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晴れた空にくじら 3 浮鯨のいる空で/大西科学

シリーズ最終巻。『皇国の興廃この一戦にあり!』

最後というだけあって、いたるところで”覚悟”を要求されるスリリングな展開。これまでの科学節はなりをひそめ、雪平やクニの内面描写に力を入れていた。
戦争に巻き込まれることによって引き起こされる出来事に関して楽観的に、そして”約束だから”と流されてきた雪平の迷い。父と弟の仇打ちをすると言いながら、それを口実にして生きていたことに気づかされるクニ。
 
これまでただの不思議で便利な道具としてしか扱われなかった浮鯨にもスポットが当てられて、幻想的な雰囲気も加えられていたのが意外でもあり作者の広がりを見せられた部分でもあった。”ジョン平”シリーズも”くじら”シリーズも、少しだけ法則が違っただけでほとんどこの世界と変わらない世界を舞台にしてきたわけだけれど、そこに「人間とは違う生命体」の存在が加わったことで、新しい作品世界が広がっていくことを期待させる。
次回作が待ち遠しいが、たぶんアンソロジー的な本(ジョン平とぼくときみとのような)が出ると思われる。出るといいな。
 
はてな年間100冊読書クラブ 228/229)