大沼鶴雅オーベルジュ エプイに泊まってきました
記念日なのでちょっと贅沢をして、七飯町は大沼に新しくできたオーべルージュ、エプイに泊まってきました。
オーべルージュとは郊外にある、宿泊施設つきのレストランという意味で、食事が主、宿泊が従というのが一般のホテルとは異なるところです。
車を停めてからすぐに係の人がやってきて、チェックインから始まって途中で館内設備の案内をしながら、客室まで連れて行ってくれます。ここらへんはさすがに高級ですね。とにかくエプイは従業員の質が高くて感動しました。丁寧でいたれりつくせりできめ細やか。この段階でもう、結構高い料金を払って泊まっただけのことはあるな、と納得。沖縄のブセナテラスを思い出しました。
ダブルのお部屋は広さこそ狭めですが、ベッドが天蓋付きというところに胸が弾みます。
ダブルベッドルーム | 【公式】大沼鶴雅オーベルジュ エプイ
荷物を置いたら早速、館内の探検に出発しました。駅と大沼に挟まれた湖畔(沼畔?)にあり、そのせいかバーには鉄道に関わる展示が数多く並んでいます。
その中でも特筆すべきはこの鉄道模型。
大沼や鹿部、倶知安の駅がジオラマで再現されており、ボタンを押して列車を走らせることも可能。普段見るようなNゲージの鉄道模型よりもスケールが大きくて細部まで精密に作られているのを見るとちょっと欲しくなってしまうけれど、個人で持つには大きすぎますねさすがに。
暖炉の前には自由に食べていいマシュマロが常備されており、ウェルカムドリンクを飲みながら焼きマシュマロを楽しんでみたり。
バーラウンジから外に出てみます。
木で作られた小道を行くと、そこに広がるのは足跡一つ無い大平原、
ではなく凍りついた大沼。足跡がないのは、足跡がない理由があるからなんですね~。
温泉
体が冷えたところで楽しみにしていた温泉へ。
ただ、客室係の人が説明したとおり、ここの大浴場には露天風呂しか無い(!)ので、冬はちょっと寒いかも。サウナがあるけど3人も入ればいっぱいで、通常の温泉に比べたら敷地は広くありません。だけど宿泊客のキャパも小さいので、この程度でも十分なのかも。高い部屋は客室に露天風呂がついているし、個室貸切風呂(これは屋内風呂)もありますしね。
ちなみにフェイスタオルとバスタオルが完備されているので、客室から手ぶらで温泉に入れるところが便利。最近はこういうところ増えてていいですね。
夕食
そしていよいよ楽しみにしていた夕食です。
宿泊棟からわざわざ外の渡り廊下を歩かせるという演出は良いけど、冬は普通に寒いw
『地産食材を生かした「大沼50マイルスローフード」』とはどんな感じなのかな。地場産を使ったらお高く仕上がりました、では困るよなあ。
なんて思っていたら、前菜の”南茅部産ブリの冷たいサルティンボッカ”に打ちのめされました。ヤバい。これは負けた。ジェノバソースにつけて目を閉じると、バジルの生い茂る丘を駆け下りるような幻想が瞼の裏に現れる……!
圧倒的素材感に、もはやため息しか出ません。素材の良さを引き出すとか引き出さないとか、そういうレベルを遥かに超えていました。ゴボウのポタージュは鬼のようにゴボウで、続くブイヤベースが凄かったです。
これでもかといわんばかりの魚介のダシの濃厚さに震える。ああ、これを丼いっぱいの白飯にかけてかっこみたい……。
口直しの”フランボワーズのグラニテ”をいただいたなら、肉料理は”牛頬肉のブレゼ”、つまり煮込み料理になります。
真空調理器でかなり近いところまで迫れるから、肉は余裕を持って食べられます。前にスネ肉をアレした時も、こんなプリプリ感だったかな。しかしソースは真似できないですねえ。横に添えてある野菜のグリルをこのソースに漬けて食べると、えも言われぬ至福感に包まれます。王様しいたけが美味しいのは当然として、ジャガイモの皮の風味まで素晴らしい!
