君は1/1000秒を計測する超精密クロノグラフを見たか!? BULOVA 96B259

まずはこの動画を御覧いただきたく。

何かの冗談か、もしくはCGかと思えるぐらいの高速運針。クロノグラフの針の回転速度はなんと秒速10回転。

デジタルならばともかく、実体の針を使ってこれだけの無茶をやる意味は何なのだろうかと問いかけたくなります。たぶん意味なんて何もなくて、完全なる技術の無駄遣い、いや、だからこそ素晴らしい、だからこそ所有する価値がある、そう思わされました。

意味があるとしたらきっと、”精密”を意味するPRECISHONISTを冠する時計であるという誇り、そういったところなのではないでしょうか。

クロノグラフが欲しい

腕時計のコレクションがだいぶ充実してきて、これで一息つけるかなと思ったのもつかの間、むくむくと物欲が湧き上がってきました。

機械式時計の魅力にハマり、

pikaring.hatenablog.com

スマートウォッチを買い、

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トノー型の時計や、逆回転モデルだって買いました。だけどただ一つ持っていないものがありました。それがクロノグラフです。

クロノグラフとは

実はこれまでクロノグラフとは何かというのが、よく分かっていませんでした。腕時計の文字盤の中に小さなフェイスがたくさん並んでいる、それがデザイン的にカッコいい、それだけでした。

調べてみると、クロノグラフとは要するにストップウォッチ機能搭載の腕時計ということなんですね。ひとことで言うとそれだけ。それだけの機能なんだったら、うーん、主にカッコよさだけなんですね。まあ、それがいちばん大事なんですけども。

クロノグラフの特徴といえば、値段がバカ高いことがあげられます。ただ時間を表すだけならまだしも、同じ針をストップウォッチ機能にも使おうとすると複雑怪奇な超絶機構が必要になるんですね。なので、機械式のクロノグラフを買おうとすると大抵100万円ぐらいします。100まんえん! しかも複雑なだけに壊れやすく、メンテナンス費用も通常の時計に比べたら何倍もするという厄介な代物なのです。

ちなみに今年のバーゼルワールドに出品されていたゼニスのクロノグラフのお値段は9900スイスフラン。日本円にして110万円です。

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クロノマスターDEFY【3モデル】|TANAKA | 名古屋

機械式に比べたらクォーツは全然安い(1万円以内で買える)んですが、自分は機械式時計に傾倒したあまりステップ運針を見ると蕁麻疹が出る体質になってしまったので(笑)、これはもう石油王にでもなるしかないなと諦めかけていました。

捨てる神あれば拾うブローバあり

しかし、ステップ運針がダメならブローバがあるじゃないか! ということを思い出しました。クォーツなのになめらかな秒速16振動を誇るプレシジョニストを有するBULOVAなら!

調べてみると、ブローバのクロノグラフには大きく分けて2種類がありました。ひとつはスモールセコンドで時計の秒針を表し、通常の時計の秒針はクロノグラフ作動時のみ稼働するというもの。


Bulova Moon Watch 96B251 from Bulova on Vimeo.

ムーンウォッチに代表されるように、このような動作がクロノグラフとして一般的なようです。ただしこれだとクロノグラフを動かしたときしかスイープ運針にならないし、スモセコは1/2ステップというせせこましい動きになっています。これはちょっと欲しいものとは違う。

そしてもう一種類はスモセコがなく、クロノグラフ切り替えスイッチを押すことで秒針の動きが変化するというもの。それが前述の96B260というモデルと、今回購入した96B259でした。

この秒針は通常スイープ運針でヌルヌルと動き、時間を測る時だけカチッカチッと1秒刻みになります。

「これだよこれ!」

そう思って実際に動いている動画を探したらさらにヤバいことが分かりました。なんと、アナログ時計なのに1/1000秒まで計測できてしまうというのです。クロノグラフの上部の小円にある二本の針はそれぞれ1/10と1/100をあらわすため、秒速1回転または秒速10回転という高回転を実現。

さすがに秒速100回転は無理だったらしく、これについては下部のインジケーターがストップボタンを押されたタイミングで1/1000秒の数字を指し示すようになっています。

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最初に上げたPVを見て惚れこんでしまったため、思わず衝動買してしまいました。ブルー&シルバーの96B260とレッド&ブラックの96B259とで一週間ほど悩んだんですが、やはり自分好みの赤黒の方を選択。

96B259 Men's Precisionist Chronograph Watch

すごい時計を手に入れてしまった

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価格と機能を考えたなら、これはある意味『究極の一本』かもしれません。


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こちらは「クロノ」→「時計」と動作を切り替えたところ。

右上のスタート/ストップスイッチを押すまで秒針は0秒の位置で待機。

スタートが押された瞬間、上部の円の中の針が狂ったように周り出します。先端が赤い針は1秒間に1回転、銀色の針は1秒間に10回転。

そしてストップした瞬間には下の円の針が、1/1000秒の数字をピタッと指し示す。

さらに切り替えボタンを押して動作を時計モードに切り替えると、すぐさま秒針はスムーズな動きで現在の秒に追いついて、そこからスイープ運針での動きに復帰します。この秒針の動きが芸術的で最高です。

スロー撮影してみるとさらに凄さがよくわかります。


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BULOVAのプレシジョニストですから本来の秒針の動きは16振動、つまり1秒を16分割して進むわけですが、そんなヌルヌルとした動きだと「いま何秒なのか」がわかりにくい。だからクロノグラフ時にはスイープ運針はなく、秒から秒への動きはわずが0.1秒で終え、残りの0.9秒は現在の秒を指し示しているのです。

この気配り。そしてこの小気味よい動き。最高です。

これだけの超絶技巧を持っていながら、価格は前述したゼニスのクロノグラフのわずか25分の1。文字通りの破格ですね。

時計のコストパフォーマンスとは

一言で腕時計と言っても、下はダイソーの100円デジタルウォッチから、上はテニスのラファエル・ナダルが着けているような数千万円のモデルもあるわけです。その価格の違いは何から生じているかというと、機能だったり見た目だったり素材だったりするわけですが、価格が上がれば上がっただけ素晴らしいかというと必ずしもそうではなく、ある程度のところで機能が価格と比例しなくなります。

それ以上の値付けが何によって行われているかと言えばやはりブランドで、オメガなら50万円以上、ロレックスなら100万円以上という相場観が上乗せされているわけです(偏見)。その点ブローバは、虚飾を一切取っ払って純粋な性能のみで勝負している。そこが尊い。見栄や虚栄心とは無縁な気持ちで製品の良さがわかっている人が選ぶメーカーが、ブローバなんじゃないかなと思うわけです。

本来ならプレシジョニストなんて10倍の価格で売って10分の1の本数で満足しておけばいい画期的な機能ですけどね~。欲がないというかなんというか。そういう意味でも多分この96B259は、考えられる最高の機能を盛り込んでいる中で最もお求めやすい価格を追求した極北なのではないかと、そう思うのですよ!

という感じで、「こいつは最高に良い時計なんじゃないか」と思って買ってみたら確かに最高に良い時計だったのでテンション高めに紹介しました。ブローバはいいぞ。

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96B130も良い時計です。これに比べると259はクロノグラフの割にあまり大きく感じないところが気に入っています。ブローバはアメリカの企業なだけあってサイズが全部アメリカンで、デザインもなんというかカリフォルニア風味なんですよね。その点96259は同じカリフォルニアでもラグナ・セカっぽさがあるような。

96B259はAmazonや国内のストアで買うとやたらと高いので、Amazonで目星をつけてe-bayで買うのがオススメ。1万円は安く買えます(^^)/