真空調理器で芋ようかんにチャレンジしてみた

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旧茶屋亭で三年熟成珈琲と手作り芋ようかんを食べてきました。


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きんつばが売り切れということで代わりに芋ようかんにしたんですが、素材の味が生きていて素朴に美味い。甘すぎないのがいいですね。

自分で作ってみよう

そう言えば我が家には実家からもらった大量のサツマイモがあるのでした。だけどサツマイモって、その甘さがめんどくさいんですよね。料理に使いにくい。シチューに入れて甘くしてみたりもするけれど、どうもイマイチで。かと言って焼き芋にしてまる一本食べるのは結構キツイ。それだけでお腹いっぱいになっちゃいますからね。

というわけでこの大量のサツマイモを、芋ようかんにしてみようと思ったわけです。

基本の作り方

作り方についてはこちらのブログで調べました。

kumiko-jp.com

ポイントとしては、水から茹でるということ。なんでもお湯から茹でてしまうと水分を吸いすぎてしまうそうです。

それと、『私は、舟和の芋ようかんは、焼き芋のような香ばしい味がすると思います。』という記述が気になりました。この作り方だとサツマイモを炊く工程がないため、香ばしさに欠けるのかもしれません。だから黒砂糖を足して、カラメル分を加えているのかな。

真空調理でやってみよう

作り方を調べているうちに分かったのは、焼き芋が甘くなるのは酵素であるアミラーゼが70℃で働きだして、デンプンを糖に作り変えるためだとか。だったら真空調理を使えば、サツマイモが余計な水分を吸うこともないしきっちり70℃で糖化させることもできるし、科学的に正しい芋ようかんを作れるんじゃないかな、と。

まずは火を通してみる

サツマイモのアクはものすごいので、まずは皮を厚めにむいて2cmほどの厚さに切って、しばらく水につけておきます。その間にお湯を沸かして真空調理の準備。

甘藷の加熱調理に関する研究という論文によると、『甘藷デンプンは78℃でほとんど100%糊化する』とのことなので、今回は78℃で加熱してみることにしました。

ちなみにこの論文には電子レンジだとサツマイモが甘くならない理由や、アミラーゼが90℃以上で失活してしまうなどの研究が書かれていて大変興味深い。石焼き芋は90℃以上になることで甘くなりすぎないようにコントロールされている可能性もありますね。例えばそれは、日本酒の発酵が酵母自らが生み出したアルコールによって止まってしまうことにも似ているかもしれません。時々デロデロになった焼き芋を買ってしまうことがありますが、あれは温度が上がりきらなくて全体が糊化してしまったのでしょう。

ジップロックに入れてみたところ。

形状の問題で隙間が多いのが気になりますね。もっと細かく切ったほうが良かったかな。どうせ後で潰すわけだし。肉や魚ならオリーブオイル的なものを加えることができるんですが、今回は水分を加えるわけにはいかないのでとりあえずこのまま投入。一応、塩を4g(総重量の1%)ほど加えてみたので、サツマイモから出た水分でうまく空気が押し出されてくれることに期待してみます。

マッシュスイートポテト

3時間経過後に取り出して食べてみたところ、柔らかく甘くなっていたのでそのままマッシャーで潰してみました。ちなみに『熱いうちに潰す』という工程も、アミラーゼを壊してそれ以上甘くしないために行われているのかもしれません。冷えるまで待っていたらその間にさらに糊化が進んでしまうわけで。

貝印 SELECT 100 マルチブレンダー DK-5043

貝印 SELECT 100 マルチブレンダー DK-5043

うちにはフードプロセッサーがないので、こちらのマルチブレンダーを使ってウィーンと潰します。

レシピではイモの総重量の約10%、40gの砂糖を加えるとありますが、十分甘くなっていたので30gに減らしてみましたが、結果的にこれでもちょっと甘め。さらに、家にあったグラニュー糖では「砂糖!」感が強すぎてダメでした。三温糖とか黒砂糖とかを使ったほうが自然な甘みになるかな。

裏ごししてなめらかにしたものをジップロックのコンテナに詰めて、粗熱が取れたら冷蔵庫に入れて、1日寝かせれば完成です。

実食

夕飯の時に出してみました。

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うーん、固まらない。だけど味はいい。なんだろう、食べたことがあるような……。これはもしや、栗なしの栗きんとん!?

簡単なレシピだと粉寒天を入れるらしいけど、本場の芋ようかんはそんなもの入れないで作るそうです。何が悪かったんだろう。

仮説その1 糊化が足りない

もっとドロドロに溶けるまで加熱してみた方が良かったかな。加熱前にも思ったけど、もっと細かく刻んでしまったほうが良かったかな。どうせ水が入ってこないのだから、むしろすりおろしてしまったほうがいいかもしれない。大根おろしも、すりおろした方が酵素が増えると言うし。

仮説その2 煉る工程が必要

本場の芋ようかんは砂糖を混ぜた後で、鍋で焦げないように煉りあげる工程があるんだけど、意外とそういうのが大事なのかもしれない。もしかしたら砂糖に熱を加えている間にアミノ酸と反応してメイラード反応が起こっているのかも……?



とりあえず今のを食べてしまって、週末に再チャレンジしてみよう。サツマイモはまだまだ残っているし!