2013イギリス・イタリア旅行 ~その8~ 予期せずに聖遺物を見る

昼食を食べたあとは、朝にタクシーで到着したヴェネチア広場まで戻ってきました。振り出しに戻る。この日は日曜日のせいか、コロッセオからヴェネチア広場までの道は歩行者天国になっていました。
 

エマヌエーレ2世記念堂

入場は無料ですが、屋上に上がるリフト代は有料で7ユーロでした。行列に並んで順番を待ちます。
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エレベータは最近後付されたせいか、ガイドブックにはそれほど詳しく紹介されていないみたいです。ですがフォロ・ロマーノに行くならばここもおすすめのポイント。
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さっきまで自分たちが歩いてきた遺跡群を眼下に一望して、照りつける太陽の下で乾いたローマの風を全身に受けると、「ローマに来たんだ!」という感慨はいっそう深くなりました。
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内部は戦争関係の展示があって、こちらも入場無料ですが面白さはそこそこ。軍服や古い小銃が並んでいるのは良かったかな。ちょっと戦争賛美な雰囲気で、ローマ市民からあんまり人気がないという気持ちもわかります。
 

真実の口

次の目的地までタクシーを拾いたかったのですが、全然見つけることができませんでした。ローマでは決まった待合場所以外ではタクシーに乗ることができないといいますが、ちょっと尋常じゃないレベルです。タクシーが確実にいるところといえば地下鉄駅の前。だったら地下鉄に乗るわ!と言いたくなります。仕方なくそのまま歩いて真実の口まで進むことになりました。
自分が計画する旅行はどんどん歩くことになります。健脚でないと旅は厳しい。
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歩いても歩いてもそこかしこに遺跡が転がっていて、その横を普通に買い物帰りらしき大荷物を抱えたローマ市民が歩いていたりして、そんななんでもないローマっぽさが地味に楽しかったりします。
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真実の口があるサン・ジョルジョ・イン・ヴェラブロ教会の前には、写真待ちの行列が続いていました。ここはたまたま経由しただけで、それほど興味があるわけでもないため、通りすがりに隙間から写真を撮って終了。
人がたくさんいるところには屋台も出ており、ここで水とジェラートを購入して一休み。ストロベリー味もやっぱりちょっと安っぽい味がします。水はガチンガチンに凍っていて、そのまま飲むよりも頭に当てて冷やすのに役立ちました。
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ここからテヴェレ川沿いをずーっと進んでいきます。川沿いの遊歩道は木陰もあるし噴水があるしで、地元の人がくつろいでいました。なるべく日陰を歩くようにと気をつけて歩きます。
 

ポルタ・ポルテーゼ

今日は日曜日なので、ポルタ・ポルテーゼ、いわゆる蚤の市が開催されています。バルセロナで偶然出会った蚤の市は、骨董品やらガラクタやらが雑多に並んでいて楽しかったので、当初の予定では朝イチでここに来るつもりでした。
ところが調べてみると昔は骨董品関係が並んでいたものの、現在では衣料品や日用品がメインとのことで、予定から外していました。
午後も遅くなっていてほとんどの店が店じまいの最中でしたが、ちょっとだけ覗いてみると、確かに服や靴、レコードや本などの店ばかりで、観光客が見ても面白いわけではなさそうでした。ここは外した方が正解だと思います。アメ横で十分。
 

サン・フランチェスコ・ア・リーパ教会

午後の目玉は、ベルニーニの「福者ルドヴィーカ・アルベルトーニ」があるこちらの教会でした。

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ローマの中心部からちょっと離れていますが、遠くまで足を伸ばした甲斐がある素晴らしい作品でした。撮影禁止だったのが残念です。ググると個人で撮影したのがたくさん出てくるので、最近ダメになったのかも。
白一色の大理石のはずなのに、陰影の加減によって様々な色に塗り分けられているかのように見えます。写実ではなくて、その先を目指して見られることを意識しているような。クッキリとしたデザインが特徴的で、どこか荒木飛呂彦の描く絵にも似ているような気がしました。黄金の風はイタリア編だったし、あの人もローマから影響を受けているんだろうなあと思いました。
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謎の小部屋に誘われるの巻

ベルニーニが写真撮影禁止なので、目に焼き付けるべくじっくりと見ていました。
すると教会の奥のほうから、神父さんがこっちへおいでと手招きをしています。ひっそりとした教会なので見学者も4組8人ぐらいしかいません。なんだろうと思いながら全員でついていくと、懐から鍵を取り出して秘密の小部屋のようなところに通されました。
 
