第23期竜王戦開幕!

将棋界のイベントの中で自分が一番楽しみにしている竜王戦がいよいよ開幕となりました。最近はこれを見るために将棋ファンを続けていると言っていいぐらい。
竜王戦とはなにかというと、将棋のタイトルの中の一つ『竜王』という称号を争う棋戦のことです。そういえば他のスポーツではこういうタイトル戦というのはないですよね。野球で沢村賞を取ったからと言って、翌年は新たな沢村賞候補の投手と戦うわけじゃない。囲碁将棋だけの特殊な制度かもしれないですが、要は『竜王』などのタイトルを持っている者にトーナメントやリーグ戦を勝ち抜いた者が挑戦し、勝ったものがそのタイトルを手にすることになっています。
将棋にはそんな称号が7つあって、その中でも『名人』と『竜王』はちょっと特別な存在になっています。『名人』が特別な存在であることは言わずもがなですが、『竜王』は全棋戦の中で最高の賞金額を誇る、序列No.1のタイトルなのです。
現在の竜王渡辺明。若干20歳でタイトルを取って以来、無傷の6連覇を果たしている最強の棋士の一人です。
そんな渡辺竜王に挑むのが将棋を指さない人でも知らない人のいない、羽生善治名人です。名人と竜王、まさに竜虎相搏つとなったこの勝負が面白くならないわけがありません。また、この二人は2年前にも竜王戦で戦っており、その時は渡辺竜王が史上初の3連敗4連勝での防衛を果たしました。今年は羽生名人がリベンジを果たすのか、はたまた渡辺竜王が再び勝利をおさめるのか、そのあたりの因縁もまた勝負を盛り上げます。
 

一日目

横歩取りから渡辺竜王がバリバリ攻めてこの状態。

しかしいかんせん攻めが細い。攻めに使うのは飛角銀桂ということわざがあるのですが、この場合は金がすぐに取られるので飛車と角のみで攻めなければならない。ただ、細くて切れそうな攻めを繋いでいくのが渡辺竜王の将棋の特徴でもあるので、ファンとしてここは竜王ペースで進んでいると確信していました。
 

二日目


さっきの局面から5手進んでこの△2三歩が厳しい。馬の退路を阻んで、持ち駒が香車と歩だけの渡辺竜王の攻めを完全に切らそうという手です。まやまやしていると1一歩と馬を取られてしまうのでなんとか継続の手を放ちたいところ。
自分としては普通に▲5六香が、飛車を攻めてさらに▲5三香成を狙って良さそうだと思っていたらその通りに指したので「当てた当てた♪」と喜んでいたら、後になって深浦九段と三浦八段が「先手が負けたら▲5六香が敗着」みたいなことを言っていて凹みましたorz
 

突然の投了

果たして渡辺竜王が勝ちきるのか、羽生名人が逆転するのか、という熱戦のさなか突然の投了に、見ていた自分のみならず控え室も大混乱だったらしいです。

今冷静になってみてみると確かに先手玉を詰めるのは難しそう(▲7七金が相手の飛車先をしっかりガード)だし、大駒が質駒になっていたり(△5三玉と成香を取っても▲4六銀と角を取られて▲6ニ角から詰む)と厳しい状態です。
GPS将棋の形勢判断でも圧倒的に先手有利と出ているのに、解説しているプロが「いや(相手が羽生名人だから)まだまだ難しい」みたいなことを言っているから惑わされるんだよなあ。解説者は羽生マジックにかからないで欲しい。といっても深浦九段は棋界で一番羽生名人ラブな人(「羽生名人との番勝負は恋愛」との名言アリ)だし、佐藤九段は次々と他人からタイトルを奪って羽生名人にダッシュされるところから「羽生の忠犬」とまで称された男なので仕方ないんだけどね・・・。
 
最後は唐突に終わった感がありましたが、やはり竜王戦は面白い! 今年見てきたどの棋戦よりも激しく複雑難解で、この二人がいま将棋界のトップ2なのだと実感させられる素晴らしい対局でした。
2局目は10月26・27日。次回も楽しみだ!