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2013イギリス・イタリア旅行 ~その9~ バチカンでニンジャになる

旅行 ヨーロッパ

前の日の夜に目一杯食べすぎたせいで全く朝ごはんを食べる気になれず、起きてすぐホテルを出ました。
最初の目的地であるサンタマリア・デラ・ビットリオ教会はテルミニ駅からすぐの距離だし、信号がない横断歩道にもだいぶ慣れたので徒歩で向かいます。
教会は通勤客でごった返す表通りに面していますが、一歩教会の中に入ると俗世間から隔絶されたような荘厳な雰囲気が感じられます。石造りだと遮音効果も大きいのかな?
 

サンタマリア・デラ・ビットリオ教会

ここでの目的も昨日に引き続いてベルニーニの彫刻だったのですが、早く着きすぎたせいでまだ朝のミサ中でした。ですがまあ、外に出るのも何だからと、一番後ろの席に座っておとなしくしていることにしました。異教徒とはいえクリスマスは祝うし、仲間みたいなもんですよ実際。
5、6人くらいの人が熱心にお参りをしていて、中にはいかにもこれから仕事に行くという格好のスーツの人もいました。テキトーな印象の強いローマ人ですが、たまに真面目な人がいるので「こーゆー人がいるから国として回っていくんだな」と感心することが時々ありました。
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そういえば教会の机には足元に2個、小さなクッションがついているのですが、まさか足置きにしてくつろぐわけじゃないだろうし、何に使うんだろうと思っていたんですが、ミサの様子を見ていて初めて使い道がわかりました。あれはお祈りをするときにひざまずいても痛くないように敷いてあるんですね。
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滞り無く儀式は進んで、いよいよクライマックスです。
神父さんが聖杯を取り出してワインを注ぎ、続いて白い板のようなものを出しました。これが多分聖餅というやつで、キリストの血と肉を象徴するものであることはさすがの仏教徒の自分でもわかります。ヘルシングで読んだし。
厳粛な雰囲気の中、神父さんは聖餅を口にします。
「バリッ バリッ」
え、そんなせんべいみたいな音を立てるの?
さっきまで説教をしていたマイクに向かって、小気味いい音を立てて”せんべいせいべい”を食べる姿はちょっと、というかかなりシュールです。そして赤ワインでグッと飲み干した! 美味い!(言ってない)
その後信者たちは神父さんの前に一列に並んで、何やら水をかけてもらっています。これは聖水なのかな? モンスターとのエンカウント率が軽減する効果があるのかもしれません。
ミサが終わって聖杯をしまう前に、水を入れてゆすいでそれをまた飲むんですね。おばあちゃんが醤油が余ったのをもったいないと言ってお湯を注いで飲むのを連想してしまいました、異教徒の儀式を見るのは面白いなあ。
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ここのベルニーニも華やかで良かったです。真っ白い石で作っていて華やかも何も無い気がするのですが、やはり他の彫刻とは見せ方が違う。写実的に作ればいいってもんじゃなくて、現実のさらに先を行っている。だからいま見ても新鮮味がある。
 

ローマの地下鉄初体験

次のバチカン市国を目指すため、バルベリーニ駅から地下鉄に乗ることにしました。ついに恐怖のローマ地下鉄初体験です。
地下鉄の切符は基本的にBITという100分乗り放題チケットを買うことになります。これが1.5ユーロ。その上の切符になると6ユーロで一日乗り放題のBIGになります。一日に4回以上乗らなければ、BITで問題ないということですね。
 
自販機に並んで切符を買おうと操作すると、お金を入れる直前に「Out of Order」の文字が。ローマではこればっかりか! 自販機が壊れる瞬間を何度見たか分かりません。
すると隣にいたおばあさんから、それはダメだ、こちらのを使いなさい、と言われました。誰だかわからないけれど、言われるがままにそちらの自販機へと移動しました。
お金をくずそうと思って20ユーロを入れようとしたら、またおばあさんから「それではダメだ。もっと細かいのを使え」と注意されました。画面を見ると、なるほどBITのチケットは5ユーロ紙幣かコインじゃなきゃ買えないと書いてあります。そこで5ユーロ紙幣を入れて、無事に2枚分のチケットを手に入れました。
 