扉を開いた先は小部屋になっていて、明かりはほとんどなく、薄暗い突き当りはガラスケースになっていました。
そこには金色に細工された十字架が数多く並んでいます。十字がクロスする中心部分はガラスの容器になっているのが見えました。
説明を聞くと聖フランチェスカには、キリストが十字架に磔にされた際に杭を打たれた右手の甲と同じ場所に自然と傷が開いたそうでした。これを聖なる傷、聖痕といい、記念に彼の手の甲の骨を十字架に収めてこの教会のご神体にしているとのことでした。
 
さらに狭い階段を上がって、屋根裏部屋のようなところにある、小さな礼拝堂に案内されます。
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フランチェスカタペストリーを前にして、神父さんから彼の偉業についての説明を受けました。
彼が病院を作ったり、最期は自分の作った病院で息を引き取った、などのあたりはなんとか聞き取れたのですが、他の見学者に熱心なキリスト教徒のイタリア人がいたため、最初は英語だったのに後半はイタリア語になってしまったのでほとんど説明の内容は聞き取れませんでした(^_^;)
それでも、こんな秘仏みたいなものを見学させてもらうことができて嬉しかったです。ツアーで来るとなかなかこういう嬉しいハプニングには出会えないですよね~。
 

時刻表などない!

近くのパブでビールを飲んで一休みし(観光地から離れると物価がグンと安くなります)、バスかトラムでテルミニ駅まで戻ろうと停留所まで移動しました。バスは苦手なのですが、停留所の看板には何番がどこに行くかの説明が大書してあるので親切です。
ただ、なぜか時刻表がありません。テルミニ駅行きのバスはあるけれど、いつ来るのかは全くの不明。えーと、これってつまり時刻表があっても遅れてくるから意味ないしやめちゃおうぜってこと?
テルミニ駅行き以外のバスは結構来るのですが、自分たちが乗りたいバスは30分くらいしても全く来ません。しびれを切らして次の駅、次の駅へと進むうちに地下鉄の駅まで来てしまいました。
 
歩きづめで疲れていたし、タクシーを拾ってテルミニ駅まで戻りました。駅までくればタクシーのにれるというのは便利なのか不便なのか・・・。ただまあ、初乗りが安いので2で割れば地下鉄とそんなに変わらない感じです。
 
歩きづめで靴擦れしたというので、まずはテルミニ駅内の北側にある薬屋さんに寄りました。絆創膏と、乾燥するのでリップクリームも購入。バルセロナに行った時も思ったのですが、地中海沿岸は乾燥しているので対策が必要です。冬はもっと乾くんだろうなあ。
会計をすると、
「フォルティーン ユーロ」
だと言われました。フォルティーンってなんぞや!?と思いましたが、すぐに「フォーティーンだ!」と気がついてお金を支払いました。我々が外国人なので気を使って英語にしたのでしょうが、完全なるイタリアなまりだったのが面白かったです。人のことを言えた義理ではないですけど。
 

My Maps Editorが大活躍

疲れていたので一度ホテルに戻り、19時ころまで休憩してから夕飯へと繰り出しました。ところが、事前に調べていたテルミニ駅近くのレストランは日曜日のせいか閉店。第二希望の店も閉店していて、店の近くにいた日本人の女性二人組がiPad片手に「どうしようか」などと話していました。
そういえばローマに来る前は「ヨーロッパではiPhoneは高級品だから人前で使わないように」と聞いていましたが、現地の人もみんな普通にiPhoneやらiPadを広げていて拍子抜けしました。時代は変わったんだなあ。
https://itunes.apple.com/jp/app/my-maps-editor/id389114621?mt=8&uo=4&at=10lddy
そこで活躍したのが、このMy Maps Editorというアプリです。これを使うとGoogle Mapsのマイマップ機能がiPhoneでも使えるようになります。なぜiPhoneGoogle Mapsでマイマップ機能が使えないのかは謎・・・。
他の人の旅行記などを見て良さげな店をマイプレイスにピックアップしておくと捗ります。
 
お店はテルミニ駅からだいぶ離れているのですが、駅から離れるとヤバい雰囲気から遠のいていくのが他の街とは逆なところ。どんどん歩いて小路に入っていきますが、周りは賑やかで観光客もたくさん歩いていて、全く問題無さそうな雰囲気でした。
 

Taverna Urbana


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だいぶ歩いてやって来たので、無事に開店しているのを見たときは安心しました。そこそこ混んでいるし店構えもこじゃれた雰囲気だったのでほっとしました。
 
