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「この世界の片隅に」で泣いてきました

各地で大評判の「この世界の片隅に」ですが、地元ではようやく1月1日から公開になったので観に行ってきました。普通は何かしらの映画を見たらすぐに感想を書いているんですが、ちょっと今回は「凄い」以外の感想が思いつかなくて、何を書いても陳腐になりそうな気がして、でもすごく良かったんで、そのことだけでも書いておいたほうが良いかな、と。

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こうの史代のファンなので原作はもう何度も読んでいて内容は完全に覚えているんですよ。それなのになんというかもう、最初のシーンから胸にこみ上げてくるものがあって、上映時間中はずっと目をうるわせていたような気がします。

内容的には普通の、本当に普通の戦時中の暮らし。戦争と言っても激しい銃弾が飛び交うわけでもなく、敵兵と殺し合うわけでもない。だけど生活は徐々に苦しくなっていく。衣食住が制限されて、それでもそれを受け入れて、「良かった良かった」と言って暮らしていく。だけどそれは本当に良かったわけじゃなくて、そうでもしないと、苦しい中でも笑顔でいなければ苦しくって生きていけないから出てきた笑顔なんですよね。本当はもちろん辛い。でも辛いと言っても楽になるわけじゃない。絶望の中での前向きさに、微笑ましさと切なさが共存しているんですよね。そういう複雑な心情に感動しました。

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なぜそこまで感動できたかというと、やはり主人公の「すずさん」への感情移入なんじゃないのかな、と思いました。冒頭で幼いころのすずさんが大きな荷物を背負う時に壁を使ったり、海苔をすく時に両手に息を吹きかけてこすり合わせて温めたり。そういった細かい仕草一つ一つに人間らしさがあって、共感してしまうんです。

そして何より、すずさんがかわいい。夫の周作が「すずさんはこまいのう」と言って可愛がるシーンが有るんですが、すずさんの全体的なイメージ、なんというかこう、小さくて、可愛くて、しっかりしていて、いつも家にいて、ぼーっとしていて、何を考えているか分からなくて、でもなんか一生懸命やっている。そういうのってすごく、

お嫁さん

なんですよね。全旦那は自分のお嫁さんのことをそんな風に思っているんじゃないかな。だから、すずさんは全日本人に共通の「うちの嫁は、かわいい」という価値観に働きかけてくるわけですよ。嫁が笑っている、嫁が頑張っている、嫁が辛くて泣いている。そこにやっぱり共感して、感動するんじゃないのかな~。嫁好きのための映画と言ってもいいぐらい。

だからこの映画を見て「反戦だ」とか「平和が大事だ」とか色々思うところはあると思うんですけど、「嫁が笑って暮らせる世界を守りたい」そんな風に自分は感じました。

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

コミックスは実家に貸しっぱなしなので、思わずKindle版を買い直してしまいました。映画を見たあとで原作を読むと、映像化にあたって工夫した点が分かったり、カットされたエピソードが読めるのでオススメです。