するとおばあさんが手を出してきます。そうかこの人は券売機の前にいて、色々とアドバイスをすることによって対価をもらう職業の人なのだなと理解して、ポケットから50セントを取り出しました。すると「それじゃあダメだ、そこから出たやつをくれ」というではありませんか。なんと今日三度目のダメ出しです。
1ユーロは高えよ、と思ったのですがまあこれも勉強かと思って1ユーロ渡すと、今度は「もう一枚出た方もくれなさいよ」というではありませんか!
今度こそ突っ込んでやるつもりが、その暇もなく手渡されてしまったのが無念です。なんてババアだ。
 
改札機は日本のとは違って、機械の下から入れて上から出たのを取り出して、金属のバーを押して通り抜けます。
ホームに向かう途中の看板には、バス停と同様に行き先が全部書いてあるので親切です。バチカンに最寄りのオッタヴィアーノ駅の名前が書いてある方のホームに向かい、到着すると間もなく地下鉄がやって来ました。
 
ローマの地下鉄はロンドンのそれよりもだいぶ新しくて広いのですが、ものすごい混雑っぷりです。9時過ぎでもまだ通勤時間だったんでしょうか。ぎゅーぎゅー詰めにされて出発。これはスリが多そうだ!
 
自分は右の腰のベルトに財布を取り付けてあるので、貴重品(服の中にぶら下げているパスポート類、ポケットにはiPhoneXperia)はすべて右側に格納して、右手でガッチリとガードしまして、無理やり腕を引っ剥がされない限り安全なように身を守りました。
いくらスリが多いとはいえ、気付かれないように盗まれるから問題なのであって、この人混みの中でさすがに荒事はできるまい、という読みです。
肩掛けかばんにはタオルとメモ帳とティッシュくらいしか入っていないので、そちらは囮として無防備に左側にぶらさげておきます。
幸い自分は何もありませんでしたが、腰のポケットのあたりを触られた気がするというので用心に越したことはないのだと実感。この後2回ほど地下鉄に乗りましたが、毎回ものすごく警戒して利用しました。
 

バチカン美術館、に入るまでが大変

駅を降りるとみんな一斉に同じ方向へと進んでいくし、「バチカンツアーやってるよ!」の看板を持った人もたくさんいるので、地図を見るまでもなくバチカンの方向がわかります。さすが世界一の観光地だけあって、コロッセオ前よりもさらに多くの人が店を出していました。キーホルダー、絵ハガキ、キーホルダー、木彫列車、キーホルダー、偽ブランド・・・。何かの数列のように延々と物売りが並んでいます。
さらにしばらく歩くと、歩道に通路ができているのが見えてきました。左側の通路は当日券用の列で、右側はチケットホルダー用の列になっていました。自分たちは予約済みだったので係の人にバウチャーを見せて、右側の列をスイスイと進みます。左の列は人でぎっしり。全然進んでいる気配が見えません。どんどん歩きますがまだまだ行列は続きます。右側には人が全くおらず、いるのは「当日ツアーあるよ!すぐ入れるよ!」のガイドか、絵葉書売りぐらい。
5~600m以上は歩いたでしょうか。ようやく入り口が見えてきました。さすがにここまで来るとこちらの列も人が並んでいますが、あれよあれよという間に改札機をくぐって入場できました。ちなみに10時30分で予約をしていたのですが、1時間近く早く行っても全然問題なく入場できました。それにしてもコロッセオの時といい、どうしてこちらの人々は予約するということをしないのだろう。近いからそのあたりの感覚が適当なのかな? バルセロナサグラダ・ファミリアに行った時も予約なしで並んでいる人がたくさんいたなあ。
 

