ウインズ札幌「渡辺二冠による公開十面指しイベント」(将棋編)
トークショーを終え、いよいよ公開対局が始まりました。
手合は初志貫徹で「飛車落ち」にしましたが、ちなみに自分の右隣りの人は「横歩取りを勉強したいので平手で!」と宣言していて、その他にも一人か二人くらい、平手で挑戦している猛者がいました。
どうせ勝てないのなら盛大に負けてやろうという気持ちも分からなくはないです(^_^;)
対局開始から意表をつかれる
お互いに角道を開けて、こちらが2五歩と迫った局面です。
ここは当然△7七角と上がって飛車先交換を防ぐと思ったんですが、渡辺二冠の指し手は△4二銀!
これは、雁木!?
タカミチ先生の本に書かれていなかった手順に軽パニック。素人相手に定跡を外さないで~(悲鳴
- 作者: 高橋道雄
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2011/08/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
とはいえこんなところで悪くなる手順もないので、素直に飛車先の歩を交換しました。
こうしてみると、当方は歩を手持ちにしたものの飛車を上下運動するのに手数を費やしていて、上手はその分万全の構えです。これはちょっとどうしたものか、と不安になったまま駒組みは進みます。
開戦は歩の突き捨てから
しばらく進んで次の局面。ここから▲3五歩と突っかけました。
歩を突き捨てたいけれど当然取ってはくれず、△5四歩、▲3二飛(戦いが始まったところに飛車を回る)、△3三金、と進んで、いよいよ▲3四歩と取り込みました。ここは同銀と取る一手。
ここで▲3五歩と打つべきかどうか、しばらく悩みました。タカミチ本には確か、こういうところに歩を打つのは棒銀の名折れと書いてあったような。ただ、▲3五銀とぶつけるのは△同銀▲同飛△3四歩で受かってしまいます。相手の銀と交換できれば棒銀は一応成功といいますが、これはちょっとさみしすぎる。
今回は2筋の歩が切れているし、この後▲2五銀~▲3六銀と進出する足場になるだろうと読んで、▲3五歩と打ちましたが、後で渡辺二冠に尋ねたところ、これは正解だったみたいです。
ところがこの後思うようには攻めさせてもらえず、▲3五歩に△4三銀と引かれ、▲2五銀には△3二金と、こちらが伸びればスルスルと後退していきます。
銀の割り打ち対決
▲3四銀と出て銀の交換を挑んだところ、素直に交換されて▲4九銀と割り打ちを喰らってしまいました。
とはいえこれは割と想定内で、個人的には、守りの金を剥がされたところで飛車を持たない相手は攻める手段に乏しいし、こちらは逆に攻め駒を手にできるから問題ないだろうと踏んでいました。
ここから▲3六飛と浮いて、△5八銀成▲同金に△1三角! 動きのなかった大駒に喝を入れてきました。これはきっと、5七の地点を狙ったり、3五に金とかを打って飛車を攻めてくるはず。ここは▲4六歩としっかりと受けました。それに対して渡辺二冠が△4三金と上がった局面です。
ここはさすがに緩めてくれたのかな? ▲3二銀と打って、両取りのお返しです。
△5三金に▲2三銀成と、目障りな角を排除しにかかります。これを取り除けば勝てる!
△6五桂とはねてきたのにも構わず▲1三成銀と角を取って、△5七桂成▲同金△1三桂▲3三歩成と進みました。
下手必勝か!と思った瞬間
ついに”と金”を完成させて、これは必勝ペースです。
ところが、(憧れの渡辺二冠に勝てる、しかも飛車落ちで!)と小躍りしていた心に、水をぶっかけてくるような手が飛んできました。
△4八銀。これはいよいよ、渡辺二冠お得意の「細くて繋がりそうにない攻めを繋げてくる攻め」が炸裂するのか!? と、高ぶっていた気持ちは一瞬で凍りつきました。
いやいや。こんなの▲5八金と下がってなんでもないだろう。苦し紛れに惑わせにかかってるな、と金を引いた途端に、二の矢が飛んできました。
△5七銀打! これはもう完全に絡み取られた…。目に見えない銀の鎖に、全身が締め付けられるような思いがします。
どちらの銀を取るか
普通に考えれば、4八の方の銀を取ります。同銀成となれば玉からも遠いし、なんてことはありません。だけど、金を取らずに△6八金と打たれたら…?
これは▲7七玉と逃げざるを得ない。角道を玉で塞ぐというとんでもない手だ。これはアカン。
そう思って▲同金と取って△同銀成▲6八銀と打って、どうにか相手の駒を精算したいと考えながら指しましたが、結果的に悪手の連続となってしまいました。
急転直下
精算はさせじと△5八金。それに対して、▲7九銀と受けたのが敗着になりました。
ここまで有利に積み重ねていたものが、一瞬で瓦解していく…。
あとで教わったところによると、△5七銀打には素直に4八の銀を取って二の矢が続かないと。さらに▲6八銀と打つのはダメで、一マス控えて▲7九銀と打てば上手は何も出来なかったし、△5八金にも▲5七銀と一枚剥がしていればまだ分からなかったとのこと。
一瞬の気の緩みと、攻められて冷静さを欠いてしまったことで、悪手を連発してしまいました。ぐぬぬ。
無念の投了
以下は角をタダで取られてボロボロにやられ、92手で無念の投了。まだ実力が足りませんでした。それにしてもこんな何もないところから繋げてくるとは、将棋のプロというのは本当に恐ろしい。
というか、終わってみれば渡辺二冠が10面全勝というのはおかしくないだろうか! 指導対局でも本気なのか!
いかに将棋界最強の一人とはいえ、ハンデ戦で道内(中には埼玉から応募した人もいたとのこと)から腕自慢の将棋ファンが「この手合なら勝てるだろう」と手ぐすね引いてやってきているにもかかわらずこの結果ですよ。惚れるわ~。
こうなると自分が負けたのがさらに悔しい。あそこで間違えなければ、この中で自分が唯一勝てたかもしれなかったのに…!
大切な棋譜はしっかり保存しよう!
今回はiPhoneのアプリを使って棋譜を保存させていただきました。有料だけど将棋連盟ライブに掲載されない棋戦を観戦できる時もあるし、こうやって後から反省したり、ブログのネタにもなるので非常に捗ります。
前に指導を受けた時にも、ちゃんと保存しておけばよかった。
指導対局の必需品
- 作者: 渡辺明
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2014/09/22
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (3件) を見る
対局後には最新刊「渡辺明の思考」にサインをいただきました。やったぜ\(^o^)/ これは家宝にしよう。指導対局には最新刊とサインペンは必需品だよね~。
今回は天気が怪しくて車を使えなかったので、JR代とホテル代で結構かかったんですが、120%元を取ることができました。馬券も取ったし!
またこういうイベントがあれば(道内なら)応募してみたいけど、あんまり遠いのは困るなあ。
「次はぜひ函館競馬場に来てください!」
と渡辺二冠に頼んだところ、
「いや、ぼくはJRAの人じゃないんで(笑」
といつもの調子でかわされてしまいましたが、JRAさん頼みますね(^^)ノシ