締めは初日の出のようなデザート。大変美味しゅうございました。
なんというか、期待以上に素材力が強い料理ばかりで感動しました。『素材そのままの味を活かす』と言って素材そのままを出してくるような手抜きじゃなくって、その良さを最大限に引き出すような調理がなされているところが素晴らしいと思います。
たっぷり2時間かけていただく食事に身も心も満足したところで、そう言えば自分は『赤いアペオイ』という一番安いカジュアルコースにしたのですが、その上の『白いニマ』というスタンダードコースとは何が違うのかHPで見てみました。すると、
え、どこが違うの……? という間違い探しぐらいの違いしかありません(ウニの有無だけ?)。よく見るとカジュアルコースとは「品数やボリュームを抑え」ているとのことなので、基本的に量の違いが値段の違いになっているようでした。あとは野菜の種類が増えていたりするのかな。自分は結構よく食べる方だけど、それでも十分お腹いっぱいになったからカジュアルコースで十分かも。スペシャルがどのぐらいスペシャルなのかちょっと気になりますが。
最安のプランでも21,000円/人と結構なお値段ですが、ここにカジュアルディナーの9,000円と朝食のビュッフェの料金が含まれていると考えれば、実はコスパは良いのかもしれません。実際に泊まってみた感想としても、ここにディナーを食べに行くのに泊まらない手はないなと感じました。食事はもちろん美味しいけれど、レストランは広間だし、室内着みたいな人がウロウロしているし、ちゃんとディナーを食べに行くのには不向きです。街からちょっと離れているしね。
夕飯の後も優雅に
食事の後は、予約していた個室貸切風呂へ。
大浴場と違って屋内だから寒くないのはいいけれど、窓がはめ殺しなので暑いところが問題。制限時間は50分でしたが、30分足らずで上がってしまいました(^_^;)
その後はバーラウンジへ。特製カクテル「エプイ」は材料不足のため作れなかったのですが、代わりに頼んだモスコミュールは本物のジンジャーエールが使われていたので満足。
そしてお目当ては無料のお茶漬け。他のお客さんが軒並み注文していて「あれだけ食べてまだ食べきれないのかよ……」と思いつつ、まさかこんな高級ホテルで永谷園のお茶漬けの素をかけただけのやつが出てこないだろうと、かなり満腹だったのに好奇心から注文してしまいました。
まあそうですよね。美味いですよね。洋食で疲れた胃腸に、しみじみと染み入る美味さ。出汁は濃厚で具材も豊富で、これを単なるお茶漬けというにはレベルが高すぎるという印象でした。
朝食も豪華に
一晩明けて、ひとっ風呂浴びてさっぱりしてから朝食へ。
スクランブル・エッグではなくエッグ・ベネディクトを選択。その他にビュッフェで好きなものを取ってくるのだから、朝からかなりボリューミー。
ちなみにここに写っている、ミニサイズの山川牛乳は多分そのまま飲む用ではなくって、コーンフレークにかけるためのものなんじゃないかという疑惑が。
さらに大きな罠が一つあって、基本洋食なんだけど片隅に『昆布ご飯』とタラコやなんかの軽いおかずがあって、そこには「味噌汁ご用意できます」の看板が。味噌汁、うん、味噌汁ね。普通だったらただ単に見逃していたワードだったと思います。だけど昨日の晩に食べたお茶漬け、その”どこにでもあるはずの特別”っぷりが頭から離れていなかったので、腹九分目ぐらい満腹だったのに頼んでしまいました。
テーブルに置かれたのは大きめの椀に、小さく刻まれたナスが浮いたお味噌汁。ナスの味噌汁なら家でもよく飲むし、意外と普通だなと思って一口すすって丁寧にひかれた出汁の風味にふむふむと感心して、ここまで余裕だった気持ちがナスを一切れ食べてひっくり返されました。このナスはただ汁で煮込まれているんじゃなくて、味噌で油炒めにされていたのです。つまり味噌汁の味噌味と、それより濃い目に味付けられたナスのグラデーション……!
ちょっと贅沢をしたい時にオススメ
というわけで期待通り、いや期待以上に満足できました。食事は美味しかったし、それに何よりここで働く従業員の方の気配りが上質で良かったですね~。1年か2年に一度くらいはこういうところに泊まって、心の洗濯をしたいところです。