バチカン美術館

オーディオガイド(日本語版)を借りていざスタート。これがないと何が何なのかさっぱりになるところでした。返却は出口付近になります。うっかり借りたところに並んでしまって「ウシカ! EXIT!」と言われたのでもうウシカというイタリア語は絶対に忘れませんw
ここもとにかく広いので全部見ていたらキリがない、と、エジプト関係やらは飛ばすことにしました。大英博物館で見てるからできる荒業です。
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ラオコーン! 見事な彫像がうなるほど展示してあります。
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半裸のムキムキのイケメンたちがぞろぞろと。う~ん、カトリック
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「地図の間」が結構楽しいです。広大な神聖ローマ帝国の版図をタペストリにし、さらに天井にはその地方ゆかりの聖人たちを絵解きであらわすという凝りよう。ここが宗教だけではなく、政治の中心でもあったことがわかります。
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現代宗教画コーナーにこっそりと展示されていたダリ。ほとんどの人は素通りしていたけど、スペインまで見に行くほどのダリマニアが見逃すわけがないというw こんなところで出会えてちょっと感動。もしかしたらバチカンで一番良かったのがダリの絵かもしれない。
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ビックリするほど唐突に、通路のすぐ脇に何気なく置かれていたミケランジェロピエタ! のレプリカ。本物は遠くてほとんど見えないので、ここで愛でておくのが吉かもしれません。
 

システィーナ礼拝堂

とにかく人混みの中を歩いて歩いて、ようやくゴールのシスティーナ礼拝堂にたどり着きました。ここはもうライブ会場並みに人が詰まっています。写真撮影禁止なので、みんな上を見上げて天井画を見ています。天井には、片側にはアダムとイブが楽園を追放されるまでの物語が、もう片方にはイエス・キリストによる神との和解の物語が描かれています。壁にはミケランジェロの『最後の審判』があり、どれも超国宝級に凄い絵画でした。ただ、自分がこれで感動するにはキリスト教レベルが少し足りないかもしれない、と思ってしまったのも事実です。
 
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ダリ美術館にあった、天上の神々を皮肉った天井画。こーゆーのは楽しいのに、システィーナ礼拝堂をイマイチ楽しめないのはなぜだろうとしばらく考えていました。多分それはきっと、キリスト教をモチーフにしているものは面白いけれど、ここにあるのは『キリスト教』そのものだからなのです。純粋なものは純粋すぎて、純粋でないと受け入れることができないのだと思いました。
 
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中庭は広くて綺麗。今日もローマは快晴です。
バチカン美術館という場所には似つかわない安っぽい食堂で軽食を食べながら「そういえば『アテナイの学堂』を見てないのでは!?」という疑問を呈されました。いや、バチカン美術館は一本道だし、ラファエロの間はシスティーナ礼拝堂の一歩手前だから絶対通っているはず。だけど全く記憶に無い・・・。疲れすぎてただ単に通り過ぎたんだろうか。
 
予定より早く美術館に入場したのでまだ時間には余裕がある。もう一周だ!
さきほど「混みすぎだろこんちくしょう」と思った美術館内に、さらに倍以上の人間が詰め込まれて人と人の頭の間に展示物があるようなひどい有り様になっていました。その人混みの中を、ある時は警備員の後ろにピッタリと貼り付き、ある時は空きスペースを縫うようにして、まるでニンジャのように駆け抜けました。15分で1周はここの最速ラップかもしれません。
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ようやくたどり着いて感慨もひとしお。後半手抜いたせいで大変なことになってしまった・・・。バチカン美術館を一度に二周する物好きもそう多くはないでしょうね。
 

入場のポイント

バチカン美術館の当日入場については「すごい混んでる」「意外とそうでもない」の感想が入り乱れています。チケット自体は公式ホームページから簡単に予約できるので、英語アレルギーでもない限り予約したって損はない、と言いたいところですが、実はチケットを予約すると「Pre-Sale Fee」なる謎の料金を4ユーロも取られるのです。前売り券の方が高いなんて聞いたことないから! とその時は思いましたが、結局は予約しておいて安全でした。
ちなみにバチカン美術館は日曜日が休みなので、今回激しく混んでいたのは休日明けの月曜日だからだったのかもしれません。見るなら月曜を外すのがいいのかな?
 
それと、行くならば朝イチがベストなのはフォロ・ロマーノの時と同様です。幸いローマに来る観光客は日本人以外朝に弱い感じなので、ちょっと頑張るぐらいでも快適に楽しめるはずです。
 
昼食を食べたらバチカン市国のもう一つのみどころ、サン・ピエトロ大聖堂に挑みます。見学ではなく”挑む”の意味とは!?