので掃除をしなければいけませんが、スポイトで吸おうとすると稚魚まで吸い込んでしまうし、減った分水を足すのにも水質の変化に弱い稚魚には致命的になりかねません。

ということで逆転の発想で、稚魚ごとゴミを吸い取ってしまって、空いている30cm水槽の方に強引に移動させてしまうことにしました。30cm水槽の方はもともと孵化場にするつもりだったので水ができているし、フィルターもあるので水質も保たれています。移動の際に死んでしまう個体が出るかもしれませんが、この小さなコレクションケースの中で100匹以上の稚魚を育てることはどだい無理な話ですからね。

試してみると結構な数の稚魚が生き残っており、さらに、どうもコレクションケースの中の稚魚よりも成長が早く動きも活発な気がします。狭いところで産ませてから同じ水質の広い場所に移す作戦は、これはこれで正解だったのかも……?

さらに足し水は、父ベタの水槽の水を使うことにしました。コレクションケースは小さいのでフンを見かける度にスポイトで吸い取っていて、その後汲み置きの水を入れています。そこで、

  • 稚魚水槽からゴミ&稚魚を30cm水槽に移す
  • 父ベタ水槽のゴミを取り除く
  • 父ベタ水槽から稚魚水槽に水を移す
  • 父ベタ水槽に水を足す

というローテーションで、ただの水をベタ水に変えてから投入することにしました。

いまのところ順調

そんな感じでベタ・インベリスの繁殖はいまのところ順調です。っていうか、このまま100匹育ってしまったらどうしよう。売るか……。売れるのか……?