外の席に座らされて、まずは水をどうするか聞かれるので(これは鉄板)、ノンガスでと注文します。
メニューには英語が併記されているので助かりました。ちょっと変わったパスタにしようと思ってラビオリと、そろそろご飯が食べたくなってきたのでリゾット。それと、本場のアンティパストを食べねばと魚のグリルの盛り合わせを注文。
ワインも飲みたいなと思ったらハウスワインだと小が5ユーロで大が9ユーロでした。グラス一杯だけだと物足らないので大の方を頼んだら、ボトルが一本出てきてびっくりしました。安い! そして美味い! 日本だったら5000円ぐらいするんじゃないかな。いかにももぎたて詰めたての活きが良いワインで、まだシュワシュワと発酵しています。この値段でこんな美味しいワインが飲めちゃうならワイン党にもなりますわ。
それにしても一人で一本飲むのは無理ゲーすぎる。隣の夫婦は赤と白を両方頼んでいるので、交互に一本飲んじゃってるようですが、とても無理。頼めばもらって帰れたのかなあ。
 
あとはなにか聞かれて適当に返事をしていたらパンがやって来ました。とにかくパンをつけようとする風潮は苦手なので、この後からは炭水化物メインの時は断るようにしました。
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初めてラビオリを食べましたが、中に詰まったハーブとチーズの香りが良くて驚きました。そしてリゾットが激ウマ。魚介の出汁とトマトの旨味が凝縮されていて最高です。熱々で、噛むとコメがプチプチと弾ける感触も小気味よくて100点満点。この味はイタリアに来ないと食べられないだろう!と感激しました。
 
この2品でかなりお腹いっぱいになったところでやってきました魚のグリル。もうすっかり忘れていました。まずは焼き皿に盛られた状態のままテーブルまで見せに来て、焼き加減を確認してから皿に盛りつけるのがこの店の作法のようですが、盛られてきたのを見てビックリ、二人前です。ぼんやりしていると人数分来てしまうので、今後はしっかりと一人前である旨を表明しよう!と決めました。
パスタもピザも一食分以上の量があったので、ここからさらに一人前ずつ食べるのはかなり厳しかったですが、なんとか踏ん張って食べました。魚の火加減は絶妙なレアでとろけるようですし、テナガエビには頭から取ったソースがかけられているのでしょう、香ばしくて今まで食べたどんな焼き魚よりも完璧に美味しいです。しかし如何せん量が多い! 魚のグリルとパンだけで夕飯には十分です。胃袋の限界を超えて美味しいものを食べさせられるという、天国と地獄を一度に味わうような経験をしました(^_^;)
 
イタリアのマナーでは食事をシェアするのはあまり品の良いことでなく、一人一品ずつ、前菜とパスタなどとメインの肉魚料理を食べるらしいです。とはいえ日本人の胃袋には絶対に収まりきらないし、かといってパスタだけ、リゾットだけで終えてしまうのももったいのない話です。
なのでそこら辺はもう外国人だからということで諦めてもらって、たとえば外国人が鰻屋さんに入ってきて、ナイフとフォークを使いたいと言ったって「まあしょうがないよね」となるように、「へへへ、ガイジンなんで多めに見ておくれやす」の気持ちで大丈夫なんじゃないかと開き直ることにしました。
 
ここでのお会計はサービス料込みで75ユーロでした。魚のグリル(16ユーロ)が二人前だったので、それを除けば全然お得です。初日から美味しいものを食べてしまってハードルが上がる上がる。そこを超えてくるのがイタリアだから恐ろしい。
 

本場のイタリア料理と日本のイタリア料理

帰国してから地元の美味しいイタリアンに行って感動したのは、何といっても一品ずつの量が少ないことでした。前菜を2品とパスタにリゾット、メインを2品にデザート3種類食べてようやくお腹がいっぱいになるという、懐石料理のようなスタイル。いろんな味をちょっとずつ食べたいという日本人の欲望を叶えてくれるところがやっぱり日本的で素晴らしいです。
イタリアの料理は日本人の感覚だと「大盛り」でやってくるので、美味しいけれど食べ飽きしてしまうのも事実です。とにかく食べたいものを頼んで残すような食べ方のほうが(店的には)良いのかもしれませんが、それも、ねえ。
 
こんな感じでローマの2日目は終わりました。初日に感じた不安はどこへやら、めいっぱい楽しむことができました。
これまで訪れたどの国よりも、どの街よりも、このローマという街はエキサイティングで刺激的です。世界中の人がこぞって訪れる理由も、一度来た人が何度もやって来る理由もよく分かりました。街の雰囲気も、この天気も、食べるものも、出会う人も、ちょっとずつ変で変わっていてエキセントリックで、だけどそれは我々の原点であるわけで。日本人にとっての京都が、世界にとってはローマなのだなあ。
 
明日も猛烈にローマ市内を歩き回ります。シップを持ってくるんだった!