読書脳になってきた

仕事が忙しいのを言い訳に全然本を読まなくなってしまいました。
一度ブランクが開くとなかなか戻ってこれないのが読書という趣味のハードルの高さなのだなあ、なんて他人事のように思ってぼんやりしていたんだけど、人から借りた本だけはなんとか読んじゃわないとならないので、気乗りしない頭に鞭打ってたらたらと読んでいたんですが!
 

あなたの人生の物語


この本を読み進めるうちに眠っていた読書脳ががばっとはねおきました。
面白い! いや違う。面白いとか面白く無いとかじゃなくて、この感覚を言い表すとすると・・・。
これが『SF』だ!
って感じ? 未来テクノロジーが出てくればSFなのではない。宇宙に行けば、異星人が出ればSFなんじゃないんだ。壮大な思考実験を行うために現実世界の常識をぶち壊さなきゃならない、その結果としてSFというジャンルになったものが真のSFなのだ! と唐突に思ったのでした。
 

バビロンの塔

天頂に至る塔を建設することのリアリティをとことんまで追求している姿勢にしびれた。もちろん空の彼方に天井などはないし、星は燃える石ではない。にもかかわらずご都合主義でもなければ破綻もせず、その中に生きる人々は現実世界に生きる我々よりもむしろ真剣だったりする。
物語世界の”隙の無さ”が作品の面白さを裏付けていると感じました。

理解

わずか70ページあまりの短編の中で繰り広げられる知識の進化のスピードに圧倒。アシモフの「ファウンデーション」シリーズを彷彿とさせる超天才同士のバトルが凄い、けど、戦う以外の選択肢はなかったんだろうかというモヤモヤは残りました。
先月辺りの『百舌谷さん逆上する』の元ネタはこの短編だったのか・・・。

あなたの人生の物語

地球に宇宙人が来るじゃない。大抵の場合は奴らは超頭脳で地球語をさらさらっとマスターしちゃうんだけど、普通のSFじゃさらっと飛ばしちゃうところをとことん執拗に追求するところに、この人の作品のリアリティはあるんだろうな。ジグソーパズルの隙間を丁寧にパテで埋めていって綺麗な一枚の絵を作り出すような感じがしました。

七十二文字

序盤を読み進めて誰がこの結末を予想できるだろうか!という作品。ただ、緻密な作風のわりに”名辞”については曖昧に済ませちゃってるかなあ。他がカッチリしてるだけにちょっと気になりました。

地獄とは神の不在なり

この短編集での最高の一作。
そうそうそう、神様ってこういう存在なんだよ。偉大で、冷酷で、身勝手で、だけど愛さざるをえない。信じても報われない。いくら奉仕したとしても、与えられるものは奉仕した時間や量や犠牲にしたものには比例しない。災害的存在の神こそが人間の創りだした原初の神の姿だよなあ。
 
というわけで本当にすごい作家だったんですが、唯一にして最大の欠点は
著作がこの1冊しか無い!
ということ。もっと書けよ〜。
 
はてな年間100冊読書クラブ 290/303)

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